投稿者名:五味院長
タイトル:お答えします
リリーさん。
ご質問には、あなたが「わきが体質であり、アポクリン腺とエクリン腺のニオイの違いが明確に区別できる」という前提でお答えします。
まず「腋臭(わきが臭)が治る」ということの正確な意味を整理することが大切です。
つまり、腋臭とはアポクリン腺という特殊な汗腺からの分泌物が腋下の浄常在細菌により腐敗発酵されて生ずるものです。
この時、エクリン腺の汗によってわきが臭が強くなることはありますが、原因はあくまでアポクリン腺なのです。
そしてこのアポクリン腺は幸いなことに素人でも分かるほど大きい(イクラの粒を想像してください)ため、皮下を確認していくような手術をするなら、100%完全に取り除くことができるのです。
つまり、腋臭が治るとは「アポクリン腺のニオイが消える」ということであり、腋の下から「全てのニオイが消える」ということではないのです。
ですから、先ほどの前提にある「アポクリン腺とエクリン腺にニオイに違いが分かる」とういうことは大切なのです。
次に手術に関しての質問ですが、あなたが成人であれば手術を受けるための親の承諾は必要ありません。
しかし、手術後はガーゼで固定するため、肩が張った感じになりますので他人には分からないとしても、いつも生活を伴にする身内には分かってしまうかもしれません。
できれば親には手術を受けることを打ち明けた方がよいでしょう。
女性としては父親には言いにくいと思いますが、お母様が亡くなられて今最も近い身内はお父様でしょう。あなたの悩みをすなおに相談すればきっと理解してくれると思いますよ。また通常、娘が腋臭である場合には父親からの遺伝のことが多く、デオドラント時代の今では父親自身もそのことを気にしていることも多いようですので思いきって話してみたらどうでしょう。そのような相談をされたお父さんも信頼されているのですから嬉しく思うのではないでしょうか。
タイオーバー(ガーゼ固定)を取る時期ですが、完全に治す手術では皮膚はちょうど「植皮」の状態となるため火傷の治療の時のように必ず圧迫固定が必要となります。
この場合、皮膚が落ち着くまで5日から7日要するため、通常形成外科等では6日〜7日でタイオーバーを除去することが多いようです。ですから手術後1週間での除去でもいっこうにかまいません。しかしタイオーバーのような固定は生活面からみればやはり不便ですし、糸で皮膚に固定します(皮膚の下に埋め込むわけではありません)ので期間があまり長くなると糸の後が残りやすくなるため、わたしのクリニックでは4〜5日で取って、その後テープで固定をしています。
仕事の休みがどうしても週に一度しかとれないということであれば、この点さえ理解していただけるなら問題ないでしょう。
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