わきが・体臭・多汗 ミニコラム
介護疲れにハーブディー
五味クリニック院長
五味常明
|
夜の徘徊やせん妄をケアするつらさは、経験した人でないとわからないものです。高齢者のイライラや不安、怒りなどの心の緊張を和らげるのに香りは有効です。
リラックス効果のある香りでは、鼻を通って脳に直結するので、不思議なくらい熟眠効果があります。
ただ強い香りをいきなり使うと、本能的に警戒してしまうこともあり、却って逆効果のこともあり、熟眠効果のあるラベンダーも高齢の男性にはただ臭いといわれることもしばしばです。本人の好みの香りかどうか確認しながら、さりげない程度の香りから始めてみてください。
香りに慣れてきたなら、次は「香る枕」の工夫です。枕と枕カバーの間に、ティッシュやハンカチなどに精油をしみこませたものを入れます。
また小さい器にお湯を入れ、精油をたらしておけば、寝付きの悪い高齢者に効果があります。
施設でのワーカーさんには、終業時間という終わりがあります。しかし家庭で介護をする家族には区切りはありません。生活支援である老人介護は、今日から明日へと連続して続くからです。
そこで、一日の節目にハーブティーの息抜きです。
庭やプランターに生のハーブを育てるのも、お店からドライハーブを買ってきて、あれこれ組み合わせを楽しむのも介護疲れの癒しになります。
ハーブティーの淹れ方は簡単です。ポットに二つか三つ、つまんだハーブを入れて、そこに沸騰させたお湯を注ぐだけです。漢方薬みたいにぐらぐら煮詰めないでください。苦み成分まで抽出されてしまうからです。お湯を注いで5分くらいで香りが出てきます。
介護疲れで、神経がイライラして落ち着かない方には、ラベンダー、ローズマリー、カモミールといった定番のハーブや、さわやかなレモンバーム、ポリジなどが神経をリラックスさせ、介護のつらさを忘れさせてくれます。意外な組み合わせですが、牛乳とラベンダーが不思議とマッチします。濃いめのラベンダーのお茶を作っておいて、牛乳に好みの量を加えます。牛乳の代わりにヨーグルトも試してみてください。
お茶ばっかりじゃあ、とおっしゃる向きには、ハーブをつけ込んだお酒もありです。ミントやバラ、桜の花など、梅酒を作る要領でどうぞ。赤ワインにハーブも合います。ただし、くれぐれも手間を惜しんで精油などたらさないようにご注意を。
|