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ワキガ手術における吸引法(超音波法)による治療の限界と可能性


投稿者名:秋美

タイトル:吸引法(超音波法)で臭いは治っていませんでした


 

忙しい中、失礼いたします。
私はずっとワキガで悩んでます。実は、一年半くらい前に他クリニックで、手術をしました。吸引法だと思います。手術を受ける前、説明をされた内容では、臭いは99%無くなり、汗もほとんどかかなくなります。との事でした。私は手術中、ふるえていたと思います。それと、涙を流していました。でもその涙は、安堵の涙だったと思います。これでやっと毎日の苦痛から解放される、もう臭いを気にしなくていいんだ、かわいい服だって着れる、人と距離をおかなくていい、何回も着替えなくていい、と思って。
けど、臭いは治ってなかったのです。全くです。まさかっ…って信じたくありませんでした。泣きました。クリニックに電話してみたら、手術をしたばかりだから、とりきれなかった汗腺が臭っているのかも、少し様子をみてください。と言われました。もうクリニックに行きたくなかったけど、勇気をだして半年前くらいに、再手術をしてもらえたら…と思い訪ねてみると、ほんの数分診察して、臭いはないから手術はできないと言われました。私は、もう信用できないと思い諦めました。
でも、やっぱり治したいです。彼とは遠距離だった為会ってる時は、彼のいないところで汗を拭いたり、着替えもたくさん持って行ったり、スプレーは常に持ち歩いたりしました。でも、結婚したら毎日一緒にいるんだって考えると、幸せっだって思うのと、恐怖と両方思ってしまいます。手術をすれば、もう何も気にしないで毎日笑っていられるなら、手術への恐怖感があってももう一度手術をしたいと考えています。
近い将来、子供も欲しいですが、手術をしても生まれてくる子供に遺伝する可能性はありますか? やはり子供にはこんな辛い思いはさせたくないです。直接クリニックの方に電話しようか迷ったのですが、話しが長くなる為、メールでさせていただきました。手術をするなら早い方がいいですよね?
どうかよろしくお願いします。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:吸引法(超音波法)の限界と可能性について



秋美さん。
私は、今までこのHP上では、他院の治療法について批評めいた記載は避けてきました。
(あまりにも悪質なクリニックの現状を紹介した例は別として。)

それは、医学の治療法は日々進歩しています。その進歩は新しい治療法の試みを避けて通れません。新しい試みは時にリスクを伴います。既存の治療法より満足できない結果をまねくこともあります。
ですから、他院の治療法を否定することは、医学の進歩を自ら拒絶することと同じことと考えているからです。

もう一つは、他の病院の治療法の批判は、いわゆる「比較広告」と同様であり、結果的に自院を宣伝することに他ならないからです。

以上の理由で、私のクリニックのHPには他の病院で手術をされた方の質問メールが多数届きますが、「残念ですが、他院の治療内容についてはコメントを控えさせていただいています」という内容の返答しかできませんでした。

しかし、あなたのような深刻な例も多々あり、
また、過去20年以上の腋臭の治療経験(これは多分現役で腋臭を専門に診療している医師では日本で一番長いでしょう。つまりそれだけ歳をとってしまったということになりますね)もあります。

そろそろ、「ある治療法」では「あるケース」には腋臭を完治させることは不可能という事実を明確にする必要があるだろうと考え、今回あえて記載することにしました。
そのケースだけは、実際に腋臭の手術をしたことのある外科医なら、反論することはまずありえないことですので、本意ではありませんが下記に論評します。

その、「ある治療法」とは、あなたが受けられた、「吸引法(超音波法)」による手術です。
その、「あるケース」とは、「副乳」がある場合です。
この両者が、たまたま重なった場合には、残念ですが完治は絶対に期待できないでしょう。

吸引法(超音波法)については、治療法として採用している病院のサイトを参考にしてください。ここでは説明しません。
(ここで言う「吸引法」とはシェーバー法やクワドラカット法等、別な呼称で呼ばれている方法も含みます。しかし、「削除法」は吸引法ではありませんので除外します。さらにここでは吸引法の再発のリスクについては論じません)

副乳についても既に「副乳多汗症」の項で説明していますので参考にしてください。

副乳多汗症は、腋臭の手術の過程で私が発見して、命名したものです。
通常人間の場合には、乳腺は左右の2つです。動物などでは、同時に複数の子供を生むことが多いので複数の乳腺があります。
人間の場合にも、左右の1対だけでなく、複数存在することがあります。それを「副乳」と呼んでいます。副乳があるからといって別に奇形でもなく、特別問題になるわけではありませんので安心してください。

ただし、この副乳が腋の下に存在する場合には、多汗を伴うことが多いのです。
それは、乳腺組織と汗腺組織とは発生学的に共通していることからも推察されます。


ですから、腋臭の治療で、同時に多汗を訴える人では、この「副乳多汗症」の存在を念頭において治療を進めていかねばなりません。
もう一つ念頭におかねばならないことは、仮に副乳が存在した場合には、「吸引法(超音波法)」等の機械的方法では、腋臭の原因となるアポクリン腺の完全摘出は不可能であるという事実です。

女性の方は、自分でお乳の乳腺の部分(脂肪の部分でなく)を触てみてください。どうですか?
非常に硬いでしょう。石のようにコリコリしていることが分かります。
腋下にある乳腺も同じなのです。
副乳は、非常に硬く、しかも皮膚面に強固に付着しているのです。
そのように硬いものを、器械で「吸い取ってくれ」と言われても無理な相談です。

