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再手術する場合の問題点


投稿者名:めぐ

タイトル:不安なこと



私はわきの臭いに悩んでいる29才の女性です。自己診断法でもわきがの条件は遺伝以外は全て当てはまるので、私はわきがだと自覚しています。

わきの臭いもさることながら、自分自身の悩みの大きさからしても手術を考えているのですが、術後の臭いについて心配なことがあります。

五味クリニックHPのリンク先HPのなかで、以下のような内容が書かれていて不安になりました。
「五味クリニックでの手術後に、わきがの臭いではない不快な臭いが発生し悩んでいる」という内容でした。

このようにわきが臭とは違う種類の、それも普通のわきの臭いじゃなく、不快だと思うほどの新たな臭いが発生することはあるのでしょうか?この場合に考えられる原因は何なのでしょうか?
また、このようなケースはよくある事なのでしょうか?

この方のように、新たに不快な臭いが発生する可能性があるのかと思うと、さすがに躊躇してしまいます。臭いの種類が違うだけで結局私自身の「臭い」の悩みが解消されるわけではないからです。

お忙しいところ恐縮ですが、ご返答よろしくお願い致します。


投稿者名:浩子

タイトル:Re: 不安なこと


 


再手術よかったですよ。 

私は3年前ある美容外科で、腋臭の手術をしましたが全然よくならず、
1年前に五味先生に、再手術をしてもらいました。
先生は再手術にはあまり積極的でなく、意味のない手術になるかもしれないのでやめた方が良いと、アドバイスをしてくれましたが

それでもいいから という私の希望をききいれてくださり再手術をしました。

手術後、とれたアポクリン腺をみせていただき
すごく安心して、これでもう完璧!
もう腋臭じゃないんだという、自信がつきました。
この自信は、すごいものです。会社でも積極的となり 人と話す事も不安でなくなりました。
エクリン腺の臭いはありますが、不快な腋臭の臭いは全くなくなりました。
再手術をして、本当によかったとおもいます。
先生ありがとうございました。


先生へ
私のような人もいると思いますので、再手術も必要だとおもいます。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:再手術の問題点。



めぐさん。

あなたの不安は、当然のことです。
そして、そのような不安が現実にならないために、わたしは今まで「手術の適応の3条件」について何度となく説明してきたのです。

結論から先に言えば、「ただし」という条件がつきますが、そのようなことは起こりえます。
その「ただし」とは、「アポクリン腺の臭いとエクリン腺の臭いとの区別をしていない人では」ということです。

つまり、神様でない人間である医師が、手術で取れるものには限界があります。
腋臭症の手術で、取れるもの。それは次の5つだけです。
1.アポクリン腺の本体 2.アポクリン腺の導管部 3.皮脂腺 4.エクリン腺の一部 5.ほとんどの毛根 
これ以外のものは、残ります。
つまり、もう一つの臭いの原因であるエクリン腺の一部は、だれが、どのように一生懸命手術をしても残存するのです。

このことが、わたしが手術の際に「エクリン腺の臭いとアポクリン腺の臭い」とを区別できない人を除外している理由です。
当たり前ですが、手術で残るエクリン腺の臭いを元々気にしていたり、エクリン腺をメインにした混合臭を元々気にしている人を手術しても、本人は体臭が治ったとは思わないでしょう。
エクリン腺がメインの混合臭を気にしていたら、アポクリン腺の臭いがなくなっても、残りの臭いはいまだに気になるわけですし、時には違う臭いとして意識することもあるのです。
ニオイという感覚的な世界では、そのようなニオイを「不快と思う」ことも十分ありえます。

あなたの質問のケースですが、HPはわたしも読んでいます。
実は、その方は、以前どこかの美容外科などで手術を受けられた人です。
つまりいつも問題になる「再手術」の方です。

再手術が問題になるのは、その人がアポクリン腺の臭いを気にしているのか、エクリン腺の臭いを気にしているのか、それともエクリン腺がメインの混合臭を気にしているのかの「診断」が不可能だからです。

