投稿者名:シルヴィ
タイトル:洗髪の回数を減らしたら、頭臭が少なくなりました
はじめまして。大学3年の女です。私は高校のときから頭や髪の臭いに悩んでいて、朝晩の一日2回は洗髪していました。先生のHPに洗いすぎはニオイを強くすると書いてあり、2日に1回に洗髪の回数を減らしてみたら前より臭いが少なくなりました。3日に1回の洗髪ならもっと効果があるでしょうか? でも頭が不潔になりよけい臭いが強くなるのではないかと心配です。返答を御願いします。
投稿者名:五味院長
タイトル:洗剤を使わない洗髪について
シルヴィさん。 私はあなたのような質問を待っていました。 なぜなら、今日本人は清潔志向が強く、その結果「体や髪をよく洗うこと=清潔」、「垢やホコリがないこと=清潔」と、清潔の本当の意味を誤解している人が多いからです。 医学的に言えば、「清潔」とは、「皮膚面に病原菌が住み着いていないこと」または「常在菌と病原菌のフローラのバランスがとれていること」を意味するのです。 だから、皮膚の垢やホコリを一粒残らず洗い去ることが「清潔」ではないのです。 皮膚の垢を全て洗うという行為は、むしろ本当の「清潔」とは逆の事態になる可能性もあります。 つまり、洗い過ぎる行為は垢と一緒に皮膚の正常な常在菌、特に表皮ブドウ球菌をも洗い流してしまうからです。 体に棲み付いている常在菌は、水虫の真菌のように強固に皮膚内に付着しているのでもなければ、表皮の中に直接入り込んでいるわけでもありません。 皮膚の表面に皮脂膜とともに遠慮がちに棲んでいるのです。 そのような控えめに生活している常在菌は、シャワーを浴びるだけで80%近くが、お風呂に入るだけで90%近くが、さらに洗うことで95%近くが洗い流されていなくなってしまうと言われています。 しかし、常在菌は人間と共生したいがために、運良く残ったった5%が必死の思いで1日をかけて仲間をやっとこさ増やして元の数に戻しているのです。 その上にです。あなたは洗剤を使用して体を洗います。洗剤は当然ながら洗浄力が強い。洗浄力の強い洗剤でゴシゴシ洗えば、常在菌は限りなく0%に近くなってしまうでしょう。 そうなるとどうなるか? 今度は黄色ブドウ球菌等のより強い雑菌が繁殖しやすくなるのです。より強い雑菌とはより強い臭いをつくる菌のことです。 つまり、表皮ブドウ球菌等の常在菌は、より強い臭いをつくる菌が繁殖しないようにニオイバリアーともなっているのです。 頭も体と同じです。頭皮にも皮脂膜があり常在菌が住み着いています。それらが、あなの頭のニオイを防いでいるのです。 さて、質問に戻りますがあなたは以前、一日2回も(多分)シャンプーを使用した洗髪をしていたわけです。 上記の理屈からあなたの頭皮上の常在菌の様子を推測すると、もうほとんどの菌がいなくなり残りも瀕死の状態となっていたことでしょう。 つまり、ニオイバリアーがほとんどなくなっていたのです。 だから、あなたが洗髪を二日に1回にしたのは賢明だったと思います。 本当は、洗髪は3日に1回で十分なのです。 しかし、それではあなたは別の心配をするでしょう。 「洗髪し過ぎるのは良くないことは分かった」でも「3日も洗わないと、今度は本当の垢の臭いがしてくるのではないか?」という心配です。 2日に1回ならまだしも、3日も洗わないなど清潔好きのあなたには耐えられないことでしょう。 そこで私からのアドバスです。 3日に1回とは言いません。今通りの「2日に1回」のペースでよいので、「2回に1回」くらいは洗剤やシャンプーを使用しないで洗髪してみてください。 洗剤は、アルカリ性のものが多いため、多用すると弱酸性を好む常在菌が棲みにくくなります。 ですから、2回に1回は、「洗剤を使用しない洗髪」がお奨めなのです。 実は、垢やホコリだけなら水のシャワーだけでも十分洗い流すことはできるのです。 しかし、問題は皮脂です。皮脂は水にとけにくいので「水シャワー」ではなかなか難しいのですが、「温水シャワー」なら十分溶解して洗い流れます。 