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自分に合った岩盤浴環境を探してください


投稿者名:わい子

タイトル:岩盤浴は鉱石で違うのですか?


 

はじめまして。28歳OLです。
最近、毒出し作用があるということで評判の岩盤浴を体験しようと思っています。お店のパンフを見るとそれぞれの岩盤浴サロンで使用している鉱石が違うようですが、効果も異なるのでしょうか。
私は低体温で、冷え性です。お腹の脂肪が気になるのでダイエット効果がある鉱石を教えてください。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:自分に合った岩盤浴環境を探してください



わい子さん。
あなたの質問は、岩盤浴ブームが曲がり角にある今、非常にタイムリーな質問です。

結論から言いますと、あなたの体と相性が合う鉱石と室内環境の岩盤浴のお店を選ぶのがよいでしょう。

現在、全国の岩盤浴サロンで使用されている鉱石を調べると、まず北海道産の「ブラックシリカ」と九州産の「天照石」が主流のようです。
元々、岩盤浴は、秋田県の玉川温泉が発祥の地です。
玉川温泉では「北投石」と呼ばれる鉱石が有名で、含有するラジウムが放射線を発生し、国の天然記念物に指定されています。ですから、現在、北投石は勝手に採掘できないので、微量放射線によるホルミシス効果(湯治的効果)を期待するなら、わざわざ現地まで出かけなければ不可能なわけです。

しかし、今全国でブームとなっている「岩盤浴」は、「玉川温泉版岩盤浴」ではなく、もっと気楽な「駅前サウナ版岩盤浴」なのです。
岩盤浴に通う人々は「湯治的」効果を期待していくのでなく「リラクゼーション」のために利用したいのです。
リラクゼーションの結果、新陳代謝が促進され、毒出しともなり、健康生活やダイエットと結びつけばよし、と考える人々なのです。

そのような「駅前岩盤浴」で、キーワードになるのが、私の専門になる「サラサラのよい汗」をかけるかどうかということなのです。
ですから、そのような「駅前岩盤浴」の立場から言えば、どのような鉱石でも「遠赤外線」と「マイナスイオン」が放射されることが十分にして必要条件なのです。
微量放射線は、あくまでオプションであり、「ない方がよい」という専門家もいるくらいです。

たしかに、今全国でブームになっている岩盤浴サロンのパンフを見れば、北はブラックシリカから始まり、南の天照石、韓国の麦飯石、天寿石、富士山の溶岩、さらには、セラミック技術を応用した合成の岩盤浴パネルまであるのです。
これでは、素人の利用者が、どの鉱石が自分に最も適しているか迷うのも無理はありません。

その上、現在の岩盤浴サロンは温度や湿度の「室内環境」もバラバラです。
まさに、その施設の「勝手気まま」な条件がまかり通っているのが現状です。

それと言うのも、岩盤浴は、その医学的検証より先に、ブームが先行してしまっているのです(その責任の一端は私にもあるのですが)。
つまり、岩盤浴に関しては、まだ何の医学的データも検証されていないと言った方が正解なのです。(私達のグループが若干の医学的データを出してはいますが、まだまだ十分とは言えません)

例えばです。岩盤浴は(微量放射線の話は論外としても)肝心の遠赤外線とマイナスイオンの「測定法」さえも確立していないのです。
遠赤外線に関しては、JISなどの公的な基準が設けられていますが、特定の測定施設まで「モノ」を運び込まなければ、測定結果が得られないありさまです。
ですから、温度も湿度も異なる各施設の現場の正しい遠赤外線の分光放射率はまだ測定されたことがないのです。

その上にです。遠赤外線との相乗効果で大切な役割を担う(と私は考えていますが)マイナスイオンの測定に関しては、いまだ公的な基準さえないのが現状です。ある人は、マイナスイオンの測定は、本当のイオンでなく静電気を測定していたのではないかと言う人もいるくらいです。

このように、岩盤浴では医学的効用を検証すると同時に、その「測定法」の確立がなされなければ話にならないのです。
これから岩盤浴施設が本当に社会に受け入れられるためには、まず公的とは言わないまでも第三者的機関が、客観的立場から、遠赤外線とマイナスイオンの測定をし、キチンとしたデーターを算出することです。そうしなければ、将来的に利用者の信頼を得ることができないでしょう。

