投稿者名:五味院長
タイトル:ミネラルウォーター・スプレーの作り方について
ダリアさん。
以前、頭の臭いについて説明した時に、(ついでに?)記載したミネラルウォーターを利用した手作りスプレーが、最近雑誌に取りあげられたこともあり、頭髪の臭いで悩んでいる人の間で関心が高まっているようですので、ここで改めで紹介しましょう。
紹介する前にお断りしておきますが、頭の臭いは非常に消臭しにくい部位であるということです。
それは、頭のニオイが、頭髪と頭皮の臭いの「複合臭」であるからです。頭皮は体の中でもっとも皮脂腺の分泌が盛んなところであり、その上に頭髪は、頭皮の臭いと外気の臭いの両方を吸収・濃縮する「集臭器」のようなものです。
ですから、これらの全てのニオイ成分に効果のある消臭剤でないと頭のニオイには対応できないのです。
これが、現在薬局に行っても、腋のデオドラント剤は掃いて捨てるほどあっても、頭臭専用のデオドラント剤が皆無な理由です。
しかし、頭の臭いで悩んでいる人は実際には非常に多いのです。
体臭治療の専門家として、各化粧品メーカーが「頭臭専用のデドオラント剤」を積極的に開発することを期待しています。
腋の臭いに対しては、既によいデオドラント剤がたくさんあります。腋臭が強くてデオドラント剤で対処できなければ、手術をすれば完璧に治ります。体の臭いも衣類にスプレーするデオドラント剤で対応可能です。
残るは「頭の臭い」対策です。
私たちも今、有益菌を利用して、頭皮臭に有効なデドオラント剤を開発中です。しかし、「頭全体のニオイ」となると製品化がかなり難しいのです。ここはやはり資本のある大きな会社に真剣に考えてほしいと思いますね。資生堂やライオンさんにがんばってほしいですね。
話が横道にそれましたが、かように難しい場所ですので、「ミネラルウォータースプレー」も過度な期待はしないでくださいね。
しかし、高濃度のミネラルイオン水が「髪のニオイ」(頭臭全体ではありません)に対しては、かなり効果があることは私達の毛髪を使用した試験でも分かっています。
ニオイ分子は必ず極性があり、プラスかマイナスに帯電しています。ですから、プラスのニオイ成分ならマイナス分子で、逆に、マイナスのニオイ分子にはプラスの分子で、中和消臭が可能なのです。これを「イオン交換消臭」と言います。
このミネラル成分が髪に付着すると消臭効果を発揮するようです。髪のキューティクルの傷んだ部分にニオイ分子が付着濃縮しやすいのですが、その部分にミネラルが入りこんで、外気のニオイの吸着を予防しているのかもしれません。
ミネラルイオンも極性がありますので、一種の「消臭剤」ともいえるのです。
そこで、身近にあるミネラル水といえば、「ミネラルウォーター」ですね。これを利用しない手はないでしょう。
ミネラルの含有量は、試験で使用したものよりかなり少ないので効果は劣るかもしれませんが、100円ちょっとですから文句は言えないでしょう。
それでは、以下に手作りの「頭髪臭用デオドラントスプレー」の作り方を教えましょう。
まず、コンビニや薬局に行って、ミネラルウォーターを買いますが、硬度の高いものを選んでください。
硬度とは、水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を数値化したもので、硬いものほどミネラルが豊富ということです。これを「硬水」と言います。逆にミネラルが少ないものを「軟水」といって、日本産のものはミネラルが少ない軟水です。
したがって、効果のあるスプレーをつくるなら、欧州産の硬水のものがよいでしょう。しかし、欧州産のものでも、硬度に差があり、できれば、リットル中に1000ミリグラム以上含まれたものを選んでください。そうなると、ここでは名前をあげませんが、製品は1つくらいしかなくなります(ヒントはCの字で始まるものです)。
製品が決まったら、じっくりとボトルの下の方を観察してみてください。
中に白い粉のようなものが沈殿しているものが稀にあります。あれば、それを選んでください。
別に沈殿していなくても1000以上のものならかまいません。
ボトルの大きさは500ミリのものでも、330ミリのものでもかまいません。予算に応じて決めてください。
それを、そっと家に持ち帰り1日〜2日くらい冷蔵庫の中で縦の棚に保管します(横にしないように)。それを、さらにそっと取り出して、上半分か三分の一くらいを捨てます。(もちろん飲まれてもかまいません)
こうすることで、下の方にミネラル分が濃縮されてきます。
白くならなくても濃縮されているハズです。
(もっと濃縮させる裏ワザです。
これは、オレンジページの編集者の方が実験した方法ですが、ボトルを冷凍庫で一旦凍らせて、それを取り出して、自然解凍させて、上半分を捨てると、下の方により多くのミネラルが濃縮されるのだそうです。)
それを、今度はスプレー器に移して、よく振ってから、頭髪にスプレーするのです。
スプレーは、出かける前にしても、風呂あがりでシャンプーした後にしてもよいでしょう。
そして、ドライヤーで水分を蒸発させてください。
さらにです。
髪のニオイに限定するならこれだけでもある程度の効果がありますが、効果をより高めるために次の二つを付加してもよいでしょう。
まず「にがり」です。「にがり」には高濃度のマグネシウムやカルシウムが濃縮されています。
これを、5滴〜10滴くらいスプレー器に加えます。
飲むわけではありませんので、これより多めに入れても問題ありませんが、あまり多いとミネラル水がネバッとして、しょっぱくなるので、このくらいで十分でしょう。
さらに、効果を持続させるなら、以前説明した「ミョウバン水」を加え、分量を2倍くらいにします。
ミョウバン水を加えることで、頭髪の消臭効果も増加して、同時に、頭皮を酸性に保つことができますので、頭皮臭にも(若干ですが)効果が期待できるでしょう。
以上の「ミネラルウォーター・スプレー」の使用期限ですが、ミネラルウォーターは、日本産のものは法律で殺菌が義務付けられていますが、欧州産のものは殺菌加工してありませんので、開封したら数日で使用しきってください。ただし、ミョウバンを入れたものは1〜2週間は大丈夫でしょう。さらにエタノールを少量加えると、数週間は有効で、消臭効果も増しますが化学品を使用したくない人はミョウバンだけでも十分でしょう。
以上が手作りの頭髪用「ミネラルウォーター・スプレー」の作り方です。
前述のように過度な期待はできませんが、薬局などで頭臭専用のデオドラント剤が市販されていない現状では、これが唯一の「頭髪用消臭剤」と言えるかもしれません。
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