投稿者名:五味院長
タイトル:お答えします
みみさん
悩みを解決するためには、その解決法について自分なりに勉強をし、自分の疑問を整理していくことが大切ですので質問がたくさんでることはいいことですよ。
それでは、順を追ってお答えしましょう。
> 私は、自分が多汗症ではないかと思い始める前に永久脱毛を始めてしまいました。もう、かれこれ2年くらい経つのですが、途中半1年近く通っていなかったため、まだ完全に脱毛しきれていません。両脇とも数本づつ残っています。手術をするのならば、もう脱毛には通わないほうがいいのですか?
手術をした場合には、「ほとんど」脱毛と同様の状態になってしまいますので 手術前に脱毛をすること自体が無駄のように思いますがいかがでしょうか。
しかし、「今すぐ」脱毛をしたいと言う場合や手術をしても人によってはほんの一部脇毛が再生することがありますので、そのような場合には脱毛もよいのではないでしょうか。
> それから、手術したあと、ガーゼを皮膚に縫い付ける?とかいう方法を聞いたのですが、先生のクリニックでもそういうふうな処置をするのですか?
> 植皮状態というのは、どのような状態なのかよくわからないのですが?血液が流れないからですか?
以上の二つの質問は関連があります。脇の多汗症の治療では、アポクリン腺が再発しないということとエクリン腺もできるだけ切除するという2つの大切な条件があります。
ところが、アポクリン腺の腺根にあたる部分とエクリン腺のほとんどは皮膚の真皮の中のあるのです。そこで脇の多汗症の手術では真皮の一部を「剥離」するという処置が絶対に必要となります。
一方真皮には毛細血管が分布していますので、真皮を剥離するということは毛細血管も一緒に取ることになり、この状態は火傷の時の「植皮」と同様の状態に一時的になるわけです。
植皮術では必ず「タイオーバー」というガーゼ固定が必要なのですが、同じ理由でワキガや多汗症の手術でも3〜4日間ぐらいのガーゼ固定が必要となります。
このようにすることで、アポクリン腺が再発しないようにできるのですが、幸いなことに毛細血管の方はタイオイバーをすることで数ヶ月後には再生し再び皮膚に栄養を送るようになるのです。手術の初期は皮膚が非常に硬いのですが
何ヶ月かすると次第に以前のように軟らかくなるのはこのような理由です。
> 術後代償発汗が起こる可能性はありますか?
脇の多汗症の手術の場合には、汗腺を切除する方法ですから、神経を切除したり焼却したりする方法を異なり「代償性発汗」は生じません。
むしろ、脇の汗が減ることで安心し、そのような精神的な効果により手のひらなどの他の部分の汗も減ることもあります。(すべてではありませんが)
> 「手のひらの機嫌」というホームページで「ドライオニック」を知ったのですが、皮膚が荒れることもあるのでしょうか?ドライオニックは使用すれば多汗症が治るわけではなく、使用しつづけなければ効果はないのでしょうか?また、手術を受けようと思うのならばドライオニックは使用しないほうがいいのですか?
これは、わたしの個人的な意見として聞いてください。
ドライオニックは、「イオントフォレイシス」という電気分解を利用した方法を家庭で気軽にできるようにしたものです。
原理は、汗は汗腺(主にエクリン腺)の基底細胞というところで、細胞の内外をNaイオンとClイオンが移動する時の電気的勾配の差ができることで発汗されるのですが、イオントフォレーシスの電気分解によってできた水素イオンがNaとClの移動を阻害することによって汗の発汗を抑制するものです。
実は、わたしのクリニックでも10年以上も前にこの方法を治療の一つとして 採用していたのですが、今は止めています。
その理由は、継続して行わないと(最低2週間)効果がでないため患者さんが毎日通院することが不可能なこと、また逆に長期間継続して行っていると今度は効果がなくなってしまうことです。また、アポクリン腺が原因の「ワキガ型多汗」ではほとんど効果はありませんでした。
そのような理由で現在当院では行っていませんが、「ドライオニック」が家庭で出来るということであれば毎日使用することが可能なわけですから試みてもよいのではないでしょうか。
ただ、手のひらや足の裏は問題ないとは思いますが、皮膚の弱い脇(かぶれや湿疹ができることがあります)に長期間使用することはお薦めできません。
できれば1〜2週間ていど使用したら同じくらい休むことが皮膚のためにも効果減退の予防のためにも必要だと思います。
> 私は東京に住んでいないので、簡単に先生のクリニックに行くことができません。それなりに、お金の準備や仕事を休むことも考えなければならないのでとりあえず、ドライオニックに挑戦してみたいと思うのですが。
以上のような点に注意して使用してみてください。
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