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お茶(ほうじ茶)の消臭効果について教えてください

 

投稿者名:三枝子

タイトル:お茶(ほうじ茶)の消臭効果について教えてください。


 

はじめまして、私は、療養型病院に勤めている看護師です。
お茶(ほうじ茶)の効果について教えていただきたいと思いメールしました。

オムツかぶれによる皮膚トラブルのある患者さんに、オムツ交換の際にお茶での洗浄をつづけたところ排泄臭がすくなくなってきました。
又、皮膚の状態もよくなったきました。お茶の効果だとおもいます。

しかし、ある人は、「ほうじ茶なのでカテキンがすくないのであまり関係ないんじゃないか。」という意見もありました。

そこで、ほうじ茶の中に含まれるカテキンの量と消臭と殺菌の効果を教えていただけないでしょうか?。

いろいろインターネットで調べてはみたのですが、うまくさがすことができませんでした。

よろしくお願い致します。


 

投稿者名:五味院長

タイトル:緑茶の消臭効果について



三枝子さん。病院でのお勤めごくろうさまです。

私は、日本の高齢社会では、老人介護での「臭いケア」がこれからは必要になることを痛感しています。
「介護・臭いで困っていませんか」という本も出版しましたので、あなたのような介護現場のスタッフからの質問は大歓迎です。

実は、緑茶は、身近にある最も効果的な消臭剤なのです。

緑茶に消臭効果があるのは、緑茶抽出物にたくさんのポリフェノール(カテキン類、フラボノイド類)が含まれているからです。

ポリフェノールは、硫化水素やアミン類などの臭い成分と錯体(複合物)を形成したり、フラボノイドの場合には、分子中の水酸基がアミン類のアミノ基と中和反応をして消臭します。
つまり、緑茶は、単なるマスキング作用だけでなく、成分中の官能基が化学反応をしてニオイ成分を捕捉消臭しているのです。
ポリフェノールの場合には、さらに活性炭のような微細構造があり、ニオイ成分を吸着して消臭します。

また緑茶の場合には、タンニン酸などの有機酸が含まれ、酸化還元反応でもニオイを消臭します。

その上に、緑茶は抗菌、抗酸化作用があり、雑菌の繁殖を抑えています。

このように、緑茶は、あらゆる角度から臭いを消す「万能消臭剤」と言えるのです。

また消臭剤としてのお茶の特徴は、その安全性です。
安全なだけでなく、肌に栄養分(ビタミンC、B類、アミノ酸、フッ素、)を与える点も優れています。
皮膚かぶれの患者さんの状態がよくなってきたのはポリフェノールだけでなく、お茶に含まれるこれらの成分が総合的に作用した結果でしょう。

さて、ご質問の「ほうじ茶」は消臭効果があるのかどうかですが、十分「ある」と言えるでしょう。

日本の緑茶は、もうみなさんご存知のように、その8割は「煎茶」です。
煎茶は、5月初旬の八十八夜前後に摘まれたものを、一番茶と呼び、高級品とされます。6月のものが二番茶で普通の煎茶、8月以降が三番茶で主に「番茶」の原料になります。
「番茶」は煎茶の製造過程で除外された硬い葉や大きい葉が原料となります。一般に低級茶と言われますが、前述のポリフノール類は煎茶に負けないくらい豊富なのです(煎茶より多いという人もいます)。

そして、ご質問の「ほうじ茶」は、この番茶を焙じた(焦がし気味に炒る)ものなのです。

ですから、ほうじ茶が普通の煎茶より安いからと言って決してその「消臭効果」が劣るわけでなないのです。

しかし、これは煎茶にもほうじ茶にも言えますが、消臭剤として利用する場合、できるだけみなさんが、煎じて飲んだ後の終わりの方のお茶を使用してください。

お茶は、「一煎目で香りを愉しみ、二煎目で味を堪能し、三煎目は苦いだけ」といわれますが、栄養学的にみると一煎目にはカフェインやビタミンCが多く抽出し、消臭効果のあるカテキン類は二〜三煎目以降に溶出量が増えてきます。
ですから、後になればなるほど消臭効果が高まるのです。

