介護職を始める人の必須読本
楽しくなければ介護じゃない!
五味常明・須藤 章 共著 ハート出版 税込1365円
ISBN
4-89295-474-8 C2077 四六並製・240頁
いまは高齢化の時代と言われます。
けれども、高齢者という名前の老人はいません。
どのお年寄りにも、それぞれに人生があり、思い出があり、そしてなにより、いまを生きる生活があります。
そのお年寄りを、社会みんなで支えていこうというのが、介護の現場です。
介護は、介護する側とお年寄りとの、お互いの顔が見える関係を基本にして成り立つものです。つまり介護のよし悪しは、介護する側とお年寄りとが、どのような関係をつくれるかに、かかっているのです。
ところが介護の現場では、とくに初心者ほど、人間関係の大事さよりも技術的なことに意識がかたよりがちです。
この本は、介護の仕事を始めようとする人が、これから直面するであろうさまざまな問題を、高齢者との人間的な「かかわり」という側面から、読者のみなさんと一緒に考えていこうとするものです。
構成は、高齢者施設で介護職を勤めた須藤章が、介護の現場のさまざまな実例や経験者の声を集め、さらに高齢者デイサービスで通所ケアにたずさわってきたわたし(五味常明)の運営経験を加えた合作になっています。二人の異なった経験と視点でバランスを取りながら、介護の人間関係の基本となる考え方や見方を、わかりやすく説明しました。
序章は、介護の仮想体験です。
「介護職ってどんなものかなあ」と思っている人は、本文に登場するケンジ(新人)に自分を重ねて、イメージを膨らませてください。
一章は、実際の介護で出会う問題や疑問を、序章で登場したケンジ君とベテラン主任とがトークショー形式で答えています。読者は会話に参加したつもりで読んでいただきたいと思います。それと同時に、わたしがドクターコメントとして別の角度から答えました。介護の理念という面から参考にしてください。
二章は、コミュニケーションの基本である、声と身体を効果的に使う技術についてふれました。介護技術とは異なる、もうひとつの技術も体得してください。
どんな仕事でもそうですが、基本の考え方がしっかりしていれば、少々の間違いはあっても、大ケガにはなりません。ちょっと見た目にはわかりにくい道でも、基本の考え方を杖にして焦らず歩いていけば、道は拓けるものです。
介護の世界はじつに奥が深く、ときに方向を見失うこともあるかと思いますが、この本に書いてあることを杖にして、ゆっくりと進んでいってください。
…はじめにより…
目 次
はじめに
序章・介護の仮想体験
1章 これから介護を始める人へ
1 介護の楽しさってなんですか?
2 介護職に適性はあるのでしょうか?
3 介護業界は就職難ですか?
4 働き盛りで介護に転職するには
5 定年退職後の介護職を考えています
6 介護職に就くには、資格は有利でしょうか?
7 研修と現実は違うのですか?
8 親の介護にもヘルパーの知識は必要ですか?
9 ケアマネージャーの見分け方
10 痴呆になりやすいタイプとは?
11 暗い人間はヘルパーになれませんか?
12 母が六十代で痴呆になってしまって……
13 どうして老人に幼児言葉なの?
14 がんばらないという流儀
15 抜きさしならぬ関係に
16 生活者のケアとはなんですか?
17 むずかしいリクエストが多すぎて
18 老人を甘やかすなと言われたのですが
19 ゴミを捨てたら怒られた
20 かたづけはデリケートに
21 施設に入った母が帰りたがるのですが
22 人の振り「して」わが身をなおせ
23 うまく声がかけられない
24 いつまでたっても仕事が覚えられない
25 リハビリ嫌いのお年寄りを連れ出すには
26 母がわたしを忘れてしまった
27 介護現場のセクハラは、どうすればよいのですか?
28 介護を拒否するお年寄りについて
29 お年寄りが相手をしてくれない
30 医療や福祉との連携のしかたについて
2章 身体コミュニケーションのコツ
(1) まずは手足の準備
(2) 身体の動きを相手にあわせる
(3) 姿勢を開くと心も開く
(4) 対話やお世話する位置も大切
(5) 目の妙味
(6) 声の使い方
(7) 距離のとり方
(8) ボリュームの調整
(9) 声のトーン
(10) 声のスピード
(11) 手を当てる
・おわりに
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