初回手術の人なら、まずそのようなことは起きません。
なぜなら、初回では「試験切開」という検査が出来るからです。
わたしのクリニックでは、自己臭傾向や対人体臭恐怖傾向にある人やアポクリン腺以外の臭いを気にしている可能性のある人は、手術前に必ず「試験切開」を行ないます。
仮に試験切開で、アポクリン腺が無いか、少ない人は、手術をしてもその後に必ず「まだ臭うようだ」「違う臭いがする」「まだ人に言われる」「まだ他人のしぐさがある」と訴えて来院します(わたしが試験切開を考案して始める前はしばしばありました)。
その人たちは、別にうそを言っているわけではないのです。
クリニックを困らせようとしているわけではないのです。
本当にそう感じ、そう思っているのです。
それは、本人にとっては手術前と同じ臭いがしたり、アポクリン腺の臭い以外の異なる臭いが気になるのですから当然なことです。

試験切開は、このような不幸を避けるためには非常に有効なのです。
しかし、です。
この試験切開は、再手術の人にはあまり意味がありません。
なぜなら、通常、検査は腋の真中の1箇所を見ることで十分なのですが、
前に手術をした人では、検査の場所にアポクリン腺がなくても、他にあるかもしれませんし、その逆の可能性もあります。
つまり、再手術の人には試験切開は無効なのです。
ですから、その人が元々どのようなニオイを気にしていたかは最初に手術をした医師しかわからないのです。

わたしのクリニックでは、再手術の患者さんにんは術前「悩みが解決しないこともありますけれどよろしいですか」という了解を必ず取ります。
その点を理解してもらえない患者さんは絶対に手術は引き受けません。
HPに書き込んだ人にも、このことは説明していますので十分理解していると思います。(ですからクリニックを中傷しているわけではないのです。)

にもかかわらず、このような不幸が起こりえるのです。
そこが体臭の治療の特質なのです。
そこが体臭の治療の困難なところなのです。
わたしが15年前に、その他の診療を一切止め、体臭多汗の治療のみに専念したのも、このニオイの治療の困難さゆえです。片手間には出来ない分野だったからです。

少し長くなりましたが、あなたのご質問は、体臭の治療に関して「治療者」と「患者さん」の双方が理解しなければならない非常に重要な問題を含んでいるのです。

結論をもう一度言いましょう。
あなたが不安に思うことは、自分の体臭を明確にできなかったり、他人との関係性の中で悩んでいる人には、十分起こり得ることです。
しかし、アポクリン腺を摘出したことで、違う汗腺が生じたり、エクリン腺の臭いが強くなるということは医学的にありえませんので、この点は安心してください。

書き込みの内容から、大変聡明な方のようですので、めぐさんならこの違いを、はっきりと認識できると思います。
それでもまだ不安の点がありましたら、また質問してください。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:再生再発の可能性について。



浩子さん。

書き込みありがとうございました。

めぐさんの書き込みの後、再手術をすることにますます慎重になっていましたが、あなたの投書を読んで少し考え過ぎていたことに気が付きました。

しかし、ニオイの治療は例えわきが臭を「完全」に治しても、その患者さんの悩みが解決して満足してくれなければ意味はありません。
わたしの気持ちからすれば、手術を引き受けた人の1%でも不満な人がいれば、やはり落ち込んでしまします。

この掲示板は、体臭多汗で悩む人々に正確で公正な情報を提供するために企画されました。
公正ということは、プラスの情報ばかりでなくマイナス情報も提供するということです。

そこで、今回はわたしにとってネガティブな情報を正直にお話ししたいと思います。

実は数日前にわたしは落ち込んだのです。
それというのも、クリニックのメールに7年前わたしが手術した患者さんから、「左側だけ再発したようだ」というメッセージが入っていたのです。
携帯からのメールだったので詳しい内容は書き込んでありませんでしたが、わたしは常々「100%再発しないように器械でなく直視下での手術を行うべきである」ことを主張していますのでかなりのショックを受けました。

