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 植物エキスでわきが抑制

 

投稿者名:山種

タイトル:植物エキスでわきが抑制


 

五味先生。薬局を経営している者です。先日、新聞でカネボウ製薬が「わきが抑制の機構を解明し、アポクリン腺の活動阻害する植物エキスを発見した」という報道を見ました。
その中に、新宿の五味クリニックの協力の元に研究を進めたという記述もありましたが、新しい消臭剤は開発されるのでしょうか?お客様の問い合わせもありますので先生の分かる範囲で教えていただきたいと思います。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:植物エキスで「ワキガ体質改善」の可能性



山種さん。
実は、カネボウ製薬の今回の研究は、わきが治療の歴史を塗り替えるかもしれない画期的な発見だったのです。私のクリニックがその一翼を担うことができたとしたら、望外の光栄です。

わきがの治療には、大きくわけて2つのアプローチがありました。

ひとつは、消臭剤や制汗剤を利用する方法です。
従来のデオドラント剤による消臭法は、アポクリン腺から皮膚面に分泌された後のニオイ成分を吸着したり、皮膚上に棲んでいる細菌を殺菌することでニオイを防止していました。
これらの方法ではわきが臭を発生するみなもとのアポクリン腺に直接作用するものではなく、いわば「間接的な療法」でした。

アポクリン腺に対する直接的な作用つまり根治的治療を期待することは従来の消臭剤では不可能だったのです。

原因を元から絶つ「根治療法」のためには、病院に行って、手術や電気治療といった外科的治療を受けなければなりませんでした。

ところが、今回の発見により、外科的方法でなくとも消臭剤(外用剤)を塗布することで、わきがの原因となるアポクリン腺そのものの機能を抑制することが可能になる道が開けたのです。
つまり、消臭剤によりワキガの「体質」が改善される可能性があるということです。
これは、画期的な発見なのです。

カネボウ製薬が、今回の研究をすすめるにあたり、当院で手術受ける患者さんにご協力をいただき、私が「わきがの程度」を5段階に正確に分類し、そのワキガの程度と、当院で摘出したアポクリン腺を特殊染色して、その分泌活動とを比較検討することで、ワキガ臭発生のメカニズムを解明できたのです。
さらに、漢方の生薬に精通していたカネボウ製薬が、アポクリン腺の活動を抑制する植物エキスを発見することができたのです。

ここで、新聞報道をそのまま紹介しましょう。

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化学工業 平成18年6月2日 5面

カネボウ製薬 わきが抑制の機構解明
アポクリン汗腺の活動阻害 植物エキスも発見

 カネボウ製薬は、わきがを抑制する新たなメカニズムを解明した。原因物質を排出するアポクリン汗腺の活動全般にかかわる酵素を特定するとともに、この酵素の働きを阻害する数種類の植物エキスを見いだした。同社では、わきが対策の新商品開発に今回の知見を応用していく。

 わきがの原因は、アポクリン汗腺から分泌される脂質やたん白質などからなるミルク状の液体が、皮膚の常在菌によって分解されてにおいが発生すると考えられている。

 従来のデオドラント剤は、皮膚常在菌の殺菌や吸着剤による汗の吸収、香りによるマスキングなどでにおいを防止していたが、同社はアポクリン汗腺そのものの働きに着目。五味クリニック(東京都新宿区)の協力を得て、アポクリン汗腺の構造や、におい物質分泌の詳細な研究を進めてきた。

 アポクリン汗腺は、管が幾重にも巻かれた構造で、その管の内側にある分泌細胞の一部が切断され、中空部(アポクリン分泌管腔)を通って外部へと分泌される。この分泌物が原因となる。分泌後には、失われた細胞は徐々に再形成される。

 同社は、わきがに悩む男女九人から抽出したアポクリン汗腺を観察したところ、においが強い人ほどアポクリン分泌管腔が大きく、分泌活動が活発であることを確認、またにおい物質の分泌(分泌細胞の離出)から細胞の再形成という、アポクリン汗腺の活動サイクル全般にわたって「アルカリホスファターゼ」という酵素が関与していることを突き止めた。この酵素の働きを阻害することで、におい原因物質の分泌を抑制できると考え、約五十種類のエキスをスクリーニングしたところ、セージ、アルテア、オウゴン、ローマカミツレなどのエキスに、この酵素に対して強い阻害活性があることがわかった。

 これらのエキスが実際に分泌抑制効果があることもヒトを対象とした試験で確かめられている。男女十六人に、これらのエキスと殺菌成分を配合した外用剤をわきに塗布し、ガーゼで汗を吸収してわきのにおいの元である低級脂肪酸量を測定し、殺菌剤だけを塗布した場合と比較した。

 この結果、最も効果があった人では、とくに臭気が強く、濃厚なチーズのようなにおいのする酪酸の量が約八〇%、すっぱいにおいのするイソ吉草酸が約六〇%低減した。

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報道内容は以上です。

専門的で難しい内容ですが、ポイントは、仮にこれらの植物エキスを配合された消臭剤(外用剤)が発売されるとしたら、従来の消臭剤とは全く異なり、ワキガ臭発生の原因となるアポクリン腺の活動そのものを抑制する「根本的防臭法」となる道が開けたことです。
今までの消臭剤を何年使用し続けたとしても、その人のワキガ臭がなくなるわけではありません。つまり、ワキガの体質は変わりません。ある消臭剤の効果は、その消臭剤を使用している間だけなのです。

ところが、今回のカネボウが発見した植物エキスを配合した消臭剤は、アポクリン腺のワキガ成分の分泌を促進する「アルカリホスファターゼ」という酵素の活動を抑制することで、アポクリン腺の分泌能そのものを抑えてしまうのです。
つまり、この消臭剤の使用で、「ワキガ体質」そのものを改善する可能性があることを意味します。

これは私の仮説ですが、軽度〜中等度のワキガ体質の人なら、思春期のアポクリン腺が成長する前から、少しづつ使用することで分泌能が低下していき、長期的にはアポクリン腺そのものが「萎縮」していき、いずれは消臭剤を使用しなくともよい状態にまで至る可能性があると考えています。

勿論、ワキガ臭の程度が強度の人では、従来の殺菌作用の強い消臭剤を併用したり、100%完治させるなら手術が必要となるでしょう。

しかし、今回の発見が「ワキガ体質改善剤」として実用化されるなら、ワキガ臭で悩む多くの人のコンプレックスが解消されることでしょう。
ワキガ臭で悩む人は、いくらデオドラント剤で消臭しても、その体質そのものが変わるわけでなないことが劣等感に繋がっているのです。
その消臭剤を使用することで、その消臭剤を使用しなくともよい道が開けることは、患者さんに大きな「夢」をあたてくれるでしょう。

だから、そのような消臭剤が実用化されたとき、その消臭剤のネーミングは例えば「Dreamy(ドリーミー)」のような夢を与えてくれる商品名であってほしいと思います。(カネボウさん、検討してください)

また、具体的に製品が発売されたら、このHPで紹介しましょう。

 

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