投稿者名:五味院長
タイトル:多汗手術に関する情報
ATGCさん。
大変理路整然とご自分の考えを説明できる方ですし、ご自分のことは全て理解されているようですので、あなたには医学的情報を提供するだけで、正しい選択ができることでしょう。
まず、あなたの腋下多汗症のタイプですが、Y・Yさんの「精神性発汗型多汗(エクリン腺多汗)」とは違い、「わきが型多汗(アポクリン腺多汗)」と思われます。
「わきが型多汗」は、腋下にアポクリン腺という汗腺が通常よりたくさんあって、アポクリン腺からの発汗が原因となるものです。
わきが臭との関係は、実はアポクリン腺は人によりその性質が異なるのです。
つまり、同じアポクリン腺でも汗より臭いを主体に出すものと、臭いより汗を主体に出すものがあり、後者のアポクリン腺はエクリン腺と形態が似ているため「アポエクリン腺」と呼ばれています。
もう一つ、あなたの場合には生理の前などに腋がなんとなく張れた感じがしたことはありますか?
もしそうなら「副乳多汗症」の可能性もあります。
副乳多汗症はわたしが最初に発見した腋下多汗の一種で、乳腺組織が腋の下にも存在するものです。汗腺組織は発生学的にはもともと乳腺から進化したものといわれており、特に腋下の副乳は特異的に発汗作用が強いのです。
いずれの場合も、手術法は基本的には同じです。
ただし、手術による減汗効果には差があります。
汗は、アポエクリン腺型>アポクリン腺型>混合型>副乳多汗>エクリン腺型 の順に減ります。
ですから、あなたが発汗がアポエクリン腺が主体のタイプであるとしたら、80%から90%の減汗が期待できるわけです。
アポクリン腺が主体のタイプでしたら70%から80%くらいです。
副乳多汗症は術前に診断することはまれで、通常、精神性発汗型という診断の元で手術を進めている過程で乳腺組織が偶然見つかり、診断できるのです。副乳があれば、当然摘出する必要があり、その結果、より多くの汗が減ります。
わたしが、体臭多汗手術が器械でなく、皮下を確認しながら行う「直視下手術」でなければならないことを主張しているのは、100%アポクリン腺を摘出する理由以外にも、このようなこともあるからです。
器械には目がありませんから、仮に「副乳」が存在しても見落としてしまいより多くの汗を減られる機会を失ってしまいます。
次に多汗症の治療とわきがの治療との関係ですが、わきが型多汗の治療をした場合にはアポクリン腺は当然100%摘出されるわけですから、結果的には「わきがの治療」も兼ねていることになります。
また費用のことですが、分割、やローンの制度、さらに学生さんには一時免除の制度もありますので電話にて担当者に直接相談してください。
手術後の通院や経過については、過去ログ(手術にについてはまとめました)に詳しく説明してありますので参考にしてください。
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