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             投稿者名:五味院長 
            タイトル:肥満と汗の関係について 
               
             
              
             あんどう様  
              
            「太った人は汗かきですか?」という質問をよく受けますが、答えは「イエス」です。 
            しかも「悪い汗」をかく傾向にありますので注意が必要です。  
              
            肥満者が汗をかきやすい理由はいくつかあります。  
            人間は日常活動を通じて体内に多量の「熱」を産生し、この熱をたえず体外に放出して恒常性を保っているのです。ところが肥満者の厚い「皮下脂肪」は熱の体外への放出をブロックして、体温を上がりやすくするため、その体温を下げる手段としてより多くの「発汗」が必要となり、普通の人より汗をかきやすくなるのです。 
            しかも、肥満者は普段から運動をしていない人が多いため、ちょっと動いただけでも大量の汗をかいてしまいます。 
            これは、肥満者が一定の運動量に対する酸素摂取能力(最大酸素摂取量)が著しく低いことにも関係があります。 
             
               
            酸素の摂取が十分でないと以前お話したように無酸素下の「解糖系」という方法で運動のエネルギーを得ようとしますので、汗のなかに乳酸が増加して臭いがつよい「悪い汗」もかきやすくなるのです。 
             これらのことは、「体脂肪」のうちで、「皮下脂肪」だけでなく「内臓脂肪」の多い人にも言えます。むしろ内臓脂肪は貯蔵されている中性脂肪の活性度が高く、血中の脂肪酸の濃度が濃くなりやすいため、抹消の毛細血管の動脈硬化をおこします。このことは皮膚の血流の悪化をまねき、体内の熱の放出が阻害される結果(うつ熱といいます)、代償的に発汗作用が強くなり多量の汗をかきやすくします。 
              
             あんどうさんのように、一見均整がとれているようでも「内臓脂肪」が多い場合もあります。急に「汗が多くなった」という変化が内臓脂肪の増加のサインのこともありますので「たかが汗くらい」とあなどることは禁物です。 
              
             予防は、当然ながら適度な「運動」と正しい「食事」です。  
            運動については、前に説明した「有酸素運動」を参考にしてください。  
            食事については、脂肪の摂取の仕方が大切になりますが、これについては体臭との関係もあり、ちょっと長くなりますのでまた別な機会でお話しましょう。 
             
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