投稿者名:サトウ
タイトル:岩盤浴後の寒気について
五味院長へ 始めまして 昨年の8月に岩盤浴をオープンしたものです。 最近だんだんと口コミで当岩盤浴場の事を知った方々が足を運んでくださるようになって来ました。 さて・・ そんな中で、今日で4回目だというご婦人方から質問をいただきました。 「初めて岩盤浴を体験した時、ものすごい汗をたくさんかいて体が温かくなった」そうです。 が・・家に帰って、コタツに入ったら、何だか体の芯から寒気がしてきたそうです。 お仲間5人で来たのだけれど、その中の3人が同じように寒気がしたとのことです。 これは、「体の毒素が出て行ったからなのでしょうか?」という質問です。 このような状態になったのは1回目だけで、2回目からはとってもポカポカで汗もものすごくかくし、体もリフレッシュするのでとても気に入って下さっています。 そういう訳で、一回目の体感が何だったのかどうしても知りたい!ということなのです。 これは、いわゆる「好転反応」の一種なのでしょうか? お忙しい中かと存じますが、ご教示いただければ幸いです。
投稿者名:五味院長
タイトル:岩盤浴の温熱作用について
サトウさん。岩盤浴の利用者の方からも同じような質問がありましたので、岩盤浴の温熱作用についてここで説明しましょう。 岩盤浴を利用した人に、「初回の入浴では、あまり温まった感じはしなかった」が「2〜3回後からやっと芯まで温まってきた」というケースが少なくはありません。 それは、岩盤浴の温熱作用の特徴に理由があると思います。 私は、岩盤浴の温熱作用が3段階で行なわれると考えています。 第一段階は、加熱された岩盤の床やパネルからの直接的作用です。これは通常の入浴や暖房機の温熱作用と同じです。つまり高温の岩盤からより低温の体に熱が物理的に移動する「熱伝導」の段階です。 第二段階は、岩盤の鉱石の放射する遠赤外線が、深部まで到達して、体内の細胞に運動エネルギーを与えることで「共鳴振動」を起こし、細胞間の摩擦熱で体が満遍なく温まる「自己発熱」の段階です。 第三段階は、体が温まったことにより「代謝率」が高まり、その代謝の結果さらに熱が発生して体温を高め、さらに代謝率が高まり、さらに熱が発生するという「熱循環」が生ずる段階です。 主に肝臓などの内臓系や筋肉系で生じた熱循環が、高代謝により血行をさかんにして、全身の組織に温熱効果を広げる「血液循環」の過程も含まれます。 岩盤浴の温熱作用は、以上の3段階の作用が総合された結果と言えるでしょう。 この中で、第一段階の温熱作用は、物理的な熱伝導ですので、受身の作用です。岩盤浴の初心者でも経験者でも誰でも同じ作用を受けます。 ところが、第二段階と第三段階の温熱作用は、体自身が発生した熱です。より積極的な作用と言えるでしょう。 効率よく作用するには「慣れ」や「経験」が必要です。 筋肉の運動でも最初はぎこちないけれど、慣れてくるとスムーズに動いてきたり、アルコールの代謝も始めて飲む人は酔いやすいのと同じです。 特に第三段階の代謝は、酵素による触媒作用という化学反応であるため、酵素活性を高め効率よく熱産生をするためにはそれ相応の条件(経験や回数)が必要となります。 ここで、あなたの質問にもどりますが、3名の方が初回時に「寒気を感じた」というのは、「芯までよく温まっていなかった」ということでしょう。 つまり、第一段階の温熱作用のみで、汗をかいたのです。第二、第三段階の温熱作用がまだ十分ではなかったのです。 熱伝導のみによる温熱効果は、まず皮膚表面が温まり、深部は後回しです。特に岩盤浴はお風呂やサウナのように高温ではありませんので、深部までの伝導作用は限られてしまいます。 皮膚面の温度センサーから指令された汗は、一気にどっと出て、急激に体温を下げます。 このような時、「寒気」を感じることがあります。 しかし、2回目以降の利用では、遠赤外線の温熱作用を体が受け入れることができ、その結果代謝熱も十分産生できるようになったのです。つまり、芯まで温まり、深部温(脳温)を下げるための脳のセンサーからの指令による汗をかいたのです。 既に説明した通り、脳のセンサーからの指令よる汗は「じっくり・ゆっくり」かくため、急激な体温低下は起こりません。寒気を感じることも少ないのです。 以上が、3名の方が寒気を感じた理由でしょう。もちろんそれ以外の原因も考えれます。例えば、その時の外気の温度が低いこと。たまたま、3名が風邪の引きはじめにあったこと。そしてこれは施設側の問題ですが、室温が低すぎたことや利用時間が短すぎたことです。