投稿者名:ヤコ
タイトル:服の黄ばみに悩んでいます
五味先生、初めまして。 私も多汗に悩む者の一人です。(30歳女性です) 先日、「読者の共有メール」を見ていたら、私と全く同じ症状の方がいらしたので、ちょっと嬉しくなりました。 6/16の「さり」さんという方です。 私も彼女と同様、臭いはそれほどきつくはないのですが、とにかく淡色系の服がすぐ黄ばみます。4月に転職した会社が制服で、淡色のブラウス着用という決まりなので、ちょっと困っています。 けれど、それよりも問題なのはやはり「オシャレができない」ことです。 薄い色の服に手を出すことができず、いつも黒っぽいものばかりです。 時々衝動的に淡色のものも買いますが、すぐに黄ばんでダメにしてしまうか、それを恐れて殆ど袖を通さないままタンスのこやしにしてしまうかです。 以前は大好きだったショッピングも、最近はそれほどでもなくなってしまいました。 私の汗は多分「精神性発汗」によるものだと思うのですが、汗自体はあまり気にしていません。人と話すと緊張しやすく、すぐ体がカーっと熱くなるのですが、汗をかくことで多少和らげてもらっている気がするからです(根拠はないのですが・・)。ただ、やはりこの「黄ばみ」のせいで、ちょっと汗を嫌いになりかけています。このままだと、「こんな汗をかく自分が嫌い」になってしまうかも知れません。そしてそれは避けたいのです。 どうにかして、この黄ばみを防ぐことはできないでしょうか? また、汗を止めない限り黄ばみを防止することはできないのでしょうか? (結局「さり」さんと同じ質問の繰り返しになってしまいました。すみません) 手術は最後の手段と考えていますので、できるだけ他の方法で対処したいと思っています。 どうぞよろしくお願い致します。
投稿者名:五味院長
タイトル:重曹の上手な利用法
女性の場合、衣類の腋にあたる部分に色がつき「シミ」になると、お気に入りの洋服が着れなくなったり、ヤコさんのように制服の場合には着替えに制限があったりするため、汗やニオイ以上に衣類の「黄ばみ」で悩む人は多いのです。 そこでまず、なぜ衣類に色がついてしまうのかその原因をお話しましょう。 第一の原因は、腋のアポクリン腺からの分泌物です。 アポクリン腺からは、各種の脂質や脂肪酸、たんぱく質、糖質、ステロイドなどさまざまな成分が分泌されそれがワキガ臭となりますが、その中に「リポフスチン」という色素も入っているのです。 ワキガの程度が強くなると、この色素成分も多く分泌されることになり、衣類の腋にあたる部分に「黄ばみ」をつくります。この色素による色のつきかたには個性があり、人種によっても異なります。欧米人や黒人などでは、白い下着が「真っ黒」になることもあり、時には蛍光を発することもあります。 日本人の場合には、茶褐色から薄い黄色のことが多いようです。 ですから、私は「腋の黄ばみ」の程度をワキガ臭の強さの判定法にも応用しています。 しかし、実際にワキガの人が黄ばむのは、色素成分が原因だけではありません。 分泌物の中に含まれる「鉄」も原因となります。 実はこれは、わたしが発見したのですが、時に、通常のアポクリン腺に混じって、やや小粒の黒褐色の「アポクリン腺様」の粒が散在することがあり、この粒がある場合には間違いなく強度のワキガ臭の人です。 この黒褐色の粒に鉄が含まれている可能性があるのです。 これらのワキガ体質の人の「黄ばみ」は、エクリン腺からの「汗じみ」とは明確に区別されます。 まず、色が段違いに濃いことです。またエクリン腺の汗の黄ばみは境界が明確ではありませんが、ワキガの黄ばみは腋の腋毛の範囲に一致してクリアに色がつきます。 この黄ばみは、手術でアポクリン腺を摘出すると当然なくなります。 第二の原因は、デオドラント剤です。全てのデオドラント剤が黄ばむわけではなく、不思議なことに、その人により黄ばむデオドラン剤が異なるようです。多分、人によリ皮膚の状態や細菌の種類などが異なり、したがってデオドラント剤との反応のしかたも異なるからだと思われます。 黄ばみの原因がデオドラント剤にあるかどうかは一目瞭然です。 