投稿者名:五味院長
タイトル:食生活と体臭の関係
RYOさん
あなたのケースでは、「腋毛に白い粉」が付くということですので、ワキガ体質であることはまず間違いありません。
また20歳前半までは、ホルモンの変化によってワキガ臭が強くなるということはありえます。
しかし、RYOさんの場合には、いままでさほど気にしていられなかったのに、一人暮しをはじめて生活が変化してから体臭が強く感じるようになったということですから、「食生活の変化」が一般的な体臭を増加させているということも考えられます。
そこで、ここでは「食生活と体臭」との関係について説明しましょう。
人間が体から放出する全てのニオイ物質の原料は、食事として摂取した食べ物ですから食事が体臭に影響することは当然です。
たんぱく質からのニオイ生成過程については、以前お話しましたがもう一つ体臭に関係するものが「脂質」です。(むしろ脂質の方が重要です)
なぜなら、体臭の最大の要因である皮脂腺やアポクリン腺からのニオイ物質の元はほとんど「脂質」からつくられる脂肪酸やアルデヒド類だからです。
それでは、体臭を減らすのには「油」を摂らなければよいのではと考える向きもあるでしょうが、事はそんなに簡単ではありません。脂質は生体膜の構成成分でもあり、脂溶性のビタミンの吸収を助けたりする大切な役目があります。
脂質の摂取不足は、皮膚の健康を害して、不快なニオイの発散を予防している皮脂膜の形成がうまくいかなくなり、かえって体臭をつよくしてしまうからです。
皮肉なことに、ニオイの予防のためにはニオイの原料となる脂質を適度に摂取することが必要となるのです。
そこで問題はどのような「油」の摂取が体臭の予防という観点から良いのかということです。
脂質の違いは、含まれる「脂肪酸」の違いで決められます。
まず、言えることは、ラードやバターなどの「動物性の脂肪酸」は皮脂腺やアポクリン腺の活動を過剰に刺激したり、アラキドン酸という健康な皮脂膜の生成を阻害する炎症性メヂエーターを作りやすくするので控えめにするべきです。(欧米人の体臭が強いのは肉食中心の食生活が原因であると言われるのはあながち間違いではありません)
次に植物性の油では、「リノール酸」は血中のコレステロールや中性脂肪を増加し、しかも体内で酸化して「過酸化脂質」になりさまざま短鎖の脂肪酸などのニオイ物質をつくりやすくしますので、紅花油なども控えめにしたほうがよいでしょう。
通常使われるサラダ油にもリノール酸が30%以上含まれています。
体臭予防の観点からお薦めできる油は、まず「オレイン酸」が多く含まれるオリーブ油です。オレイン酸は二重結合が一つしかない1価の不飽和脂肪酸であるため「酸化」されにくく、したがって過酸化脂質もつくりにくいので体臭予防としては優等生の部類に入るでしょう。
しかし、さらに理想的なのはシソ油やゴマ油(ゴマ油は使い方に注意)に多くふくまれる「αーリノレン酸」です。αーリノレン酸は、多価の脂肪酸のため酸化はしやすいのですが、体内の組織中では酸化しにくいEPAやDHAに転換します。
これらの脂肪酸は血中のコレステロールなどを低下させるだけでなく、抹消血管の血液の流れを改善するため皮膚組織にたくさんの酸素を供給することができます。既に説明した通り皮膚の酸素不足は「臭う汗」の最大の原因となります。
これらの油の摂取量ですが、体臭予防という意味からは脂質の「酸化」を防ぐような摂取の仕方をするかどうかによって異なります。
例えば、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEの多くふくまれる食物と一緒に摂取する場合には1日に子さじ10杯から15杯(調理ではその三分の一くらい)程度までは問題ないでしょう。
そして最後にもうひとつ大切な点があります。
それは、体臭予防というより「体臭消去作用」のある「酢」をどれだけ取るかということです。(酢の効用についてはまた別な項目で説明します)
「油」と「酢」は必ず組み合わせて摂取するようにしてください。
以上ですが、あなたの場合には食生活の改善と前に説明した有酸素運動そしてストレスを溜めこまない生活を心がけることで、かなりの体臭を減少させることができるでしょうから、今は手術のことは考えずに生活を整えることを第一としてください。
|