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 脇毛の不再生脱毛処理を行ってから脇の汗とにおいが気になるようになりました

 

投稿者名:みー

タイトル:私の悩み


 

はじめまして。

26歳の女性です。

脇の下の汗の量とにおいで悩んでいます。

 

3年ほど前からエステで脇の下の不再生脱毛を始めてから、気になるようになりました。

毛量は少ない方ですが、自己処理方法がカミソリでそっていた為、毛が生えている範囲が広がってきたみたいで、始めました。

脱毛をやって、毛量が減るのは良かったのですが、それに反比例して汗の量が増えて、次第ににおうようになりました。

今年の夏は、とても暑かったので、脇から汗が流れてくるほど。

脇にハンカチやガーゼをはさんだりしてました。

直接、においについて言われる事はないですが、影で言われているのを 聞いた事があります。

私は、わきが体質になったのでしょうか?

 

投稿者名:五味院長

タイトル:脱毛後の多汗について


 

みー様

 

エステなどで脱毛をしてから腋の下に異常に汗をかくようになったと訴えてわたしのクリニックに来院される患者さんはかなりの数にのぼります。

また、最近は美容外科の「吸引法」という手術を受けた後で多汗がひどくなったケースも増加しています。

 

脱毛や吸引法などの手術で腋の下の発汗が増えることの原因ははっきりしませんが、二つの理由が考えられます。

一つは、脱毛などの処置を契機に「精神性発汗」が惹起されたためです。

脱毛などの処置により、「意識」がことさら腋の下に向けられるようになり、少しの汗でも気になることで、もっと汗をかくのではないかという「予期不安」が精神的な緊張を起させ、ますます汗が増えてしまうという悪循環が生じるのです。

 

同じことが、「吸引法」などの不完全な手術後にも起こります。

本来手術によって減少するべき汗が不完全な手術では全く減らないこともあり、そのような状態は患者さんの期待に反するだけでなく、失望が過剰な意識を腋の下に向けさせるため「精神性発汗」の契機になってしまうのです。

 

もうひとつの理由は、脱毛針や吸引器具が汗腺の活動を刺激してしまうのではないかとも言われています。

みーさんのケースでは、同時に、「におい」も気になってきたようですが、26歳で脱毛がきっかけで「わきが体質」になるということはありません。

仮に軽いわきが臭がしてきたとしたら、本来他人にわからない程度のアポクリン腺のニオイ物質が精神性発汗によるエクリン腺の汗と一緒になってニオイの飛躍性が増加したためと思われます。

 

しかし、この程度の臭いでは、自分で感じても他人にわかることはまずありませんので安心してください。

 

問題は汗対策の方ですが、まず「ハンカチやガーゼを腋にはさむ」という行為を止めてください。

そのような行動は、意識をますます腋の下に向けることになるので、精神性発汗の悪化をまねきます。

治療としては、一般的な制汗作用のある薬(塩化アルミニウムなど)で湿布をしたり、制汗剤を上手に使用して、少しずつ意識をわきの下から離脱させることがよいでしょう。 また同時に「自律訓練法」などで「予期不安」の軽減をはかるのも効果的です。

 

さらに、多汗が生活面まで影響するようであれば手術療法を考慮することも一つの選択です。(精神性発汗の手術法は少し特殊ですので関心があればこの掲示板にて再度質問してください)

 

いずれにせよ、今みーさんは、においと汗の「悪循環」に陥っているのです。 この循環をなんらかの方法で絶ち切る(気持ちの持ち方をかえるだけでも可能です)ことが大切でしょう。

 

 

投稿者名:みー

タイトル:Re: 脱毛後の多汗について


 

お返事、ありがとうございます。

とても勉強になりました。早速、ハンカチ等の使用をとりやめたりと 実行しています。

いくつか、質問があるので教えてください。

 

(1)一般的な制汗作用のある薬で、塩化アルミニウムをとりあげていましたが ドラッグストアなどで、販売されてますか? もし、販売されているのであれば、どんな商品かなど、具体的に教えてください。

(2)わきを気にしないようにしているのですが・・・ 冬でも、汗で、洋服のわきのあたりが濡れてしまうのですが、これも 精神性発汗によるものでしょうか?

(3)精神性発汗の治療法とは、どんな事をするのでしょうか?

 

以上です。よろしくお願いします。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:塩化アルミニウムについて


 

みーさん

 

ご質問は内容が多岐にわたっているため別々にお答えします。

 

まず、「塩化アルミニウム」についてですが、一般の薬局では扱っていないところが多いと思います。それは、塩化アルミニウムは確かに「制汗作用」はあるのですが、もともとは医療用としてではなく「実験用」として製造されたという系譜があるからです。(実験用に使用することという但し書きがあります)

ですから、医者の処方餞がないと販売しにくいという事情があるようです。

しかし、最近は多汗で悩む人が増えたためかなりの薬局で扱うようになったと聞いています。

 

わたしのクリニックでも「手のひら」の多汗の患者さんに限って処方しています。

というのはわたしの経験上ですが、通常の20%の溶液を腋の下に使用すると時にかぶれや炎症などのトラブルが発生することもありました。

腋の下の皮膚は敏感ですので皮膚の弱い人は避けたほうがよいでしょう。(5%くらいまで薄めれば問題ないかとはおもいますが、今度は制汗効果があまり期待できません)

 

