尿失禁のニオイケア …ニオイケアのためのガイド
尿失禁のニオイケア
尿失禁のニオイは、介護する側・される側のどちらにとっても、一番頭を悩ますニオイです。尿失禁には、治療や体操で改善するものもあります。介護が必要なものもあります。失禁の原因とパターンを見分けて対策を決めましょう。
アンモニア対策
尿失禁のニオイのもとはアンモニアです。市販の消臭剤や活性炭でも吸収しにくく、しかも髪の毛や皮膚に強く吸着してしまう厄介者です。
アンモニア対策のポイントは、アンモニアのアルカリ性を中和することです。
陰部を洗う石鹸は、アルカリ性でなく弱酸性のものにします。下半身を拭くとき、洗面器のお湯にお酢やレモンの汁をキャップ1杯ぐらい入れて弱酸性にするのも効果的です。
ハーブの精油では、アンモニアのニオイを分解するユーカリがよいでしょう。湯船に数滴垂らしたり、風呂上がりにオリーブオイルや椿油に数滴混ぜて陰部にマッサージします。
またアンモニアは、尿の中の尿素が便の中の酵素に分解されると発生します。つまり便と尿を一緒にしないことです。尿を吸ったオムツに便がついたままだったり、部屋のポータブルトイレに便と尿が一緒になったままだと、たちまちアンモニアが発生するのです。
アンモニア臭を抑える消臭剤
アンモニアのための消臭剤も、いろいろ開発されています。
有機系の消臭剤としては、マロン酸エステルや酒石酸エステル、脂肪酸石鹸などで中和させるものがあります。バチラス・ズブチリスという微生物を含んだ消臭剤は、オムツに使うと消臭効果があります。
植物系の消臭剤で、ビンロウジの粉末から作ったものは、尿素がアンモニアになるのを防いでくれます。マツや桜のエキスで作った消臭剤は、緑茶と同じフラボノイドを含んでいて、オムツにスプレーします。
酸性水で膀胱炎のニオイケア
慢性膀胱炎の場合、炎症を起こしている菌が、陰部の周辺の皮膚に繁殖し、それがまた尿道から膀胱に入るなどしてニオイをひどくします。
酸性水は、こうした菌を抑える働きをもったもので、これに浸けたタオルで陰部の周囲を拭くと、感染した細菌を除去し、ニオイを抑えてくれます。
オムツ・介護用品を上手に利用する
最近のオムツは、形・サイズ、機能などにかなりの工夫が凝らされていますし、尿漏れ防止のついたものもあります。尿を漏らさないようにしてニオイを抑えるもの、袋状のところにオチンチンを挿入して、夜中に寝返っても漏らさない尿取りパットなどです。ただし、まずはできる限り自力でトイレに行くようにしたいものです。
オムツはどれでも良いというわけでなく、お年寄りの麻痺の状態や尿漏れの量、体型などに合わせ、尿取りパッドやオムツカバーも組み合わせるなどして選んでください。背中側のガードで尿漏れを防ぐタイプもあります。
オムツ以外の尿対策の介助用品として、センサーが寝たきりの人の尿を自動的に取ってくれる集尿器もあります。
ニオイをケアしたオムツを選ぶ
尿漏れ対策だけでなく、高分子ポリマーや消臭繊維を素材にしてニオイ対策を施したオムツも日進月歩で開発されています。
使い終わったオムツは、ニオイが発生する前にすぐにビニール袋に密閉しますが、抗菌衛生フィルムに使ったオムツを密閉できるものも市販されています。
アンモニアを消臭するアクリート繊維でつくったオムツは、天日に干せば何回も使えます。この繊維でできた布を壁に掛けておけば部屋のアンモニア臭に効果があります。
寝具の尿臭ケア
オシッコで濡れた寝具は、すぐに取り替えることはもちろん、防臭を施したシーツや寝具も常備したいものです。防水シーツで敷き布団を守り、尿を吸収するシートを利用します。アンモニアを吸収する繊維でできた防水シートも開発されました。
悪臭を分解する酵素を使った消臭毛布や座布団、微生物の消臭作用を応用したバイオ消臭シートなどもあります。
頑固な失禁のニオイはお茶殻で
トイレや廊下で失禁をした場合は、尿素がアンモニアに分解する前に、できるだけ早く濡れ雑巾で拭き取ることが原則です。フローリングの尿臭を拭けば、ある程度消せますが、畳やカーペットにニオイは染みついてしまい、簡単には除けません。
まず濡れ雑巾に軽く重曹を振りかけて尿を拭き取ってください。重曹は薬局で売っています。脱臭効果だけでなく、カーペットにシミを残さない作用があるので応急措置として有効です。そのあと、出がらしのお茶殻を電子レンジで乾燥させて畳やカーペットに撒きます。お茶のカテキンやタンニンが、ニオイ物質を吸い取るのです。30分ほどしたら、掃除機をかけます。床と掃除機の吸い込み口との間に、少し隙間があく程度に軽くなでるようにかけるのがコツです。ホウキで掃く場合は、畳の上を転がすように掃けば効果的です。
フローリングでの失禁には、湿ったお茶殻の方が効きます。紅茶のティーバッグもOKです。2〜3個を畳の上にそのまま置くだけです。
|