投稿者名:五味院長
タイトル:酸っぱい匂いの正体
マリポーサさん。
このサイトの投稿者のすばらしい見識にはしばしば驚かされますが、あなたの場合もしかり。
しかも、あなたの嗅覚はかなり高度なニオイ識別能力があるようですね。
ご質問ですが、ご指摘の通り、「脂臭い」は皮脂腺から、「酸っぱい匂い」はエクリン腺からと考えてよいでしょう。
しかし、これはあくまで「一般的に」ということです。
つまり、ニオイは、音程や色別のように明確に区別できるものではありません。
どこからが皮脂腺のニオイでどこからがエクリン腺のニオイであると明確に区別することは、あなたのような、犬並とは言わないまでも高度な「利き鼻」の持ち主でも困難でしょう。
しかも、背中は顔や胸などと共に皮脂腺の豊富な場所ですから、エクリン腺の汗と皮脂腺の皮脂とは、共同して「匂い」をかもし出しているのです。
しかし、あなたのすばらしい見識及び認識は無視できません。
これは、わたしの個人的な認識ですが、「酸っぱい匂い」をかもし出している張本人は、エクリン腺の汗に含まれる「乳酸」ではないかと考えています。
汗は、通常、重炭酸イオンによるアルカリ度が高まると匂いが強くなると言われています。
確かに、汗の総体的な匂いの強度では重炭酸イオンの量が重要ですが、「酸っぱい匂い」に関してはむしろ「乳酸」の影響が大きいと思います。
なぜなら、乳酸は汗の成分でも最も「酸」がつよく、乳酸が他の匂い成分の混ざりあったとき「酸味臭」を付加する可能性がつよいからです。
しかし、わたしの「匂い体験」からすると、この「酸味臭」は決して不快な匂いではありませんでした。
たしかに、乳酸の量が異常に増加して、汗のなかに並行して尿素やアンモニアが増加してくるとツーンとした「刺激臭」が加味され不快感はしますが、健康な人の「酸っぱい匂い」は決して悪臭ではありません。
そうは言っても、あなたのような見識のある人なら、「匂いを抑える対策」の方に関心が向かうはずですので、基本的な生理学だけここでお教えしましょう。
エクリン腺の汗の中に「乳酸」が増える場合は、発汗のエネルギーを「解糖系」という方法で得る時です。
もう一つのエネルギー代謝である「クエン酸サイクル」と言う方法では、完全燃焼するためこの乳酸は生産されません。
汗腺が「解糖系」か「クエン酸サイクル」かを選択するのは、抹消血管の血液の中や組織の中の「酸素の量」なのです。
酸素が十分あれば、クエン酸サイクルで、不十分なら解糖系のエネルギーで発汗をするのです。
ですから、見識あるあなたならもう「酸味臭対策」は浮かんだでしょう。
そうです、全身の「血液の流れ」を良くしてあげることです。
全身の血液循環がとどこうりなければ、抹消血管にまで十分な酸素が供給され、乳酸は生産されません。
血液の流れを良くする方法、これはもう数え切れないほどあります。
いろんな書物にもあります。あなたながらに勉強をして、その成果をこの掲示板でぜひ発表してください。
最後の蛇足ですが、私個人としては、あなたのその「酸っぱい匂い」は消してほしくはありません。
遠い昔の紅顔(厚顔?)の美少年だった頃、密かに恋をしたほっぺの赤い少女の香りを想いだすからです・・・。
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