デオドラントシリーズ3
もう汗で悩まない …多汗治療の最前線
五味常明著 ハート出版 税込1365円 ISBN
4-89295-089-0 四六上製・160頁
今までに一度も多汗を気にしたことのない人にとって、「もう汗で悩まない」というタイトルは、なんとも不思議に思えることでしょう。世の中には、変わったことで悩む人がいるものだと驚かれるかもしれません。
日常普通に暮らしている人が、そのように感じるのは至極当然です。なぜなら、「人間は暑いとき、運動したときに汗をかくのは当たり前、多少汗が多いからといって、悩むほどのこともないだろう」と考えるのが一般的だからです。
しかし、実際の診療の現場で、毎日毎日多汗で悩んでいる多くの患者さんに接し、その切実な悩みを聞いていると、「誰だって汗はかくんだから」とか、「たかだか汗くらいで」「汗をかいたほうが健康的じゃないの?」などという考え方はとてもできません。他人からみれば些細なことに思えるかもしれませんが、当の本人にとっては、朝起きた瞬間に「また苦悩に満ちた一日が始まるんだな」と思うほど、深刻な問題なのです。
「ああ、今日も多汗と付き合わなければならない」
「学校で汗が止まらなくなったらどうしよう」
「仕事先で、相手から握手を求められたらイヤだなぁ」
すがすがしいはずの朝一番から、こんな心配で頭がいっぱいになってしまうのです。
朝から晩まで三六五日、会社や学校での付き合いだけでなく、プライベートで親しい友人と会うことさえも、憂鬱なものに感じられてしまいます。
思春期の頃からずっと悩んできた人の場合、多汗な$l生そのものに嫌気がさしていることも多いのです。
同じような悩みは体臭や口臭でもみられるのですが、それらについては、最近デオドラントに関心が高いということもあり、その悩みについて周囲の理解も少しずつ得られています。また体臭や口臭の対処法に関する書籍も多く出ています。
ところが、こと多汗の問題となると、まだまだ一般の人に理解されておらず、悩みの深さを真剣に受けとめてくれる人は少ないようです。また、多汗の治療法のみを専門的に解説した書籍も、今のところ日本では出版されていません。多汗を専門的に扱っている医療機関は、現在のところ当院だけだと思います。
多汗で悩む人々にとって、大切なのは「汗を制圧しようとする態度ではなく、汗と共存して付き合う」というゆとりある心です。本書では、私の長年の診療経験から得た知識と情報をまとめ、「汗との上手な付き合い方」について、専門的な問題をわかりやすく解説しました。
拙著『体臭・多汗の正しい治し方』、『もうニオイで悩まない』と、この『もう汗で悩まない』は、デオドラントブックス三部作です。相互に関連した問題を扱っていますので、他の二冊も参考にしていただければ幸いです。
…まえがきより…
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