しかし、新しい測定法の開発は大変です。

そこで、私が提案しているのは、今ある測定器の中でできるだけ精巧な機器や信頼できる検査機関を選考して、その「同一」の測定器で、さまざまな施設の数値を割り出す方法です。
この方法では、「ある測定器」を基準にして、さまざまな岩盤浴施設の放射率を出すのですから、絶対値の測定ではありません。比較測定になります。しかし、、少なくとも「まがいもの」や「にせもの」の岩盤石を排除することは可能です。

そのためには、このような測定を客観的に行う「第三者機関」が必要です。
そのような機能を担う「組織」も必要です。

私は今、全国でこれだけ岩盤浴施設が増えてきたのですから、その中で、岩盤浴の健全な発展を願う人たちが集まり「岩盤浴協会」の設立が求められる時期にきていると思います。
その「岩盤浴協会」が、岩盤浴の「定義」を設定して、その定義に見合う遠赤外線とマイナスイオンの基準値を決めるのです。

その協会にはもう一つの仕事があります。

それは、岩盤浴の「自主的」でかつ「自粛的」な広告基準の設定です。
前回「岩盤浴ブームへの警告」で説明した通り、今のような野放しの施設の増殖が続くなら、いずれその中で心ない業者が薬事法のお世話になるような過剰広告をすることでしょう。
その時は、私はせっかく根付いてきた岩盤浴のブームの終えんの時でもあると考えています。

私は、岩盤浴では「うたって」はならない2つのことがあると思います。

その一つは、岩盤浴の宣伝文の中で医学的効能を「謳う(うたう)」ことです。

もう一つは、ホタル来い!の歌を「歌う」ことです。

ホタル来いの歌は皆さんもご存知でしょう。
「ホー、ホー、ホータル来い!あっちの水は苦いぞ!こっちの水は甘いぞ!」という歌です。


この歌の「水」を「鉱石」に置きかえれば、現在の岩盤浴業界の現状がよく分かります。

つまり「あっちの鉱石より、こっちの鉱石」「他の施設の鉱石より、自分の鉱石」はより有効だ。という主張です。

私は「駅前岩盤浴」については、鉱石は、(語弊はありますが)、ブラックシリカでも天照石でも合成石でも「どれでもいい」と考えています。ただし、前出の「第三者機関」が客観的に測定し、遠赤外線とマイナスイオンを基準値以上放射しているという条件つきで。

今まで、私の病院にはさまざまな雑誌社が取材に来ましたが、私は一度として、特定の鉱石がよりよいと言ったことはありません。
むしろ特定の鉱石が「ブランド」になることを恐れているのです。

日本の社会では、一旦あるモノがブランドになると全ての人がその方向に顔が向きます。

岩盤浴もしかり。岩盤浴は「・・・石でなきゃあ」のようなブランド付けが一旦生ずるとどうなるか?

日本人はどうしても、事業欲が強い。岩盤浴を広めるよりも、自分が儲けようと考える。その結果、そのブランド石を買い占める。さらに、その結果、新規の施設の仕入れが高騰する。さらにさらに、その結果、利用料も高騰する。
だれも、1回1万円の施設に行くわけがありません。
最終結果、岩盤浴の評判が落ち、ブームも終焉する。
このような筋書きがみえみえなのです。

やはり、「駅前岩盤浴」とは、年金暮らしのお年寄りだって、薄給のOLだって気楽に利用できるものを言うのです。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからはわい子さんの質問への回答です。

私の印象ですが、今現在開業されている岩盤浴施設では、「まがい物石」を使用しているところはおそらくないでしょう。それぞれの産地の本物の「石」です。
しかし、その種類と室内環境は微妙に異なります。

そこで、まずあなた自身が、経済的に許される範囲内で、「岩盤浴ハント」をしてみてください。
全国の「岩盤浴を訪れる旅」です。その中できっと自分の体調に一番あった施設が見つかることでしょう。

そうしたら、その施設の「鉱石」名と設定温度と湿度を係の人に聞いてください。そして、それと「類似」した施設を、自分の住んでいる地域で見つけるのです。

岩盤浴は、ただ「横になる」だけですので、何か消極的な印象がありますが、実は非常に奥が深く、日本が生んだ高度の文化なのです。
今回私が願うような岩盤浴の健全な育成がなされるなら、近い将来、日本酒マニアやワイン党がいるように、「岩盤浴マニア」や「・・・岩盤浴党」という人が現れてくることでしょう。

 

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