良いおなら、悪いおなら
投稿者名:NINA
タイトル:おならのニオイで悩んでいます
五味先生、30歳主婦です。大変おはずかしいのですが、私は、1時間に1回くらいおならがでて、それもツーンとした刺激臭がします。止めようとすると、よけいでてしまいます。おならにニオイが気になり人前にでることもおっくうです。なにかよいとめる方法はないでしょうか。ニオイを抑える方法も教えてください。
投稿者名:五味院長
タイトル:良いおなら、悪いおなら
NINAさん。最近、オナラの臭いを気にする人の質問が増加しています。便臭との関係もありますのでここで説明しましょう。 オナラはだれでもでる生理現象です。お互い様です。だから特別悩む必要はありません。 しかし、急にオナラが臭くなる時は、注意も必要です。 体臭や口臭が健康のバロメーターとなるように、臭いオナラが腸の健康状態を反映していることもあるからです。 そこで、今回は、おならって「良いオナラ」と「悪いオナラ」があるの?という疑問にもお答えしましょう。 オナラが出るのは、当たり前ですが、腸内に「ガス」がたまるからです。 腸内に生ずるガスの出所は、次の3つです。 1.炭酸飲料 2.口から飲み込んだ空気 3.食物の分解ガス ですから、おならを少なくするには、まず炭酸飲料を飲みすぎないことです。 そして、空気も呑みすぎないことです。 人間は酸素がないと生きていけませんので、空気は必要です。でも空気は「吸うもの」であって、「呑むもの」ではありません。 空気が胃腸に呑みこまれるのは、嚥下するとき、食物とともに胃に入るからです。ですから、おならを少なくするには,よく噛んで唾液と食物とを混ぜ合わせガス抜きをすればよいのです。陶芸の時に粘土をよくこねるのと同じですね。 早食いの人にオナラが多いのは、食物だけなく同時に空気を食べているからです。 ここまでは、オナラの量に関係することですが、オナラの臭いや回数に関係するのは、3の食物の分解のされかたです。 オナラの主成分は、食物が腸内細菌によって分解されるときに発生する「ガス」です。 オナラは、腸内の排泄物=ガスを体外に排出していることになります。オナラの役目は腐敗ガスの「排泄作用」なのです。 ですから、オナラはうまく出すことが大切です。 そのためには、「姿勢」をよくすることです。 姿勢が悪いと、肺からのガス交換が悪くなるため、血液中の二酸化炭素分圧が上がり、腸内にガスがたまりやすくなって、必要以上のオナラがでてしまいます。 すっと背筋を伸ばして、呼気が十分できる複式呼吸をこころがけましょう。 次に、腸内ガスのほとんどは便とともに排出されるので、排便時に、できるだけ多くのガスを一緒に出してしまうことも大切です。そのためのコツは、排便の時、左下腹部あたりを腸を揉むようにマッサージするのもよいでしょう。ガスを搾り出す感じですね。 また、ガスは大腸の曲がり角にたまりやすいので、寝る前に布団の上で「ゴロゴロ回転して」腸を動かしてから就寝すると、よく朝の排便時は、うまくガス抜きができます。 もうひとつ大切なことはストレスをためないこと。ストレスは胃腸の働きや蠕動を悪くして、ガスがたまりやすくなるからです。 普通のオナラ(良いオナラ)なら、以上のことを気をつければ問題ないでしょう。 しかし、臭いオナラはどう対応したらよいでしょうか? まずなぜオナラが臭くなるのかを説明しましょう。 オナラに含まれるガスの発生には、3つのルートがあります。 第一のルートは、炭水化物系です。 芋や豆などの炭水化物が腸内の細菌により分解されると、二酸化炭素やメタンなどのガスが発生します。これらはさほど臭くないガスです。 第二のルートは、タンパク質系です。肉や卵などのタンパク質が細菌で分解されると、アンモニア、硫化水素、インドール、スカトール、揮発性アミン等のガスが発生します。これらの面々は全て強烈な「ニオイ成分」なのです。臭いオナラとなります。 第三のルートは、脂肪系です。脂肪が分解されると、揮発性の脂肪酸になり、これは汗のニオイと似ています。 