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 便臭と腐卵臭に悩んでいます

 

投稿者名:サトリ

タイトル:便臭と腐卵臭…会社を辞めたい


 

何度も相談ばかりしてすいません。
誰にもニオイでの悩みを理解してもらえず気が狂いそうです…親には何度もニオイがすると訴えかけましたが、気のせいだと相手にされません…嫌われそうで友達には打ち明けられません。
臭いの種類は蛋白質系の臭いです。ものすごくクサいうんちのニオイの日や、腐った卵のニオイが強い日が何日も続いています。ストレスはものすごくたまっていますが、精神的な影響なのですか?
服にはニオイはつきません。自分の周りの空気がトイレの中のようなニオイになるように感じます。ニオイがしてる時間としていない時間ははっきりと区別できます。
腸の内視鏡検査はしましたが、ガスがたまっている意外は異常はありませんでした…またおならは全く臭くないのですが、うんちが異常なくらい腐卵臭がするのも気になります。
ココアやヨーグルト、ヤクルトは毎日食べてます。うんちは1日三回くらいでます。

今は努力して入った会社を、体臭がつらくて、辞めようか悩んでいます。
出来れば返事ください…医学的な意見でなくても、返事をいただけるだけでも励まされるので。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:クロロフィリンの腸内体臭への効果について



サトリさん。あなたが気にしている「便臭」や「腐敗臭」にはクロロフィリンの配合したタブレットがある程度有効であることが分かりましたので報告します。
クロロフィリンについては、「刺激臭」の項目でも説明してありますので、そちらも参考にしてください。

私は体臭の発生を3ルートに分類しています。

第一は「体表面体臭」です。皮膚付属器官(アポクリン腺や皮脂腺)や皮膚面で発生する体臭です。ワキガ臭が代表です。
第二は「体内体臭」です。ダイエット臭のように体の中で発生して、汗や口臭としてでる体臭です。糖尿病のような病気のときに発生する体臭は全てこれに属します。
第三は、「腸内体臭」です。腸内で食物が細菌により発酵分解されて発生し、体に吸収された後、汗や口臭として出る体臭です。

前回説明したアルデヒド系の「刺激臭」は体内体臭に分類されます。体内に酸素が不足するとき、代謝産物として乳酸が発生しますが、乳酸の分解産物として発生するからです。
この刺激臭にクロロフィリンが有効なのは、クロロフィリンがちょうど酸素を運搬する赤血球に含まれるポルフィリンという血色素に類似していることを利用したものです。
クロロフィリンはいわば「造血剤」として働き、酸素の供給を促進してくれるのです。抹消の組織に十分酸素が行き渡れば乳酸の発生が抑えられて、結果的にアルデヒド系の刺激臭の発生も減少するのです。

一方、あなたが悩んでいる「腐敗臭」や「便臭」は、腸内体臭に属します。
腐敗臭や便臭に代表されるニオイ成分は、「メチルメルカプタン」「硫化水素」「インドール」「スカトール」「アミン類」などの含硫化合物や窒素化合物です。
これらは、腸内で食物のタンパク質が細菌により分解されるときに発生します。タンパク質を分解するのは、主にウエルシュ菌等の悪玉菌です。

したがって、便臭予防の第一は、ビフィズス菌のような善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすような食物を摂取することです。
その代表が、私が「体臭予防の3本柱」と呼んでいる「食物繊維」「乳酸菌類」「オリゴ糖」を含む食材を摂取することです。同時に肉類などのタンパク質を控えめにした食生活に変えることも大切でしょう。

しかし、人間は肉を食べずには十分な栄養素を摂取できません。
肉を食べれば必ず腐敗臭が出る。

それではどうしたらよいか?

肉を食べても、発生してしまったニオイ分子を瞬時に無臭化すればよいのです。
ここで朗報ですが、クロロフィリンが、アミン類のような窒素化合物やメチルメルカプタンのような含硫化合物の消臭に有効であることが分かってきました。

当院では、平成17年の一年間で、約20名の「便臭」と「腐敗臭」で悩んでいる患者さんにクロロフィリンを含有したタブレットを処方し、その内7名からニオイが「減少した」「減少したような気がする」と回答を得ています。
しかし、20名の人の中には自己臭的に悩んでいる人が相当数いるはずですので、実際にニオイが減少したパーセンテージは50%を超えていると思われます。

ここで、クロロフィリンについて少し説明しましょう。

クロロフィリンは、クロロフィルを加水分解したものです。
クロロフィルは葉緑素の一種と考えてよいでしょう。植物が緑色なのはこのクロロフィルのためです。この緑色の性質を応用したのが食用色素、食品の新鮮な緑を保つ食用添加物です。

しかし、実際にはクロロフィルは油溶性で水に溶けず体への吸収が悪いため、アルカリで加水分解して水溶性にしたものが「クロロフィリン」なのです。
食品添加物としては、さらにクロロフィルに含まれるMgイオンを銅イオンや鉄イオンで置き換えたものが使用されています。

とくに「銅クロロフィリン」は、緑色が新鮮なため、ガム、あめ、キャンデーや野菜や果物の貯蔵品によく使用されます。
ガムをかめば口臭が防げるのは、この銅クロロフィリンの消臭効果のためです。
最近では食用色素としてだけではなく、消臭効果を目的として歯磨きや口中清涼剤として使用されることもあります。

しかし、腐敗臭や便臭などの腸内体臭に効果的なのは、銅クロロフィリンより「鉄クロロフィリン」の方です。

鉄クロロフィリンの消臭作用については、タマ生化学の頼春樹先生の報告があります。

頼先生は、含硫化合物の硫化水素とメチルメルカプタンに対する鉄クロロフィリンの官能検査で、6名のパネラー全員が「臭気が感じられなくなった」という結果を報告しています。
また、G、L、Cというニオイセンサーを使用した実験でも、鉄クロロフィリンの消臭効果が5分後にほぼ100%に達していることも報告しています。

このような、鉄クロロフィリンの消臭メカニズムは、ニオイ分子を化学的に酸化分解するためと推察されています。

例えば、メチルメルカプタンのようなニオイ成分は、イオン化して揮発性になることで始めて空気中を浮遊してニオイ分子としての性質を発揮します。
鉄クロロフィリンの中に含まれる鉄イオンとメチルメルカプタンが結合して錯体を形成すると、相互に電子の移動つまり酸化還元反応がおこり、非イオン化して、安定的な無臭物質に変換されてしまうのです。

これらの消臭メカニズムはまだ理論的に確立したものではありませんが、クロロフィリンは殺菌作用もありますので、クロロフィリンの服用が腸内体臭に非常に有効なものであることは確かだ思います。

五味クリニックに送られてくる質問メールからも便臭や腐敗臭で悩んでいる人が非常に多いことがわかります。各消臭剤メーカーが有効な「飲む消臭剤」を開発することを期待しています。
有効なタブレットが発売されれば、このHPで紹介したいと思います。

 

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