ですから、シャワーは、垢やホコリを落とすなら、「ぬるめのシャワー」で、皮脂を落とすなら「熱めのシャワー」で洗うのがよいでしょう。 ところが、熱めのシャワーには欠点があります。 それは、タンパク質を凝固させ固まらせてしまうことです。 皮膚上のタンパク質は、垢にも含まれています。皮膚の角質の素材でもあります。皮脂からも汗腺からも出ます。 それらが、凝固して固まると、皮脂の出口がふさがり皮脂が出にくくなったり、垢が皮膚に固着して取りにくくなったりします。 そこで、熱湯のタンパク質凝固作用を防止するものを使用するのです。 それは「塩」です。塩のナトリウムイオンは、タンパク質を溶かす「塩溶効果」があります。 最近、ある電気メーカーが洗剤を使用しない食器洗い乾燥機を発売したところ大ヒットしましたが、その食器洗い機には、塩が含まれているのです。つまり、塩の力で、食器の3大ヨゴレのタンパク質、油脂、でんぷんを洗い流しているのです。 頭にあるヨゴレも食器とほぼ同じです。 お湯だけのシャワーで洗髪する前に、粗塩を小さじ1杯〜2杯くらい(多めでもかまいません)洗面器に入れお湯を加えて「塩入り洗髪水」をあらかじめつくっておきます。 そして、次の順序で洗髪をします。 まず、ぬるめのお湯で垢やホコリや皮脂を落とす目的の洗髪をします。 その後、作っておいた「塩入洗髪水」を頭皮によく浸透するようにかけます。それで軽く洗ってもよいでしょう。 最後に、やや熱めのお湯でタンパク質を落とす目的の洗髪をします。 このようにすると、垢・ホコリ・皮脂・タンパク質はすべて荒い流されて、しかも皮膚面の酸性と常在菌を保つことができるでしょう。 シルヴィさん。 これからは余談になりますが、私の敬愛する作家の五木寛之さんは、一年で季節の変わり目のたった4回しか洗髪をしないということを聞いたことがあります。それでもお写真で拝見するとあのような艶のあるフサフサの髪をされています。 お会いした方のどこからも頭が臭ったという話は聞こえてきません。 実際、現代の日本女性はかつてないほど、洗髪好きなのです。 現在ほど頻回にしかも洗剤を大量に使用して髪を洗った時代はかつてありませんでした。 昔の女性は多分1週間に1度くらいしか、髪を洗うことはなかったでしょう。 しかも、昔の女性はたいてい長髪です。髪を結うということは髪が長いからできることです。 髪を洗う行為は、ものすごい水を必要とします。 昔の内風呂にはシャワーはありませんでした。風呂の中のお湯を洗髪に使用するしかなかったのです。 一人の女性がその大切な風呂の湯を大量に使用してしまったら、後で入る人は半身浴しかできなくなってしまいます。 だから、頻回の洗髪などしたくてもできなかった。 しかし、私は、それこそ、日本女性がつややかな髪を保てた理由ではないかと考えています。 古来の文献でも、昔の女性の髪が臭かったという記載はありません。 髪は元々キューティクルというガラスのような角質でできていますので本来垢やホコリが付着しにくいからです。 そのキューティクルが傷ついたり、枝毛になったりすると、その傷のところに垢やホコリさらにはニオイ成分が付着しやすくなり臭い髪になるのです。 その髪を傷つけることは何か? それが激しい洗髪です。洗髪後の熱いドライヤーです。 シルヴィさん。昔の日本女性のようにとは言いませんが、もうそろそろ現在日本の行き過ぎた清潔志向を見直す時期になっているのではないでしょうか。 行き過ぎた清潔志向が、かえってニオイを増幅している。このようなパラドックスに早く気づくべきでしょう。 シルヴィさん。あなたがその先駆者になってください。 2日に1回の洗髪でも効果があったなら、今回説明した塩をうまく利用して次は3日に1回の洗髪にチャレンジしてみてください。よかったらまた報告してください。
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