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 先生はどうして体臭の悩みが分かるようになったのですか?

 

投稿者名:ジェミニ

タイトル:共有メールに励まされています


 

五味先生、ニオイや汗の質問ではないのですが、たまたま、ネットを検索していて、五味クリニックの共有メールに行き着き、読ませていただきました。
私は体臭ではなく、自分の体のあることで中学生の時から悩んでいましたが、共有メールを読んでいて、涙がとまりませんでした。高校生でもがんばっている子がいて、正直自分もがんばらなくちゃと励まされています。
先生はどうして体臭の悩みが分かるようになったのですか?

 

投稿者名:五味院長

タイトル:共感するということ



ジェミニさん。
 私は一応、精神科の病院に勤務していた経験がありますので、人間の心理について多少の分析力はあるつもりです。
 
 しかし、私は聖職者ではありませんので人の悩みの内容を100%「理解」できる自信はありません。
 でも、その人の悩みの辛さには、少なくとも「共感」できるようになりたいと思っています。

 「共有メール」の一番最初にも記載しましたが、「共有メール」をつくったきっかけは、体臭で悩むある17歳の女の子の「一人じゃない」という気持ちがその子の生きる力となってきました、という短いメールからでした。

 人は、人が必要なのです。
 人は、他人というお堀に囲まれているから、自分があるのです。
 人は、自分が他人から受け入れてもらえるから、自分も受容できるのです。
 人は、誰でも人から共感されたいのです。

 今回は、私自身がもっとも大切にしたいと思っているこの「共感する」ってどうゆうこと?を私なりに考えてみたいと思います。(ちょっと理屈ぽくなりますよ。覚悟してください!)

 共感の意味を知るためには、それと同じような言葉と比較するとよく理解できます。

 まず「同感」と「共感」の違いです。

 よくサラリーマンが友達どうしでお酒を飲みながら議論をしていますね。「それって、同感!同感!異議なし!」って言っているでしょう。
 その時の同感とは、あなたの「意見」に賛同します、という意味ですね。
 ある「事柄」や「事実」に自分の意見と一致するから同感するんです。
 ですから、もし相手が自分と違う意見なら、受け入れることはできませんから、けんか別れしたり、絶交してしまうこともありうるでしょう。

 私なんか自分の意見をハッキリ言う方ですから、事実関係だけが人間関係だとしたら、体がいくつあってももたないでしょう。

 でも「共感」は違います。
 
 共感とは、相手の意見の「事実や事柄」だけでなく、そのような考えをもった相手の今ここの「気持ち」や「感情」も含めて感じ入ることを言います。

 ですから、例えば相手の主張した意見が自分と違っていても、「あなたの言ったことは私の意見とは違います。でもあなたがそのようなことを言いたい気持ちは分かります」。となるのです。
 
 お母さんが、子供の間違いをさとすときに言うでしょう。「あなたのしたことは許しません」って、その時「でも、あなたがそのような行為をせざるを得なかったその気持ちは分かるよ」というメッセージがあるのです。
 「あなたのしたことは嫌いです。でもあなたという存在は愛しているよ」ということですよ。
 お母さんは、子供の心に共感できるから、どのような行為であってもその背後の感情は受容できるのです。
 (あえて誤解を恐れずに言えば、例えば自分の子供が殺傷事件の加害者になったときの親でもそうでしょう)

 人はだれでも「自由な感情」をもつ自由があります。
 こころの中に浮かんできた「感情」にウソ偽りはないでしょう。意見には偽りがあっても、感情を偽る人はいません。感情とは、人の本心そのものなのです。

 だから、今ここのありのままの「感情や気持ち」を人から受け入れてもらうと、嬉しいのです。救われるのです。癒されるのです。

 よく、「先生も、きっと体臭について悩んでいたでしょう?そうでなければ、HPのような親身な回答はできないはずです」と質問されます。

 でもそれは違います。

 「同情」ならそうでしょう。

 「同情」とは、自分の体験や価値観から、相手の気持ちや感情を推測することです。
 よく「・・・・さんのとこは、障害児がいて大変ね」と同情するでしょう。でもその同情が本物であるためには、こちら側にも障害児がいることが前提でしょう。そうでなけれは、その同情は安易なヒューマニズムであり、受け手が最も嫌う感情となるでしょう。

 その違いです。
 
 同情は自分の立場から「上下関係」の中で抱く感情です。しかし、共感とは相手の立場から、その思いを「対等な関係」で推し量り、共有することなのです。
 (推し量るために必要な「想像力」については長くなるので別な機会にお話しましょう)

 もっと言いましょう。
 
 同情とは、例えば、障害者をもつ人「全般」に対して抱く感情です。
 でも共感は、障害者を持つAさん個人に、そして、障害者をもつBさん個人に、さらに、Cさん個人、の今ここの気持ちを「個別的」に感じ入る感情なのです。
だから、共感すると、相手の「顔」が見えてくるのです。だから、泣けるのです。

 共感する感じ方では、障害者を持つ人々を一緒くたんにしてマルメに考えることなどできないのです。なぜなら、「障害児」や「障害者」という名前の人は一人もいないからです。

 体臭多汗で悩んでいる人に対しても同じです。

 ニオイや汗という一見同じような分野にみえる悩みでも、その悩みに同じものなど一つもありません。みな個別的なのです。

 だから、「読者の共有メール」なのです。

 この掲示板の「カウンセリングルーム」の方は、体臭多汗の悩みの解消法の「集約化」に意味があります。具体的解決法の「一般化」に価値があります。
 
 でもこのHPを訪れる人は、悩みの「解決法」だけを求めているのではないのです。
 「共感」したいのです。
 ニオイや汗で悩んでいる人個人と心を共にしたいのです。
 だから、あなたのように、ニオイや汗で悩んでいない人も「共有メール」に泣くのです。

 共有メールは、五味クリニックがHPを閉鎖しない限り、これからも、何百、何千と記載件数は増えていくでしょう。
 しかし、何万件と増えたとしても、あなたは、その中に一つとして「同じ悩み」を発見することはできないでしょう。

 「その悩み」に悩むことができるのは「その人」一人だからです。
 悩みとは孤独なものなのです。
 だからこそです。
 だからこそ、一人しかいないあなたの共感が必要なのです。
 あなたという一人の共感が、ひとりで悩んでいるもう一人の力になれるのです。

 そのような力をわたしは「悩力」と呼ぶのです。


 

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