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 ボトックスによる多汗治療は何度も注射しないといけないのですか?

 

投稿者名:まはろ

タイトル:腋の脱毛後の多汗症


 

 大手のエステで脱毛をして6年が過ぎますが、脱毛を始めた頃から急にワキの汗の量が増えました。汗じみが気になって、着る洋服の色もかなり選択肢が狭まってしまいました。
 私の場合、人と話したり人前で注目されることがあると、汗の量が一気に増えてしまいます。
 夏場はもちろん、冬でもセーターのワキの部分だけ色が変わっているということもしばしばです。
 今ではそれが気になって、つい人目を気にしてしまいます。

 エステシャンの方に聞くと、私と同じような事を言う客はけっこういると言われ、でもそれに対する対処方はないと言われました。
高いお金を払って脱毛をしたのに、こんなふうに汗に悩まされるとはおもいませんでした。

 先生のご意見をお聞かせ頂けたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:脱毛後多汗症について



まはろさん。

まはろさんと同様な悩みの質問が多いので、掲示板に追加します。

エステ等での脱毛と腋の多汗症の発生との因果関係は、実はまだよく分かっていません。
しかし、実際に当院の過去20年の診療期間で、脱毛後に汗が増えたと訴えて来院された人は、数千人にのぼるでしょう。そのくらい多いのです。最近では、エステだけでなく、病院でのレーザー脱毛後にも同様な訴えをする人が増加しています。

ところが、医学的には、まだそのような因果関係やメカニズムを研究されたことはありませんし、医学界での発表もありません。原因に関してはまだはっきりしたことは分かっていないのです。

ある皮膚科の先生によれば、「脱毛刺激が汗腺を刺激してエクリン腺の能動化を引き起こす」のではないかと言っています。つまり 人間の皮膚には生まれつき、500万個近くの汗腺があるのですが、実際に「汗をかいて」働いているのは、そのうち半分くらいなのです。残りはあっても機能していない「不能動汗腺」なのです。ところが、脱毛で何回も皮膚刺激をすることで、寝ている汗腺が起きて働きだして、汗をかくようになってしまうというのです。

この説明は、理論上では非常に明確であり、その可能性も否定できません。ひとつひとつの能動汗腺の機能が高まった可能性も含めて、その原因を医学的な証明することは現代の脱毛ニーズの高まりを考えると今後の重要な医学的課題のひつとでしょう。

しかし、わたしはこのような局所的な理由以外に、もうひとつの原因を想定しています。
それは、このHPにはもう何度もでてきた「精神性発汗」です。

つまり、自己脱毛も含めて「腋毛を処理する」という「行為」が契機となって、それ以降、意識や関心が腋に集中的に向かってしまい、今までさほど気にしていなかった量のふつうの汗でも「ちょっと」気になって、その結果さらに意識が腋に向かい、そのことが「もっと汗をかくのではないか」という予期不安となり、ますます多くの汗が現実化するという精神性発汗の悪循環が起きてしまうのです。

このような原因なら、エクリン腺を刺激する可能性の少ないレーザー脱毛後の多汗症の発生も説明できます。

対策としては、やはり個々の治療者による施術中のメンタルなケアが必要でしょう。脱毛という目的が達成したのですから、もう腋にはあまり神経を集中させないで、仕事や趣味に大いに打ち込めるようにするための心のアシストやカウンセリングが必要でしょう。
施術後や治療後の多汗の訴えに「そんなことはありませんよ。気にせいでしょう」などという否定的な対応では、ますます患者さんの精神性発汗を悪化させるだけです。

また、脱毛を希望され、同時に施術後多汗症を心配されるなら、できるだけそのような可能性の少ない方法を選ぶことも大切でしょう。

私がお奨めする方法は、小林式の電気凝固法です。
小林式の電気凝固法についてはこのHPでももう詳しく説明していますが、脱毛針の皮膚表皮及び真皮上部に当たる部分が「絶縁」されていることが特徴です。そのため皮膚が火傷をする心配がないため、高圧の電流で、腋毛の毛根だけでなく、皮下のアポクリン腺と真皮下部のエクリン腺を同時に熱凝固できるのです。

当院では、この機能をさらに高めるような方法で、電気凝固法を腋臭の治療に応用しています。
過去20年近く電気凝固法を行っていますが、当院では治療後の多汗の訴えはまだありません。
その理由は、電気凝固法自体が汗を減らすからです。
汗が減っているのに、多汗の訴えをする人はいないでしょう。

しかし、現在すでに脱毛が終わっていて、多汗症で悩まれている人にはもう電気凝固法は意味がありません。その場合には、心療内科等で自律訓練法(私の本に詳しく説明してあります)を受けるのもよいでしょう。

