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 デオドラント剤の新しいコンセプト


 

投稿者名: チョビ

タイトル:私にあったデオドラント剤を教えてください


 

腋の臭いが気になります。薬局では、制汗デオドラント剤がたくさんあって、どれを使用してよいのか迷います。私にあった、デオドラント剤を教えてください。ちなみに、耳垢は、湿ってしるときといない時があり、腋毛は普通です。下着は夏は黄ばみます。遺伝は父親がワキガ臭がしたことがあります。宜しくお願いします。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:デオドラント剤はなぜ効くのか



 今まで、デオドラント剤については病院のHPという性質上、宣伝のようになるコメントは好ましくないという考えで、あまり触れてきませんでしたが、あなたのような質問も多いので、ここで制汗剤の仕組みと上手な使い方についてまとめておきましょう。

 薬局では、なにを選んでよいのか迷うくらいたくさんの製品が並んでいますね。
 しかし、それらの制汗・消臭剤の作用の仕組みはいたってシンプルなものです。

 それは、ニオイ発生の立役者である「汗」対策と「雑菌」対策のふたつにつきます。

 汗を抑えるものは収れん剤といって、クロルヒドロキシルアルミニウムやパラフェノールスルホン酸亜鉛などがよく使用されます。それらの金属塩は、汗の中に含まれるタンパク質と凝固物をつくって汗腺の出口を閉塞してしまうことで汗を抑えます。(実際にはもっと複雑な作用がありますが)

 雑菌の繁殖を抑えるのは抗菌剤の役目です。これらの殺菌剤には、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルフェノール、パラベン、トリクロサンなど数多くあり、これらの差が主にデオドラント剤の特徴の違いとなっています。最近では銀を含有したゼオライトを配合した製品も販売されて人気商品となっています。

 実際にニオイを抑える目的ならば、これらのどちらかを使用すれば十分なのですが、それでは製品としての価値がありませんので、化粧品会社では両者を組み合わせたり、さらにこれらの予防策を通り抜けて発生してしまったニオイ成分を吸着消臭する製剤や、違う香りでマスキングする香料などを加えるなどして、商品価値を高めているのです。


■デオドラント剤の上手な使い方

 まずこれらのデオドラント剤は「自信回復グッズ」と考えることです。医薬品ではありませんので、上手に使いこなすことです。サーバントのように使われてはいけません。
 そのためには、「自分の体臭の強さ」に応じた製品を選択することが大切です。
自分のワキガ臭の強さを知る「自己判定法」のチェック項目は既に説明しましたので参考にしてください。

 簡単な方法として、「耳垢がどのくらい湿っているか」ということを目安にしてください。

 そして、次の3段階くらいに自分の体臭の強さを分類します。

 (1)強度のワキガ臭 ー 綿棒で1回外耳道をこすり、キャラメルが溶けたときのような耳垢がつくようなら比較的強いニオイがあります。
 (2)軽度〜中等度 ー 綿棒がただ湿った状態になるだけなら軽度から中等度です。
 (3)非ワキガ ー かさかさな乾燥した耳垢が付着するようならワキガ体質ではありません。

 このように大まかに自分の体質を判定した上で、主に殺菌剤の種類と用途、機能で製品を選択します。たとえば、強度のワキガ臭なら、殺菌作用の強い塩化ベンザルコニウムなどの入った製品で、軟膏タイプやスティック式を選択します。殺菌効果の持続時間の長い銀配合のものでもよいでしょう。

 中等度以下なら、フェノール等の比較的マイルドな殺菌剤が配合された製品で、使用感のよいスプレー式で十分でしょう。

 ワキガ体質でない人なら、消臭作用のある植物抽出エキスを配合したウェットシートで腋を軽く拭くだけでも、汗くささは十分抑えられます。

 このような基準で消臭剤を選択した上で、自分の皮膚の性質にあっているかどうかを試しに短期間使用してみます。かぶれや色素沈着が生じるようなら、違う製品を選びましょう。帰宅したら濡れタオルで拭き取るようにしましょう。
 時に3つも4つも複数のデオドラント剤を持ち歩いて重ね塗りをしている人がいますが、過ぎたるは及ばざるがごとしです。皮膚の細菌をすべて殺してしまい、滅菌状態になると、より強い細菌や真菌が繁殖して、もっと強いニオイになることもあります。
 最近このように「デオドラント依存症」「ニオイ恐怖症」の人が、体の「洗いすぎ」とデオドラント剤の「つけ過ぎ」でよけい臭いが強くなって、悪循環をきたしている人が増加していますので、注意しましょう。

 制汗剤は前述のように、汗腺の汗孔を塞ぐことで汗が出ないようにするものです。体全体にスプレーするような人がいますが、この状態が持続的に続くことは体温調節にも影響して体によいことではありません。使用範囲は腋や足など局所にとどめましょう。局所のみの使用でも、できれば3日に1回とか1週間に2回というように制汗剤を使用しない日を設けることも大切でも、汗腺にも「休汗腺日」や「休制汗日」が必要なのです。
 
 その間どうしてもデオドラント剤を使わなければ不安で外出もできないという人もいます。その場合には、殺菌作用の弱い植物性の消臭剤を使用するか、以前紹介したミョウバン水を代わりに使用するとよいでしょう。
 また、直接肌でなく、衣類にスプレーして、衣類を消臭機能をもたせ、体臭を外部に漏らさなようにするデオドラント剤も発売されますのうまく利用するのもよいでしょう。

 さて、メールの内容から、あなたのワキガ度を判定すると「軽度」でしょう。

 その場合には、できれば、殺菌剤の入ったデオドラント剤は避けた方が無難でしょう。
 ワキガ度が強くなれば、腋に住み着いている常在菌もジフテロイド菌のような比較的強い菌が主体となりますので、強い殺菌剤で滅菌状態になっても回復力はあります。
 でも、軽度や非ワキガの人の腋は、通常の「表皮ブドウ球菌」が主体です。この菌はあまり洗いすぎたり、完全に滅菌をしてしまうと、黄色ブドウ球菌や真菌等のより強い菌が繁殖し、より強い臭いを発生する可能性があります。

 したがって、あなたの場合には、アルコール類が含まれたウエットシートで軽く腋を拭いて除菌してから、植物性のおだやかな消臭剤をスプレーするたけでも、健康的にデオドラント効果が期待できるでしょう。

 

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