わたしのクリニックで、手術の後に「まだ臭う」といって来院される患者さんが無いわけではないのです。
正直に言って、「試験切開」を導入する10年以上前はしばしばありました。
それは、エクリン腺のニオイを気にしている人や体臭対人恐怖の人を除外できず、希望される人のほとんどの人の手術を引き受けていたからです。
当然ながら、エクリン腺のニオイは手術でも取れませんし、体臭対人恐怖の人の心までメスをいれるわけではないので、これらの人は手術の結果に満足するわけがないのです。
それらの人にとっては、本当に「まだ臭っている」わけだし、まだ「人に臭いと言われる」わけです。

しかし、試験切開を導入してからわたしのクリニックでは、「ほぼ」そのような人はいなくなりました。

しかし、今回の書き込みは別です。
つまり、「左右の両方とも再発した」というのなら、手術そのものの問題より、手術の適応の問題として考えることができますが、「左だけ」気になるということは、アポクリン腺がその部分だけ再発した可能性も否定できないのです。

普通「直視化剥離法」では、1粒1粒、直にアポクリン腺を確認して摘出していきますから、目に見える「腺体(本体)」を取り残すことはまずありません。
しかし、導管部(腺根)の部分は皮膚に入りこんでいるので、目では見えません。腺根がのこればそのアポクリン腺だけは当然再生再発します。
そこで、わたしのクリニックでは、腺根が入りこんでいる皮膚の真皮層まで含めて「剥離」という手技をすることで腺根まで含めて摘出しているのです。
ちょうど、木の根を取る時、周りの土まで含めて根こそぎ取るのと同じです。
このような方法では、アポクリン腺の本体と腺根の両方を、100%摘出できる「はず」です。

しかし、「はず」でないことがごくごく稀にはありえます。
それは3つのケースです。
一つは、例外的にその人のアポクリン腺の腺根部分が異常に深いとき。
二つ目は、剥離がその部分だけ浅くなったとき。
三つ目は、その人の汗腺が「アポエクリン腺」というエクリン腺とアポクリン腺の両方の性質を持っていたとき。

これらの場合には、稀に再生再発する可能性がありえるのです。

三番目のアポエクリン腺の場合には、通常手術を始めるとその形態からわかりますので、普通の剥離より深くします。

しかし、一番目の、例外的に腺根が深い場合には、判定が不可能ですので一部の腺根が残る可能性もあるのです。(最近は以前より剥離を厚くしていますので今は対応できますが)

二つ目は、わたしが手術をする限りまず起こりえません。と思っていますが、わたしも人間ですので「飛行機の落ちる確率」くらいでは起こりうるかもしれません。
でもこれだけははっきりと言えます。
わたしは、少なくとも腺根まで含めて「100%」摘出することを「常に心がけ」て手術をしています。

結論から言えば、検査をすればすぐわかりますが、その方の場合には剥離が腺根より浅かった可能性もあるのです。

でも直視下剥離法の場合には「浩子さんのケース」とは根本的に違います。
彼女の場合には、そもそもアポクリン腺そのものが完全には摘出されていないのです。
つまりそれは「再発」ではなく「取り残し」です。
「取り残し」は直視下での手術では、術者がさぼっていないかぎりありえません。このことは自信をもって断定できます。

いずれにせよ、人間がする手術では100%ということはありません。
しかし、わたしはいつも意図的に「100%摘出します」と書き込んでいます。
それは、「100%の患者さんに、100%摘出するつもりで」手術をしないかぎり、医療とは言えないと考えているからです。

今回はちょっと長くなりましたが、これから手術を受けるみなさん、そして携帯でしたので説明が不十分だったメールをいただいた方の参考に少しでもなれば幸いです。

 

 

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