さらに、飲み終えたお茶殻は捨てないで、これも消臭剤として利用しましょう。
お茶殻をガーゼで包み、お年寄りの清拭に利用するのもよいし、シップをしてあげてもよいでしょう。
レンジで乾燥させたものは失禁した床やカーペットにふりかけてから掃除をすると臭いが残りません。
乾燥させたものはガーゼに包んで、衣類の中に入れておくだけで、衣類の消臭剤にもなります。

このように、お茶は老人施設や老人病棟の介護現場でいろいろな使い方があります。

スタッフのみなさんは身近なもので工夫をして、
目だけでなく、鼻も行き届いた、臭いのない「快適介護」をこころみてください。

 

投稿者名:三枝子

タイトル:皮膚トラブルの改善もみられました


 

お忙しいところ、お返事頂き本当にありがとうございました。
とっても参考になりました。

今、私達は、オムツかぶれによる皮膚トラブルのある患者さんにお茶で洗浄して、その後、臀部にワセリンとザーネを1:1で混ぜ合わせたものを使用したところ皮膚の改善がみられたので、院内で発表しようかなと話し合っています。
1人の患者さんは、臀部が、像さんのお尻のように肥厚して皮膚も乾燥していていつも掻いていていたのですが、先ほどの処置を続けたところよくなってきました。
 
突然のメールにもかかわらず、お返事頂き本当にありがとうございました。


 

投稿者名:五味院長

タイトル:オムツかぶれの新しいケアの仕方



三枝子さん。

あなたのメールは、若くてバリバリの(違っていたら失礼。そのような印象を受けましたので)介護現場のスタッフが、自分たちの創意と工夫で、高齢者の介護・看護にあたっている様子がよく伝わってきます。
本当にたのもしいと思います。

特に、寝たきりでオムツかぶれを起こし、痒くてなんどもなんども掻いているうちに、皮膚が像のように硬くなった角化性の皮膚疾患は、通常、介護側が寝たきりの高齢者だからと「治癒をあきらめて」しまい、放置される傾向があります。

そのような患者さんに、あなた方が行った「お茶で洗浄した上で、ワセリンとザーネを組み合わせて塗布する」という処置の仕方は、多分、他ではなされていないのではないでしょうか?角化性の皮膚トラブルを伴うオムツかぶれの新しいケアの仕方になるかもしれません。

改善がみられ、院内で発表しようということですが、院内だけでなく、ぜひこのHPでも報告してください。全国ではこのHPを見ている看護士・介護スタッフの人はかなりいるはずです。
きっと参考になり、はげみにもなると思います。

お茶には、前回説明したように、抗菌・消毒作用や抗酸化作用、さらには皮膚に栄養を与える作用などがあります。
ですから、緑茶による洗浄は、高齢者の皮膚を保護し、皮膚トラブルを改善させる作用があることは「理論上」は明白です。

ただ、緑茶洗浄の欠点は、「すぐ乾いてしまう」ことです。つまりその有効成分が長く皮膚表面にとどまってくれないことです。
いくら有効成分があっても、皮膚に十分浸透して効果をもたらす「時間」がなければ意味がありません。

でも、あなた方の、「緑茶洗浄後のワセリンを塗布」という方法は、緑茶の有効成分をワセリンでトラップし、皮膚に浸透させる効果があるのではないでしょうか? ワセリンの保湿作用が緑茶成分の浸透作用に働く可能性です。

さらに、ビタミンAを含むザーネを混合することは、お茶の効果と相乗して皮膚の新陳代謝を高めているのかもしれません。お茶には、ビタミンAは少ないけれど、ビタミンCは豊富です。お茶のビタミンCは抗酸化作用がありますので、ビタミンAの酸化を防ぐ役割をしている可能性もあります。ビタミンEも一緒に含むザーネならより効果的でしょう。

いずれにせよ、「お茶+ワセリン+ザーネ」という組み合わせは、高齢者の皮膚トラブルの新しい治療法のひとつになるかもしれません。

三枝子さん。高齢者のケアは大変でしょうが、応援していますのでぜひがんばってください。

 

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