そのデオドラント剤の使用を止めて見ることです。使用を1週間くらい中止して黄ばみがなくなったなら、そのデオドラント剤が原因と分かりますので違う製品に変更するのがよいでしょう。 第三の原因は、通常のエクリン腺の汗です。この場合には普通「黄ばみ」とは言わずに「汗ジミ」と表現します。 この汗ジミは、ワキガの黄ばみより、かなり薄く、境界があいまいです。範囲もやや広めです。 しかし、時にこの「汗ジミ」の色が強くなる場合があるようです。 その理由は私は三つあると考えています。 ひとつは、皮膚の状態です。アトピー性皮膚炎や湿疹、さらに真菌が繁殖している場合です。 殺菌力の強いデオドラント剤の使いすぎで、常在細菌がすべて死滅すると、代わりに真菌が繁殖することもあります(菌交代現象と言います)ので注意しましょう。 もうひとつは、アポクリン腺からの分泌で述べた「鉄」です。 エクリン腺の汗は健康な汗なら、その成分はほとんど水です。しかし、汗腺機能が低下し、血漿の成分の再吸収力が悪くなると汗の中にミネラルなどの血漿成分が多く分泌されてきます。これが、私の言う「悪い汗」であり「ネバネバ汗」です。 このような汗には、当然血漿に含まれる「鉄」も多く分泌されてしまいます。 この鉄が通常の汗ジミより濃い色をつけてしまうのです。 女性で汗をかくと貧血になりやすい人は鉄が失われている証拠ですので注意しましょう。 三つ目が、腋の「精神性発汗」です。 精神性発汗の場合には、汗が一気にでるため、血漿の成分が失われやすく、当然、前述の鉄の漏出と同じ理由で汗ジミが強くなります。 さて、以上の可能性の中から、ヤコさんの場合には、ニオイは気にならないということで、第一のワキガによる「黄ばみ」ではなく、第二、第三の原因が考えられます。 そこで、アドバイスですが、まず今使用しているデオドラント剤を一時中止してみてください。 それで、黄ばみがなくなったなら、違うでデオドラント剤を選択することで悩みは解消します。 中止しても、なお同じような黄ばみがあるなら、一度皮膚科で皮膚科的疾患がないかを診てもらってください。 それで異常がないなら、第三の原因の中で、汗腺機能が低下しているか、精神性発汗が強いかのどちらかです。 まず、自分がひごろ「エアコン漬け」になっていないか生活習慣をみなおしてください。 心当たりがあるなら、「汗腺トレーニング」をしてください。「岩盤浴」でもよいでしょう。(説明済み) 精神性発汗の場合には、当然その原因となる「予期不安」を取ることです。 自律訓練法でもよいでしょう。 精神性発汗の人で簡単に汗ジミを抑えるなら、汗を減少させることですから、「ボトックス」の注射も有効です。通常の汗じみ程度ならボトックスの注射でほとんど気にならなくなるようです。ヤコさんの場合にはボトックス注射も考慮する価値はあるでしょう。 そして、最後に日常の工夫です。 それは「重曹」の上手な利用法です。 重曹はパンのふくらましに使用されるものでもあり、胃薬でもあり非常に安全なものです。 実はこの「重曹」は、消臭剤でもあり、「消色剤」でもあるのです。よくカーペットの色抜きなどに使われるのは重曹に脱色作用があるからです。 使用法は簡単です。この重曹の粉を腋に直接塗布するのです。衣類の腋にあたる内側に軽くぬるのもよいでしょう。 重曹液を自分でつくり、スプレーすることもできます。 同時に、重曹は、アルカリ性ですので、汗に含まれる「酢酸」「イソ吉草酸」等の酸性のニオイ成分には消臭効果も期待できます。 また、「重曹石けん」を使用して腋を洗うのも効果的です。 これは、広島在住の吉岡さんという主婦の発明ですが、衣類の黄ばみが取れるだけでなく、腋の皮膚の色が薄くなる効果も期待でしますので、デオドラント剤を使用して皮膚に色素沈着がついた人にはよいでしょう。 この「重曹石けん」の特集は2004年9月号の「壮快」という雑誌で予定されているようですので関心のある人はぜひ読んでください。
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