投稿者名:五味院長
タイトル:Re: 額の汗
かずさん
顔の汗は、手のひらや脇の汗と異なり「隠す」ことが出来ないところですので、あなたが生活面での「行動範囲を制限」したくなるお気持ちはよくわかります。
じつはあなたの額の汗は、この掲示板によく出てくる手のひらや足の多汗症と原因は全く同じなのです。
つまり外気の温度が上がる時に発汗する「温熱性発汗」ではなくて、精神的な緊張がベースとなる「精神性発汗」の一つなのです。
人間の体にはエクリン腺という汗腺がほぼ全身に分布しているのですが、それが満遍なく散らばっているのではなく「密度」が濃いところと薄いところがあるのです。そしてこの精神性発汗はこのエクリン腺の密度の濃いところを中心に行う傾向があり、実は「額」は体のなかでも最もエクリン腺が密集している場所なのです。
治療法は基本的には他の場所の精神性発汗と同じです。
しかし違いもあります。
それは額は顔面にあるわけですから、腋の下のように制汗剤を塗りつけるようなことはできません。また腋の下の手術療法や手のひらの神経ブロックのような根治的な治療法が今現在開発されていないことです。
そこであなたの話のもどりますが、基本的な治療法は当然ながら精神療法が中心になりますが、仮にあなたが朝の電車の中だけでも汗をいくらかでも抑えたいというのであれば「塩化アルミニウム液」で額の部分を湿布して出かけ、会社についたら水でよく洗い流すという方法がよいのではないかと思います。
塩化アルミニウムを額に1日中、塗布していることはお薦めできませんが、1日数時間であれば問題ないと思います。
勿論、かぶれなどの症状が現れたらすぐに中止してください。
また将来は「ボツリムス毒素A]の皮内注射などの効果的な方法も一般化してくると思いますのであきらめないでお仕事に集中してください。
最後に一つだけ簡単なアドバイスです。
あなたは電車のなかなどでハンカチを絶えず持ち歩いて、ひっきりなしに額の汗を拭いてはいませんか?
これがよけい汗をかかせる原因になるのです。
夜眠れない時眠ろうと努力するとよけい眠れなくなる、のと同じです。
ハンカチで汗を抑えようと拭けば拭くほど後から汗が出てくるのです。
また電車の中でのそのような行為は周囲の乗客の注意を誘う元です。
その視線にあなたが神経質になっていることはご自分が一番わかっていることです。
電車のなかではなにか本でも読んで平然としていること。
これがコツです。
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