わきが・体臭・多汗 ミニコラム
五味クリニックの患者さんの共通点は?
五味クリニック院長
五味常明
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私のクリニックは少々変わっています。
待合室のどの患者さんも病気には見えないのです。
でも元気なことは元気そうだけど、みな何か自信なさげです。
そうなんです。実はこのクリニックの患者さんたちは、頭が痛い、風邪で具合が悪いといった病気ではないのです。「悩み」という病気にかかっているのです。
たとえばそこのA君ですが、彼の悩みは体臭です。「僕は体臭が強くて人に嫌われている」というのが彼の悩みです。隣のB子さんは「目つきがきつくて損をしている」、向かいのC子さんは「毛深いのが恥ずかしい」、D子さんは「交通事故の傷を目立たなくしてほしい」、E君は「オチンチンの形が友だちと違うのではないか」などなどです。
十人十色とは言い得たもので、悩みもさまざまですが、私のクリニックの患者さんには大きな共通点があります。それは、皆自分の体を他人がどう見ているのか、感じているのか、自分のボディイメージについて思い悩んでいるのです。こうした悩みは、リウマチで足が痛い、貧血で疲れやすい、喘息で息が苦しい、といった病気でお悩みの方には、実に贅沢な悩みに思えるかもしれません。
しかし当事者にとっては、悩みゆえに友だちもできず、外出も不安で、ひいては「生きていることさえつらい」という人もいるのです。それではたとえ身体が健康でも、人間らしい生活はできません。
人間は身体の健康と同時に心の健康も必要なのです。
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