投稿者名:五味院長
タイトル:精神性発汗型多汗症の治療
Y・Yさん。
今ちょうど手術が終わりかなりの疲労感を感じていますが、「お疲れ様です」というようなメッセージをいただくと、疲れがどこかへ飛んでいってしまいました。
ありがとうございました。
さて、Y・Yさんの、腋の汗ですがこれはメールからの情報で判断しますと、典型的な「精神性発汗型多汗」です。
腋の下の多汗には、これ以外に「ワキガ型多汗」とそれの「混合型多汗」さらに女性では「副乳多汗症」がありますが、 耳垢も軟らかくなく、腋毛の状態からして、「ワキガ型」は想定しにくく、「副乳多汗症」では、かなり大量の汗がでますが、これでもないとして考えると、腋のエクリン腺からの「精神性発汗」が原因となる多汗症だと断定しても間違いないでしょう。
精神性発汗は、緊張などした時に「手に汗にぎる」現象と全く同じ状態の汗が腋の下のも起こることが原因です。
ですから、治療法としては、まず「自律訓練法」等の精神療法などがファーストチョイスとなりますが、あなたのようにかなり精神的に緊急性がある場合には、手術療法の適応となります。
精神性発汗型多汗の手術は、基本的には「ワキガ型多汗」の手術を同じですが、実はその減汗量に差があります。
ワキガ型では、70%〜90%の汗が減るのにたいし、精神性発汗型では50%〜60%とやや汗の減る量が少なくなります。
ですから、「かなり悩んでいるので、その程度でもとにかく減らしたい」という希望であれば手術は、意味があります。
なぜなら、そのような人なら手術にかなりの満足感をもち、そのことが精神的安心をもたらし、そのことがさらに汗を減らして、さらに安心し・・という「好循環」が生まれ、実際の手術によって減った汗以上の減汗効果が期待できるからです。
精神性発汗の手術は、真皮のエクリン腺の剥離量と皮下の剥離面積が、ワキガの手術より多いため、術後の安静には少し気をつけてもらいますが、それ以外はワキガ手術の経過と同じですので、これは過去の掲示板の説明を参考にしてください。
手術内容についての質問がありましたら、この掲示板でもまた直接メールや電話でもかまいませんので問い合わせてください。
しかし、あなたの場合には、かなり深刻な状態ということで手術を前提に説明しましたが、決して手術を薦めているわけではありませんので誤解しないようにしてください。
治療法の選択は、あくまでも患者さんの意思が優先されるべきものです。
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