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腐った魚のような体臭はトリメチルアミヌリアの可能性もあります

投稿者名：ミニー

タイトル：異常なほど強い体臭の子どもがいます

「幼稚園の保母をしています。
子供達の中に一人だけ異常に臭いの強い子がいます。
明らかに、他の子とは差があり、何か病気ではないかと心配です。
まだ、子供達どうしでの話題にはなりませんが、将来いじめの対象にならないかと考
えると、親にそのことを言うべきが悩んでいます。
よいアドバイスをお願いします。

投稿者名：五味院長

タイトル：トリメチルアミヌリアの可能性もあります

お答えします。
今回の回答は、明確な返答ではありません。あくまで可能性の話として理解してください。

あなたは、保母さんとして日頃たくさんの子供達を接しているわけですね。そのような立場のあなたが一人の子だけに異常に強い体臭を感じるとしたら、嗅覚の誤認ではなく事実として考えるべきでしょう。

その場合には、幼稚園児にアポクリン腺はまだ発達していませんからその体臭がワキガ臭ではないことは明白です。
もっとも考えられることは、成長期にホルモンの変動から体臭が強くなることがあり、これは数年を経過すれば自然と軽減するものです。

しかし、その子が、「くさった魚の匂い」がするようであれば、「トリメチルアミヌリア」という代謝病の可能性も否定はできません。
この病気は欧米ではかなり多く、文献もみられますが、日本人では非常に稀で、わたし自身症例の経験はまだありません。

これは、欧米の文献からの説明ですが、トリメチルアミヌルアは、別名「ｆｉｓｈ　ｍａｌｏｄｏｒ　ｓｙｎｄｏｒｏｍｅ」といわれるようにうに、腐った魚の匂いを汗、尿、息から発します。
その原因は、食べ物の中にあるコリンやレシチンという物質が腸内細菌が「トリメチルアミン」という物質に分解するのですが、これが強い腐った魚臭を呈するのです。
通常では体内の酵素がトリメチルアミンを他の臭いのない物質に酸化分解するのですが、この病気の人は特異的にそのような分解酵素が欠乏しているのです。
ですから、コリンやレシチンを含む食物を食べると、トチリメチルアミンが体内に蓄積され、強い体臭となるのです。

この疾患の確定診断は、大きな大学病院等の内分泌科で酵素や遺伝子を調べてもらうことで可能ですが、わたしの知っている範囲では残念ですが日本ではこのような診断をしている施設はまだないようです。

しかし、おおよそを推定することは可能です。
それは、トリメチルアミンの原料となるコリンやレシチンを含む食事を一定期間しないことで、体臭が減少すか変化しないかを確認することです。
仮に、明らかに減少したとしたら、この病気の可能性はあります。

もしトリメチルアミニリアと診断された場合の治療ですが、残念ですが、これも現在のところ有効な治療法は報告されていません。

しかし、診断に応用したことを、治療に応用することは可能です。
つまり、トリメチルアミンの原料となるコリンやレシチンを含む食物を摂らないことです。
コリンやレシチンは、魚、卵、レバー、大豆等の多く含まれていますから、これらの食べ物を人前にでる時は徹底的に控えることです。

この病気があっても、身体的にはまったく問題はないのですが、無臭志向の現代では、やはり社会性で非常なハンディーを背負うことになります。
あなたの質問にもどりますが、親御さんにはこのような病気があることをぜひ説明する必要があるでしょう。

子供達が体臭を意識する年頃になる前から、食生活に注意することで体臭を減少できるのですから、ぜひ教えてあげるべきだと思います。

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