汗で悩まない!ニオイでも悩まない!
読むだけで汗が少なくなる本
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ISBN
4062741636 四六並製・186頁
五味常明 著 講談社 (税込み)1260円
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──汗に悩む人のクリニックを開いて20年、 クリニックのホームページのアクセス数、年間150万以上の著者が、汗に悩む人すべてに贈る本! 著者オリジナルのデオドラント剤から、精神的な汗を治療する画期的なボトックス、ワキガ型多汗の手術法までをわかりやすく解説。
暑いときや運動したときに汗をかくことはあたりまえです。あたりまえどころか、じつは生命にかかわる大事なことなのですが、クリニックにみえる患者さんたちの汗のほとんどは、暑くもないのに突然でてくるのです。
「私の汗は、なにもしなくてもでてくるんです」
「僕もです。授業の最中に暑くもないのに汗がでてくるんです」
「私は今年就職したのですが、汗がひどくて仕事の打ち合わせができません」
「ボーイフレンドができたのに、手が握れません。汗だらけの手で嫌われるのがこわいんです」
いやいや自分はそれでころじゃない、もっとたいへんですよ、という読者のみなさんの声もきこえてくるようです。
私の診療室には、全国の汗に悩む人たちから寄せられた手紙が分厚いファイルになっています。東京から遠く離れた場所から、わらをもつかむ思いで書かれたものがほとんどです。
「革靴がまるごと濡れるほど足の裏から汗がでます」という会社員。
「ママの手はべたべたして嫌だ」と6才の我が子に言われたお母さん。
「女子高生ですが、クラスメイトに臭いとゴミ扱いされて、それが夢の中までついてきます。朝起きると涙を流すばかりです」と切々と書いてくる女子高生。
「一度でいいから、何の気がねもなしに白いブラウスを着られるようになりたい」
「すぐにハンカチが汗でぐしょぐしょになるので、毎日ハンカチを何枚も持ち歩く」
こんなぐあいに挙げていけばきりがありません。
ほとんどが、精神性多汗の症状です。
私が、汗に悩む人のための診療室を開いてから20年以上になります。
診療室とはいっても、その様子は一般の病院とはずいぶんちがうものです。
咳きこむ人や熱っぽい顔の人はいませんし、痛々しいケガをした人もみあたりません。
でもみなさんに共通するのは、汗という大きな悩みを抱えているということです。
この診療室で、汗に悩む人に数え切れないほど出会い、その話に耳を傾け、そうして私自身も汗まみれになって診療をして、20年というのはあっという間の年月でした。
私の東京の診療室は、新都心・新宿にあります。
上着をひっかけて散歩にでれば、巨大な都庁や高層ビルが目の前です。どこまでかわっていくのか、都会の風景をみあげるとつくづく都市文明というのを実感させられます。
これほどの大都会をつくるのに、どれほどの人が汗を流したことでしょう。
まったく文明とは、汗のたまものです。
いきなり大きいことをいいましたが、それには理由があります。
人間の長い歴史の中で、いまほど汗をかくことが嫌われている時代はないからです。
この本は汗で悩む人たちのために書いたものですが、だからこそ冒頭に申し上げたいことがあります。
それは、汗をかくということは、人間にとってとても大事だということです。
日頃何気なくかいている汗が、じつはどれほど大事なものか。
ほんの一昔まえまでは、額に汗して働くことは美徳であり、スポーツで汗を流すことは健康の象徴でした。しかし時代は変わりました。今や行き過ぎとも思える無臭志向、清潔志向のはてに、汗までも邪魔者だといわんばかりの「無汗志向」へ時代は流れています。
しかしです。
それでも人間には汗は必要なのです。
ほんとうに、文字通り汗を一滴もかかない「無汗」状態になったら、私たちはほんとうに大変なことになってしまうのです。
もし、私たちが汗をかかなくなったらどうなるのか? まずはそんな素朴なところから考えてみましょう。
…第1章より…
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