もうお分かりでしょう。 臭いオナラになるのは、腸内で主に「タンパク質」が分解されるからです。 タンパク質が分解されやすい状態とはどのような時でしょうか? それは、「悪玉菌」が増えるときです。 実は、炭水化物は主に、ビフィズス菌等の善玉菌が分解し、タンパク質や脂肪は主にウエルシュ菌等の悪玉菌が分解するという役割分担があるのです。 タンパク質の分解産物の、アンモニアや硫化水素等のニオイ成分は、交感神経を刺激して、顆粒球を増加させ、活性酸素が発生し、腸粘膜を傷つけます。また相対的に腸免疫に関係するリンパ球が減少して、腸菅免疫力を抑制して さまざまな病気の原因となるのです。 これらのガスは「悪いオナラ」と言わざるを得ません。 ですから、「良いオナラ」とは、二酸化炭素、窒素、メタン、酸素などガスがメインの臭いの少ないオナラ。 「悪いオナラ」はアンモニア、硫化水素、インドール、スカトール、アミン等が含まれる臭いオナラ。 と分類することができるでしょう。 別な言い方をすれば、オナラは、腸内の健康状態を反映するバロメータにもなるということです。 肛門から出てきたばかりのオナラは腸内の「現場」を知っている「最初の目撃者」です。 あなたのオナラのニオイが急に強くなったとしたら、腸内の健康状態に注意しなさいという「目撃者証言」として耳を傾けるべきでしょう。 それでは、どうしたら「良いオナラ」にすることができるでしょうか? それには、「悪玉菌を減少させ、善玉菌を増やす」ことです。 対策の第一は、善玉菌の「乳酸菌」を十分に摂取することです。 乳酸菌は胃の酸で殺されやすいので、腸まで届く「乳酸菌サプリ」を摂取するのもよいでしょう。 ここで新情報ですが、今まで、ココアの整腸作用は知られていましたが、コーヒはあまり胃腸によくないように言われてきました。 しかし、コーヒ豆のマンノオリゴ糖には、ビフィズス菌の餌となり善玉菌の増殖効果が分かりました。 「ブレンディ」という名前で2005年3月に販売されるそうですので、オナラや便臭の気になるコーヒ党は、ためしてみてください。 第二は、食物繊維です。 食物繊維でも「ココアのリグニン」(説明済みです)は有効です。 さらにメカブやモズク等のヌルヌル成分の「アルギン酸やフコイダン」もよいでしょう。メカブと納豆を一緒にした「メカブ納豆」もいいですよ。メカブ納豆は「海のヌルヌルと山のヌルヌル」とが協力して相乗効果で腸内環境を整えるのです。 第三はニオイを直接抑える「消臭食物」を同時に摂取することです。 ポリフェノール類は植物性の直接消臭機能がありますので、お茶のカテキンなどを十分摂取するのがよいでしょう。 特に、お奨めは、「ニンジンの葉」(根より葉が効果的)です。ニンジンの葉は以前から人口肛門を使用している人ではニオイが減少するということでかなり知れ渡っている事実です。ニンジンの葉を捨てないでうまく料理に利用してください。 次に、マッシュルームなどにふくまれる「トレハロース」も消臭効果があります。 また、藍藻類(スピルリナ、クロレラ)には、アンモニアや硫化水素を吸収抑制する作用があると言われています。 さらに、パセリなどのセリ科の食物も特異的に腸内ガスのニオイを抑えるようです。 より簡単には、植物から取れる「精油」にも、体内毒素排泄作用や異常発酵の抑制作用があります。 例えば、前述のパセリ種子、ディル種子、フェンネル種子、クニン種子、シナモン、ナツメグなどの精油で、飲用できるものを、水やお茶に数滴垂らして飲むのもよいでしょう。 おならは腐敗物の排泄作用いう大切な働きがありますので、ことさら抑えるのでなく、うまく出すことが大切です。 ただ、NINAさんの、急にオナラの回数やニオイが強くなった場合には、過敏性大腸炎のような疾患の可能性もありますので一度内科の病院を受診することをお奨めします。
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