投稿者名:五味院長
タイトル:麻酔の件について
私さん
「ワキガ暦26年」という言葉は始めて聞きました。ワキガを客体化した実にゆとりある表現であり好感を持ちました。
しかし投稿文を読みつづけると一つ疑問も感じました。
それはこのように自分を客観的に見れる人が、なぜそのように極度の緊張症なのかということです。
本当のあなたば結構おもしろがり屋で内心は意外と芯が強い人なのではないでしょうか。
わたしが思うに、あなたを緊張症にしているのはあなた自身です。
あなたは何事においてもちょっと余分に考え過ぎなところがあるようですね。
特に先のことを考え過ぎています。先のことをあまりに熟慮すると人間というものは、不安になるものです。先取りの不安です。
先取りの不安というものは不思議なことに、実際にその通りに実現するものです。
「この薬を飲めば、動悸がするだろう」という先取り不安は、体のなかでさまざまな交換神経を刺激する伝達物質を分泌することになり、交換神経はそのように心臓の鼓動を高めて、動悸を起させてしまうのです。
このような先取りの不安を抱く人には共通する点がひとつあります。 それは、そのような人は「今ここ」に生きていないということです。
その人は「過去」に起きた動悸がまた「未来」」にも同じように起こるのではないかと思いながら生きているのです。
「ここの今」がすっぽり抜けているのです。
しかし考えてもみてください。過去はもうありません。未来はまだ来ていないのです。わたしたちにあるのは「今ここ」の自分のみです。
そのような、今の自分を忘れて、未来の自分のことばかりを考えることほどナンセンスなことはありません。
私さん。あなたが仮にその時その時の自分の本当の気持ちに忠実になれるのならあなたは手術には十分耐えることはできると確信します。まな板の鯉のようにデーンとして手術台にのれるでしょう。
そして手術が終わった後は、自分の内面に隠されていた意外な力強さに内心満足して、そして26年間の体臭の悩みから開放された「今」にも満足して、満ち足りた気分でルンルンと家路につくことでしょう。
もうひとつの「麻酔」のことですが、ワキガ手術は歯の治療と全く同じ「キシロカイン」という局所麻酔であり通常の使用濃度と使用量を守るなら、また術前に患者さんのアレルギーの検査を行うなら、本来起こるべきはずのない極めて特異な事故です。
報道によると大手美容外科の医師がとんでもない大量の麻酔使用したための事故のようです。
これは「過去ログ」にも書きましたので参考にしてほしいのですが、わたしはワキガ多汗症の手術は「器械」ではなく術者が自分の「目」で術野を確認しつつおこなう「直視下法」でなければ絶対にいけないという信念をこの事故で強くしました。
器械的方法では、どうしてもブラインド下に行うためより多くのアポクリン腺を摘出しようとするとどうしても麻酔量を多めに使用してしまいます。
しかし、ワキガの手術は「原因となるアポクリン腺の本体と腺根の部分、そして皮脂腺とエクリン腺の一部」のみを摘出すればそれが「完全な手術」であり、余分な皮下の脂肪まで器械で掻き出す必要は全くないのです。
必要な部分は皮下の直下にあり、この部分のみを「剥離」するなら麻酔量は非常に少ない量で十分手術は可能なのです。
わたしは、決して「直視下剥離法」だけがベストな手術法であると主張しているわけではありません。ワキガ多汗症治療は「正しい手術法」でなければならない
というわたしの信念を述べているのです。
最後ですが、「私さん」が「絶対に治したい」という気持ちが本当であるなら わたしは、「絶対に治す」ことのできる正しい選択をされることを強く望みます。
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