(岩盤浴ルームの温度と湿度については非常に微妙な問題ですので別な機会にお話しましょう。) これらのことは除外した上で、 初回利用者の人には、「寒気を感じない」ように十分芯まで温まる配慮が必要でしょう。 まず、初回の利用者には予約の時に、普段より厚着をしてくるようにアドバイスをすることです。1枚余分に上着を持参して、帰宅時に体が冷えない工夫も大切でしょう。 そして、通常水分補給は冷えたペットボトルが普通ですが、初回利用者に限っては、温かい飲み物を提供するような配慮も必要でしょう。できれば、体を温める「ショウガ湯」を薦めるのもよいでしょう。 さらに、利用後の休憩室が寒く感じるという人がいたら、入浴後に熱めのシャワーで体を温めてから帰宅するのもよいでしょう。(通常、岩盤浴後のシャワーは「もったいない」ことですが、この場合は例外です) 初回利用者には入浴前に、既往歴(特に高血圧や心臓病)やその日の体調(特に体温)なども確認してから入浴してもらうことも大切でしょう。 ● 「好転反応」について ここから先は、岩盤浴の経営者の方にアドバイスです。 私事になりますが、先日岩盤浴の講演会で講師を頼まれた時、司会者の方から「岩盤浴の伝導師と言われる五味先生でーす。」なんて紹介されました。 今の岩盤浴ブームをつくった一人としてまんざら悪い気はしなかったのですが、次のように答えました。 「私は岩盤浴がフキュウ(普及)することを願っていますが、岩盤浴をフキョウ(布教)するつもりはありません」と。 岩盤浴は、治療施設でもなければ、宗教施設でもありません。保健行政的には「その他の浴場」に過ぎないのです。 だから、岩盤浴では「ガンが治る」「糖尿病に効く」などの効能をうたってはなりません(この点については既に何度も警告していますが再度注意してください) と同時に、岩盤浴を妄信するようなこともいけません。 最近どこかの宗教でありましたね。 インシュリンを自己注射していた糖尿病の患者さんに、「これだけを信じれば治る」などと妄信させて死亡させてしまうような事件が。このようなことは岩盤浴では絶対起こしてはなりません。 発汗健康法としての生活法の中で、岩盤浴の愛好者になることはよいでしょう。しかし、岩盤浴の信奉者になることは危険です。 少し気になったのは、あなたのメールの中の「寒気は体の中から毒素がでたからなのか」とか「好転反応のためなのか」といった表現に岩盤浴万能主義に陥る危険性を感じたことです。 岩盤浴でも、ちょうど漢方で言う「瞑眩(めんげん)」のような反応がないとは言えません。 瞑眩とは、漢方薬の服用中に、好ましくない症状が生ずることです。一般的には、好ましくない症状を副作用と呼びますが、漢方ではそのような症状が、体が好転している証であると捉えることがあります。 しかし、そのような解釈は十分な経験をつんだ漢方医だけに許された判断法です。 岩盤浴でも、利用者の方が入浴中や入浴後に体の不調を訴えることがあります。 これを瞑眩のように「体から毒素が出て行った証であり」、「好ましい好転反応である」と考えるべきではありません。 岩盤浴の利用中や利用後に訴える体の不調は、まず「岩盤浴を利用したことによる不調である」と因果関係を疑って、利用の仕方を変えたり、「利用者の体質と岩盤浴が合っていなかったのでは」と考えて利用を一時中止するなどして、専門医の診察をあおぐべきです。 たとえ、後日体の調子が回復して利用前より症状が好転したとしても、それは「好転反応」だったのでなく「偶然の結果」であったと考えるのがよいでしょう。 岩盤浴の老舗店の経営者が陥るワナがあります。 それは、長く経営しているとその施設の利用者の中に「腫瘍がなくなった」とか「血糖値が下がった」とか「痛みがとれた」・・・・とかとか、報告する人が必ず一人二人とでてくることです。 そのような一部の現象をもって「自分の岩盤浴はかようにすばらしい効能がある」とか「他の人にも同じように効果があるのではないか」といった過大な妄信をいだいてしまうことです。 自分の店のすばらしさを信じたくなるのは人情です。 しかしです。 たとえ、岩盤浴の効能と信じたくなるような人が何人出てこようとも、経営者(利用者が信じるのは自由です)だけは「効く」「治る」という言葉は自分の胸の内だけに収めておく必要があるでしょう。誘惑に負けてはなりません。 そのような言葉が喉のココまで出てきそうでも、ぐっと腹の奥まで押し戻して、自分の腹の中だけで暖めておくのがよいでしょう。 お腹の芯まで温まるのが、岩盤浴なのですから。 それが、岩盤浴の健全なフキュウ(普及)の道だからです。
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