投稿者名:五味院長
タイトル:便臭をつくるもの
ゆき様
大変勇気のいるご質問だと思います。
またそれだけに悩みの強さもひとしおではないかと思います。一部専門外の部分もありますので、ゆきさんの悩みの解決に直接結びつくかどう分かりませんが答えられる範囲で御回答します。
まず、ゆきさんに知っていただきたいことは、「排泄物」イーコール「腐敗物」ではないということです。
ニオイについて言うなら「便」イーコール「臭い」というわけではありません。
便の成分を構成するものは、そのほとんどが腸から吸収されなかった野菜などにふくまれるセルロースやリグニンなどの食物繊維であり全く無臭です。
これに腸管の粘膜の剥離細胞や腸管内の細菌や細菌がつくりだした物質が混ざり合って始めて便臭がするのです。
しかし健康状態での「作りたて」の便の匂いは決して不快のものではないのです。
それを特徴づけるのはメチルメルカプタンやジサルファイドなどの硫化物ですが、これは香料の原料にもなるくらいで決して「臭い」ものではないのです。
それを不潔で臭いと感じるのは、「現代人」の鼻の方なのです。
実際に2〜3歳くらいの幼児は便の匂いを好ましいと感じているという実験データーもあります。
それでは、なぜわたしたちは自分の便も含めて「便臭」を不快なものと感じてしまうのでしょうか。
まず第一には近代人の「文化」に原因があります。
これは「ニオイの文化史」としては大変興味のあるところですが、ここでは割愛します。
問題は、現代の日本人の便が食生活などの変化で昔の人より実際に「臭く」なってきていることです。
つまり、わたしたちの腸内ではさまざまな細菌が何億個と存在して細菌叢を形成しています。これらの細菌は炭水化物を中心にした食生活の状態では、前述したサルファイド系の「香りのある便臭」を生産します。
しかし、これらの細菌が炭水化物でなく、「たんぱく質」を主に分解するようになるとインドールやスカトールといった「悪臭ではないが強いニオイ物質」を生産するようになります。
さらに、通常の腸内細菌だけでなくウエルシュ菌や謙気性連鎖球菌などの悪玉菌が増加すると「腐敗」という分解作用をおこないアンモニアや硫化水素やアミン類などの「悪臭物質」ができて「臭い便」になってしまうのです。
ですから、便のニオイを生理的に不快にしているのは、便自体ではなくこれらの「悪玉」の細菌類なのです。
したがって、その予防の第一は当然腸内の細菌叢を「整える」ことです。 このことについては、五味クリニックのHPのコラムに詳しく説明してありますので参考にしてください。
便秘は腸内に便が停留する時間が長くなり「腐敗発酵」する機会が増え当然便のニオイを強くしますので便通をよくすることは大切です。
便のニオイを取るさまざまな消臭食品ですが、細菌叢を整える作用のるものを選んで服用してください。
そして、補助的に直接ニオイを中和する成分を含んだもので補うような使い方がよいと思います。
お尻のニオイについては以上ですが、すこし長くなりましたので脇のニオイについてのご質問はまた別の機会にご説明しましょう。
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