また、簡単に抑えるなら、ボトックスの注射が非常に効果的です。
ボトックスは当院では、1年半のモニター期間後平成15年の3月から既に多くの精神性発汗の患者さんの治療に応用していますが、非常に(というより驚くほど)有効です。妊婦以外の人の安全性も確認されていますので、一度考慮する価値はあるでしょう。

 

投稿者名:コスモス

タイトル:脱毛後の汗が気になります


 

 五味先生、はじめまして。HPを見させていただきました。
まはろさんと同じように、私も2年前にエステで脱毛を受けてから汗が異常に多くなり、今では冬でも洋服にしたってくるほどです。HPにボトックスという注射が有効とありましたが、いろいろなサイトで調べると、何回もしないといけないようなのですが、1回でどの程度減少するのでしょうか?


 

投稿者名:五味院長

タイトル:汗対策としてボトックスの効果について



昨日脱毛後の多汗症の発生についてHPに記載したところ、今日1日に6通もコスモスさんと同じ内容の質問が来ましたので、ここでの回答で返答にかえさせていただきます。

まず、まだ脱毛の途中であるならば、電気凝固法に切り替えるのもよいでしょう。しかし既に脱毛自体が終了している場合には、もうこれ以上の脱毛は必要ありませんので、電気凝固法は意味がありません。(臭いも気になるなら別ですが)

そこで、これには脱毛後の多汗の原因とも関係することですが、仮に精神性発汗がメインだとすると、「自律訓練法」が自宅でも出来る簡単(実際には簡単ではないのですが)な方法です。できれば、心療内科等で訓練を受けるのもよいでしょう。

しかし、自律訓練法はかなりの時間がかかりますので、もっと簡単に抑えたいというのであれば、今は「ボトックス」の注射も選択肢のひとつです。ボトックスの作用については既に違う項目で詳しく説明してありますので参考にしてください。

今回は、モニター期間を含め過去2年間での当院での治療経験とボトックスの効果についてお話します。

結論を言いますと、ボトックスは私の想像以上の減汗効果がありました。

当院では、注射後約1週間後にお近くの方には検診に来ていただき、遠方の方には電話で経過報告をしていただいているのですが、7割くらいの人が「70%〜80%程度減少した」と返答しています。中には「ほとんどかかなくなった」と答えた人もいました。
ただ、一部の人は「幾分減ったかな?」と首をかしげる人もいて、人により効果に差があるのも事実です。
全体的には、「満足できる」方法と断定してもよいでしょう。
効果のある人は、注射の翌日から効き始めるようです。平均すると3日目くらいから効果が現れる人が多いようです。

問題の効果の持続期間ですが、理論的にはボトックスは半年くらいで、交感神経末端からはずれて、体外に排泄されてしまいますので、その後は再び汗をかきはじめる「はず」です。
ところが、驚いたことに、この「はず」が来ない人がいたのです。
実際に、モニター期間の2年間を含めた当院の統計では、半数近くの人が6ヶ月を過ぎても汗が減少しているか、以前よりあきらかに少ないままなのです。

この理由は、当院がボトックスを主に「精神性発汗」の患者さん行っているからです。 精神性発汗は、既に説明したとおり、こころの中つまり潜在意識に「予期不安」が固着することが原因です。
ところが、ボトックスによってある一定期間でも汗の減少が持続すると、腋の汗以外の他の事柄に注意や関心が向かったり、「いつでも汗を抑えられるのだ」という安心感や自信がこの予期不安を解消してしまうようなのです。

勿論、これは全ての人に当てはまるわけでありません。あまり内向的で物事にこだわる人は、物理的な効果期間がなくなると再び汗がでて、もう一度注射が必要となります。しかし、それでも前回より少ない量で同じ減汗効果が得られるようです。

当院ではアメリカのアラガン社製の本物の「ボトックス」を使用していますので、手の痺れやだるさと言った副作用について訴えた人は今までありませんでした。
以前当院のメールに副作用を報告された方は、どうも中国製などの安価なものを使用している施設で治療を受けたようです。(ボトックスというのはアラガン社だけの製品名です)
ただどのような薬でもあることなのですが、1件だけ皮膚のアレルギー反応を生じたことがありました。この場合でもボトッスは静脈注射ではありませんので、数滴注射するだけで皮膚反応が現れますから、すぐ中止することができます。また、アレルギーがあるかどうかは事前に検査的に予備注射を行うことでも判明します。

以上のように患者さん本人に対する安全性は確認されましたが、妊婦の胎児に対する安全性はまだ確立していませんので、半年先までに妊娠の可能性がある女性は、ボトックスの注射は避けて、子供を出産してから治療を受けるのがよいでしょう。

 

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