しかし、皮膚が比較的厚く丈夫な手のひらの多汗での使用は問題ないのではないかと思います。

その際の使い方ですが、最低20%以上に薄めて使うこと(自分で効果のある濃度を知ることが大切です)、1日に何回かはタワシなどでよく洗い落とすことです。(持続的に使用していると逆に効果が減退することがあります)

 

一番効果的な使い方は、夜寝る前に塩化アルミニウム液で手のひらを十分湿布をしてから寝て、朝、手のひらを水で洗い落としてから外出することです。

寝ている間は精神性発汗は起こりませんのでアルミニウムのイオンが汗腺の導管に十分入りこむことができるのです。

 

塩化アルミニウムについては以上です。精神性発汗については項を改めて説明します。

 

投稿者名:みー

タイトル:ありがとうございます


 

ご回答、ありがとうございます。

やはり、「塩化〜」は、一般の薬局では扱っていないのですね。

実は、何件か 薬局をはしごして探してみたのですが、みつかりませんでした。

私は、基本的に肌が乾燥する方なので、手のひらは、汗をかいて丁度良いぐらいです。これからの時期は、ハンドクリームが手放ないので、問題ないですが何故か、脇だけは汗をかくようになってしまったので・・・

 

精神性発汗についても、ご回答をお待ちしてます。

質問がたくさんあって、すいません。 宜しくお願いします。

 

 

投稿者名:五味院長

タイトル:精神性発汗型多汗の手術法


 

みーさん

 

ワキの下の精神性発汗型多汗の治療法には3通りあります。

一つは、精神分析、ロゴセラピー、自律訓練法等の精神療法です。

二つめは、制汗剤、イオントフォレーシス等の物理療法や抗コリン剤や精神安定剤等の薬物療法です。

そして、3番目が手術療法です。

 

今回は、まず手術療法を説明します。

まずワキの精神性発汗型多汗に手術をお薦めできるのは次のようなケースの人です。

1. 精神療法が全く無効であった人

2. 精神療法を行う時間的余裕が無い人

3. ある程度でもよいから短時間でワキの汗を減らしたい人

4. ある程度でも汗が減ったという事実によって自信が回復し、そのことが社会生活上にプラスに働く人

5. ワキガ型多汗との混合型の人

6. 副乳多汗症との混合型の人(副乳多汗症については別に説明します)

 

これらの人は、手術療法を選択する価値があります。なぜなら精神療法は、時に多大な努力と時間を要することが多く、また一部の人には期待したほどの効果がなく、その結果に失望して自信を失ってしまうこともあるからです。

逆に「ある程度でもよい」という控えめな要求水準の人にとっては手術による半分程度の減汗効果でも喜びは相対的に大きく、その事実が日常生活の不安を軽減して安心感をもたらし、実際の手術の効果以上に汗が減ることも期待できるからです。

 

しかし、精神性発汗型多汗の手術療法の減汗効果は、実際には40%から60%程度のバラツキがあります。

これは、発汗の減少がエクリン腺の切除された量だけでによるわけではなく、その人の性格や考え方にも影響されるからです。

 

精神性発汗型多汗の手術療法は、ワキガ型多汗の手術と基本的には同じですが、次の二つの点がポイントになります。

まず、エクリン腺が主にふくまれる皮膚の真皮層の剥離の厚さをワキガ型より多くすることです。つまり、皮膚がより薄くなるように剥離することによって削除されるエクリン腺の量をより多くします。

また、ワキガ型の場合には、脇下の有毛部だけが手術野ですが、エクリン腺はその周辺にも多数存在していますので、剥離の範囲をより広くすることです。

以上のようにワキの下の多汗といってもワキガタイプと精神性発汗タイプさらに副乳多汗症とでは、手術法も減汗効果も異なります。(ワキガ型では70%から90%の汗が減ります)

 

ここでまず大切まことは、正しい診断です。正しい診断によって正確な減汗量が推定できるのです。

このようなタイプを区別しないままに手術をした場合には、患者さんの期待と手術の効果とが一致しないことになり患者さんの不満をまねくことにもなります。

しかし、わたしが精神性発汗の人に勧めるのは、最初から手術でなくまず自律訓練法等の精神療法をしてみることです。

精神療法を(苦労して?)行った患者さんなら、手術によって50%前後でも汗が減ることは非常な喜びであり、そのような気持ちがさらに精神的に安定を呼び、さらに汗が減るという好循環を招くことが出来るからです。

 

そこで、次回は「精神療法」について説明します。(少し疲れましたので)

 

投稿者名:みー

タイトル:考えた結果


 

いつも、ご回答ありがとうございます。

五味先生の回答を読んで、ずっと考えていた事があります。

 

それは、ここで相談する事も一つの手段だとは思いますが、 やはり、正確な診断も必要と感じました。(悩んでばかりいたので) そこで、近々先生のところへ伺うつもりです。

スケジュールの都合をつけて、新宿方面へ出かける予定を考えています。

その際は、どうぞ宜しくお願いします。

 

 

投稿者名:五味院長

タイトル:わかりました


 

みさん ご返事がおくれてすみませんでした。

学会などに出席したり、また最近はこの掲示板に投稿される方が増えてきましたので、出来るだけ真剣に丁寧なご返事をしようとするとなかな時間もかかります。

 

この掲示板からでもかなりの情報は得ることは可能ですが、やはり、本当は実際に診察をして正確な診断をすることも必要です。

 

わたしのクリニックは予約制になっています。来院されるまえに電話でアポをとってからいらしてください。

診察のときは「掲示板で相談した者です」と一言わたしに教えて下さい。

 

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