投稿者名:りなY
タイトル:わきがと耳垢
質問があります。耳垢が柔らかければ柔らかいほど、腋臭も強いんですか? 腋臭と耳垢の関係は比例するのでしょうか?
投稿者名:五味院長
タイトル:腋臭診断としての「耳垢」の意味。
りなYさん。 あなたの質問は、非常に短いのですが、かなり学問的なものです。 そもそも、なぜ耳垢と腋の下のアポクリン腺とが関係があるかという疑問を持たれるでしよう。 そのためには、人間の進化の歴史を考える必要があります。 本来人間の原始汗腺は、馬や羊と同じようにアポクリン腺だったのです。 体中にあったアポクリン腺からの分泌で、ニオイを出すと同時に、原始的な体温調節を行っていたのです。 しかし人間が二本足で立ち、脳を発達されるにつれ、アポクリン腺だけの体温調節では不十分になってきました。 なぜなら、「脳細胞」は体の臓器の中で一番温度の上昇に弱いからです。 そこで、人間は次第にアポクリン腺を体温調節専用のエクリン腺に進化改良していったのです。逆にアポクリン腺は、必要とされなくなり、退化するとともに、体のごく一部に限局して存在するようになったのです。 そのほとんどが限局している場所が、「脇の下」なのです。 しかし、ほんの少しですが、瘢痕程度に残っているのが、乳輪の周りや陰部、そして「耳の中」なのです。 一方のエクリン腺は体全体に発達したのですが、ないところもあります。それは、爪の下、性器、そして「耳の中」なのです。 つまり、エクリン腺が存在しない耳の中が「湿っている」ということは、そこにアポクリン腺があり、その分泌液により「耳垢が軟らかい」という「推定」ができ、同時に帰納的に耳の中にあるならば最も存在の可能性の高い「腋の下」には当然あるだろうと「推定」できるのです。 ですから、あなたの質問の「耳垢が柔らかければ柔らかいほど、腋臭もつよいのですか」と言う質問には、「比例関係」ほどの関連性はありませんが、「ほぼ一致しています」と答えても間違いはないでしょう。 しかし、耳の中が「湿る」ことがイコール「アポクリン腺の分泌液」とは限りません。 なぜなら、耳の中にはもうひとつ皮脂腺があり、皮脂腺からの分泌物や耳の中耳からの分泌物からも耳の中が湿ることがあるからです。 (わたしが見るとその違いはわかりますが、素人では難しいかもしれません) 耳垢の条件が、他の身体条件よりわきが診断の情報として信頼性が高いのは以上のような理由からなのです。
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