さらに、吸引法で治療が困難になる理由があります。
それはワキガの原因となるアポクリン腺が、「皮膚と副乳のちょうど間」に存在することです。

つまり、吸引法で腋臭を完治させようとするなら(つまりアポクリン腺を完全に摘出しようとするなら)、術者は、吸引器を「アポクリン腺と副乳との間」に正確に挿入しなければならないのです。
これは、硬い岩盤を素手で掘り進んで行くようなものです。
「神の手」をもった医師でも不可能でしょう。

ですから、過去に吸引法で手術された副乳の患者を直視下剥離法で再手術してみると、ほとんどのケースが、「副乳と皮下の脂肪組織の間」に間違って吸引器が挿入されているのです。
つまり、なんと!手術はしたけれど、アポクリン腺が一粒も摘出されなかった!という驚くべき結果で終わっているのです。
肝心のアポクリン腺が全く手付かずでそのまま残ってしまうのです。
(吸引法の名誉のために付記しますが、副乳がないケースでは完全ではないとしても、ある程度は摘出されています)

以前、私がこの副乳多汗症を報告したとき、「非常に稀ですが」という但し書きをしたものです。
しかし、実際にはこの副乳を伴っている女性は意外と多いのです。
そこで、副乳と吸引法との不幸な出会いをどのように避けるかです。

そのためには、副乳があるかどうかを正しく判定することが必要となります。

まず、自覚症状からです。副乳のある場合には、生理前後に腋の下が「張るような」感じがすることもあります。しかし、この感覚も非常に軽いので、自覚症状をもたない人がほとんどです。

他覚的には、腋の触診でかすかな硬さを感じることもあります。

実際に最も副乳の存在を予測させるのは、「麻酔時」です。
腋臭の麻酔はアポクリン腺とその下の皮下脂肪の間に皮膜がありますが、その部分に注入すると麻酔量も少なくてすみ、手術もしやすいのです。
副乳がない場合には、その皮膜に麻酔液を抵抗なく、スーッと注入できます。
ところが、副乳があると、それが麻酔の注入を阻害して、なかなか入っていきません。

なにか、硬い障害物があるように抵抗を感じます。

この「抵抗」を感ずることが出来るか出来ないかが、ベテランかそうでないかの別れ道です。
抵抗を感ずることができたなら、過去に手術を受けてない人(受けている人では同じような抵抗があるので)では、副乳を予想します。
したがって、熟練した外科医なら、この段階で、吸引法(超音波)等の器械法ではなく、直視下法に手術法を変更しなければならないことを理解するはずです。

直視下法なら、アポクリン腺はもちろん、副乳もハッキリと目で確認できますから、両者を取り残すということはありえません。
特に、臭いと同時に汗も気にしている人のケースでは、アポクリン腺だけでなく副乳も摘出することが絶対条件ですので、その意味でも直視下法でなければならないでしょう。

以上、副乳を伴うケースでの吸引法(超音波法)の限界について説明しましたが、私は当院で採用している直視下剥離法が吸引法(超音波法)より優れていると主張しているわけではありません。
どのような手術法でも一長一短があります。
直視下法の優れている点は、アポクリン腺を直に確認できるため、100%完全に完治させることができることです。
逆に、吸引法(超音波)法は、傷が少ないことが長所と言ってよいでしょう。

要は選択の問題です。

「悩みが強いので、多少の傷は残っても、ワキガ臭を再発のないように完全にとりたい。そのことで将来積極的で前向きな生き方ができる」という人は、完全に治る方法を選択するべきでしょう。
そうではなくて、「自分としては、傷も気になるので、人に迷惑をかけない程度にある程度でも臭いが減少すればいい」と考える人は、機械的方法でもよいでしょう。

私は、吸引法の意義を、直視下剥離法と電気凝固法の中間の「すきま」に見出しています。
・「100%完全に治したい」しかも「汗も減らしたい」さらに「再発は絶対にしたくない」という人は、直視下剥離法。
・メスを入れずに手術以外で、日常生活を普通にしながら「約50%〜60%臭いを抑えればそれでよし」とする人は、電気凝固法。
・手術はかまわないが「傷はできるだけ少なくしたい。しかし、ある程度(約60%〜70%)は臭いも抑えたい」という人は、吸引法(超音波法)を選択するのが最も合理的と考えています。

但し、吸引法を採用した場合には、麻酔の過程で「抵抗」を感じたら手術を中止するか、すぐ、直視下法に変更するような体制を整えておく必要はあるでしょう。

さて、あなたの質問にもどりますが、「全く臭いがとれていない」としたら、副乳があった可能性が高いでしょう。
その場合には、前回と同じ手術法をしても意味がありませんので、直視下法での手術をお奨めします。
ただし、今度は2回目の手術になりますので、傷が残りやすくなっています。
婚約者がいるならば、その点もよく話し合って決めるのがよいでしょう。
遺伝については既に過去ログで詳しく説明してありますので参考にしてください。
たとえワキガ体質が遺伝したとしても、手術をすれば、100%完治しますので安心してください。

今、日本は少子化の問題が深刻です。
ワキガが遺伝することを恐れて、出産を控えるようなことは絶対にないようにしてください。
あなたには元気な子をたくさん産んで幸せな家庭を築いてほしいと心から願がっています。
日本の未来のためにも御願いします。

 

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