投稿者名:五味院長
タイトル:腋臭と塗り薬との関係
ryomaさん
あなたの質問には、腋臭で悩む多くの人々にとって大切な点があります。
それは、腋臭(ワキが臭)は、完全に治すべきものか、それともうまく付き合っていくべきものかという問題です。
臭いに悩む人は、多分このようなハムレット的な「対応のし方」でも悩んだことがあるのではないでしょうか。
まさに二重の悩みといっていいでしょう。
実はわたしたち医療者の、本当の役目は「臭いの悩み」の「解決法がわからない悩み」を解決することにもあるのです。
しかし、体臭多汗の治療において、この解決法をアドバイスするということほど難しいことはありません。
これは、他の内科や外科の場合より困難なことです。例えばリュウマチの痛みで苦しんでいる人にとって、痛みがなくなるならどのような方法でもよいでしょう。治療法は非常いシンプルです。
でも、臭いの治療では、臭いを完全にとることでその人が満足するとはかぎりません。なぜなら臭いの苦しみはそれぞれの人の社会生活の中の人間関係にも起因しているからです。
ですからその人にとってのベストの治療法はその人がどのような社会環境にあるか、またその人がどのような人生観をもっているかによっても異なるのです。
極端な例では、重症のワキガであってもその人が社会生活を営むうえで支障がなければ、その人のベストは治療法は「なにも治療をしない」ということでしょう。
一方、軽度のワキガであっても、その人は登校拒否を起すようであればその人のベストの治療法は、手術によって完全に臭いをとるということになります。
そこでryomaさんのはなしにもどりますが、投稿内容から推察しますとあなたは現状のままでも社会生活にかなりうまく適応されているようにおもいます。
勿論「暗い日々」を過ごされたことは事実でしょう。しかしあなたにはあえて手術をしなくても、通常の市販薬で十分対応できる柔軟性が備わっているようなきがします。
結論を言えば、腋臭(ワキガ)は市販の塗り薬で完治することはありません。ワキガの原因は皮下のアポクリン腺にあるからです。
そこであなたの選択は次のどちらかです。中途半端はありません。
あなたが完全に臭いから開放されたいと願うなら手術療法になります。
しかし社会にうまく適応できる程度に臭いを抑えながら生活していくつもりであるなら今まで通りの塗り薬での対応がベストの選択です。
どちらを選ぶかは、ひとえにあなたの人生観にかかっているのです。
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