わきが・体臭・多汗 ミニコラム
食事と便のニオイの関係
五味クリニック院長
五味常明
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食事と便の臭いにはどのような関係があるのか、どんな食事をすれば便の悪臭がやわらぐのでしょうか。
原則は、善玉菌を元気にし、悪玉菌を腸から追い出すことにあります。
まず、善玉菌を元気にする食事法について。これはビフィズス菌の直接補給、つまりヨーグルトを飲むのが一番です。しかしこの方法にも難点があります。
それは、ヨーグルトのビフィズス菌が胃の中のペプシンによってほとんど殺されてしまうということです。ほんのわずかしか大腸に届かないのです。ですからポイントは、毎日継続してヨーグルトを食べることです。
つぎに、腸の中のビフィズス菌を元気に育てることです。ビフィズス菌の大好物のオリゴ糖をあげましょう。オリゴ糖は、消化されずに大腸まで届き、ビフィズス菌の餌になります。オリゴ糖を三週間とりつづけてビフィズス菌が二倍近く増えたという報告もあります。オリゴ糖は、大豆、ゴボウ、アスパラ、タマネギ、ハチミツなどにたくさん含まれています。
最後にとどめの食事法で、悪玉菌を追い出しましょう。ビフィズス菌が増えれば腸内が酸性になり、それだけでも自然と悪玉菌が追い出されるのですが、積極的に悪玉を掃除してくれるクリーニング屋さんも大勢招きたいところです。それが食物繊維です。セルロースやペクチンといった食物繊維は、消化酵素にも分解されずに大腸に届いて便になります。食物繊維はビフィズス菌の餌にはなりませんが、その住居になって増殖を助けます。
同時に食物繊維は、悪玉菌の出した毒素や有害物質、ニオイ物質やさらにはニオイそのものまで吸い込んでため込み、我が身もろとも便となって体の外に排泄してくれます。
近頃、高齢者の介護の現場で、ニオイ対策として注目されているのが「おなかクリーン」等の補助飲料です。これは殺菌作用のあるフラボノイド、タンニン、抗酸化作用のあるポリフェノール、食物繊維の豊富なモロヘイヤ、オリゴ糖の豊富なハチミツなどをベースにしたもので、栄養補給だけでなく便のニオイや体臭を予防する効果もあり、高齢化社会の新しいドリンク剤と言えます。
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