外国人の患者さんがワキガ手術する場合
投稿者名:ベッキー
タイトル:外国人でも手術が受けられますか?
初めてメールさせていただきます。 私は米国人の夫と結婚し、現在日本に在住しております。 以前から彼がワキガであることはわかっていましたし、本人ももちろん気づいております。 アメリカ製のデオドラント剤を使用しているため、ほぼ一日ワキガのにおいはデオドランドの効果で抑えられています。 ワキガの不快臭は前日の夜使用したタオルを洗うときや、Tシャツを洗うときに感じる程度で、そこまで気になりませんが、デオドランド剤の臭いが強すぎることと、シャツや枕カバーなどが黄色くなってしまうことがとてもきになります。 日本人は臭いに敏感であることと、日本のワキガ人口が少ないことで、本人もとても気をつかっています。 仕事は英語教師をしており、今後も日本に在住することになりそうです。 アメリカ製のデオドランド剤を常備しておくのも一苦労ですし、常に体臭を気にしている様子はとても大変そうだなぁと感じています。 体臭が減ったり、なくなったりすれば彼も私も精神的な負担がかなり軽減されますし、できれば来年あたりに手術ができないかと思い、ご相談のメールをいたしました。 手術はできれば 質問は、 (1)日本以外でも手術は頻繁に行われているのですか?(白人でも体質的に手術を受けることは可能ですか?) (2)先生のところでは、外国人でも診療していただけますか? (日本語はあまり話しません。説明は一緒に付き添って受けたいと思っております。) ちなみに、現在、幼い女の子がいますが、常にねっとりとしたアメ耳で、ワキガの遺伝を疑ってますが、将来この子が大きくなったら、一緒に手術のことも含めてよく話したいと思っています。 当初はその子のワキガのことを知ろうとして、先生のHPにたどり着き、大変参考にさせていただきました。 ご回答の程よろしくお願いいたします。
投稿者名:五味院長
タイトル:手術は、本人の意思を大切に
ベッキーさん。 あなたの質問は、日本人と欧米人の「清潔志向と体臭の強さの違い」とのかねあいで、非常にデリケートな要素を含んでいますので、一部修正を加えた上で記載させていただきました。もし、内容に問題となるような部分がありましたらすぐ削除しますので、お知らせください。 実は、あなたのご主人のように、長期間日本に住まわれている欧米人の中で、「母国にいる時は気にしていなかったけれど、日本に住むようになってから自分の体臭が気になるようになった」という外国人の方が非常に多いのです。 その理由には2つあります。 ひとつは、欧米では、東洋人に比較して体臭の強い人が「多数派」であり、逆に日本では、ワキガ体質の人が「少数派」であることです。 もうひとつは、日本人が世界に稀に見る「清潔好き」かつ「臭い嫌い」な国民であることです。 考えてみてください。例えば、100人の人口の国があり、その全ての国民がワキガ体質であるなら、あなたはワキガ臭で悩むでしょうか?否です。 だれも、自分の体臭が嫌だと悩んでいる人はいないのです。自分の体臭だけが、他の多くの人に迷惑をかけるから悩むのです。 以前、たけしさんの「赤信号。みんなで渡れば怖くない」というフレーズがはやりましたが、みんながワキガ臭があるなら、「お互いさま」で、気にもしないでしょう。 外国の人の場合、母国にいる時は、「お互いさま」であった体臭が来日したとたんに、「少数派」となり、他の人々との「違い」を意識し、不安を感ぜざるをいない環境におかれるのです。 しかも、不安に輪をかけるのが、現代日本の異常な「清潔好き」・「臭い嫌悪」社会です。 日本のような無臭社会に初めて飛び込んだ外国人は、あたかも自分がこの社会から排除されているのではという自己否定感を抱いても不思議ではありません。 私は、ニオイに対する価値観の違いから、疎外感を抱きながら帰国した外国の方を何人も知っています。 外国人でも日本人でも同じ人間です。 生きている証でもある体臭をお互いに共有できない社会とは何でしょうか? 差別社会と言わざるを得ないでしょう。 国際化時代に、このような異常な清潔無臭志向を続けているなら、日本社会が世界から異質に見られるのではないかと私は心配しています。 今、過剰な無臭志向ではなく、「エチケットの範囲内」の消臭志向をこころがけるべき時だと思います。なにごともほどほどが大切なのです。 さて、あなたの質問ですが、ワキガ手術はもちろ欧米でも行われています。形成外科の教科書には「スクーグ法」で有名なスクーグ先生が考案した手術法が必ず記載されています。ただ、残念ながら、欧米で行われている方法は、ワキガ臭を「軽減」する方法にとどまり、「100%消去」する方法ではありません。 欧米の人にとっては、「強度のワキガ臭」が、「普通のワキガ臭」に軽減するだけでも十分なのです。 アポクリン腺を完全に摘出する必要がなければ、完全な手術法が考案される必要もなかったのです。 ところが、日本では、ワキガ臭で悩む場合、体臭の強弱よりも、ワキガ臭という「ニオイそのもの」を悩む人が多いのです。 ですから、ほんの少しのアポクリン腺が残っただけでも、その人の悩みの解消とはならないのです。つまり「軽減手術」では意味がないのです。 その人の希望が、軽減するだけでいいなら、電気凝固法等のより簡単な方法でも対応でき、あえて手術法を選択する必要はないのでしょう。 ですから、仮に、あなたのご主人が「100%の完治」を望むなら、やはり日本の医療機関で手術を受けるのがよいでしょう。 次に、体質との関係ですが、ワキガ手術は、何か異物を体内に「注入する」手術ではなく、現代人には不要となったアポクリン腺を「摘出する」手術ですので、日本人であろうが、欧米人であろうが、人種的な体質の違いは手術に影響することは全くありません。 ただし、外国人の患者さんには、私は次のようにアドバイスすることにしています。 「あなたは、ワキガ臭があることで日本での永住にハンデーとなりますか?もし、ワキガ臭が100%なくなることが将来前向きな生き方になるなら手術も顧慮してよいでしょう。しかし、母国に帰国する予定があり、日本社会とのジレンマで悩んでいるなら、とりあえず電気凝固法という簡単な方法で体臭を軽減しておくのはどうですか」と。 体臭治療で大切なことは、本人の意思とフィロソフィーなのです。 「当院で外国人は診療してもらますか?」という質問ですが、私は差別主義者ではありません。体臭で悩んでいる人ならどこの国籍の人でも診療いたします。 当院では、外国人の手術希望者は土地柄(新宿)非常に多いのです。 言葉の問題ですが、英語のできる人が付き添うに来ていただければ、理想ですが、私も多少の英語はできますので、「信頼関係」さえあれば 心と心のコミュニュケーションは可能でしょう。 耳の不自由な方でも、よく筆談で診察をしていますのでその点は安心してください。 いずれにせよ、ご主人には、あえて日本の行き過ぎた清潔志向に迎合するのではなく、日本人と欧米人の体質の違いを受け入れて、その上で、日本に住む米国人として自信をもって生活してほしいと思います。
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