投稿者名:五味院長
タイトル::再手術についての説明
よしえさん。
分かりました。
今回は「再手術について」少し長くなりますが説明しましょう。
以前に体臭多汗の手術をされた方で、「まだ気になる」という人は「非常に」多いのです。
特に最近はわたしのクリニックで手術される方の半分は再手術の患者さんの日もあるくらいです。
再手術を希望して来院される人には、二通りあります。
一つは、過去の手術が不完全であったケースです。
当然ながら、腋臭の原因であるアポクリン腺を取り残したり、再発したら、ワキガ臭は残りますから「まだ気になる」のはあたりまえです。
もう一つは、手術の完全、不完全と関係なく、手術前の正しい診断がなされていない場合です。
このケースでは、本当に患者さんがアポクリン腺の臭いを気にしているかということを無視しているわけですから、もしもともとアポクリン腺以外のエクリン腺の臭いを気にしていたなら、手術ではエクリン腺は100%取れませんから、当然まだ「気になる」ということになるのです。
ここで、手術の内容に関していえば、「直視下剥離法」では、初回手術も再手術も全く変わりはありません。
直視下手術ですから、皮下を直に確認していくわけですから、どちらもアポクリン腺に関してはその人に「今」あるだけ、100%とれます。
(器械的方法では再手術はどこにアポクリン腺が残っているのか確認できませんからかなり困難な手術となるでしょう)
手術の治りにくさや傷については、若干差はありますが、問題になるほどではありません。
この点はあまり気にしなくてよいでしょう。
しかし、問題があるのは手術の内容ではないのです。
それは、再手術では「正しい診断」が困難であるということなのです。
初回でわたしのクリニックに来ていただければ、まずその人が本当にアポクリン腺のワキガ臭を気にしているのか、又はそれ以外の手術では取れない臭いまで気にしているのかはほぼ分かります。
なぜなら、初回であれば「試験切開」という検査が可能だからです。
手術前の検査によってアポクリン腺がさほど多くない場合には、わきが臭以外の手術では取れないニオイをわきがという風に思い込んでいる可能性があります。
このようなケースでは、わたしのクリニックでは手術を中止することもあります。なぜなら、そのような人を手術しても、術後エクリン腺のニオイがしたり、他人のしぐさや態度が気になった場合には、きっと「まだ臭っている」「手術で治らなかったのではないか」という不安のため、もっと違うニオイを気にしてきまうことがもあるからです。
わたしのクリニックで初回手術の患者さんが「まだ臭う」といって来院する率(0%は不可能です)が少ないのは、このような検査を術前にするからなのです。
しかし、再手術はそうはいきません。
中心部を検査しても周辺にに残存しているかもしれません。
その逆もあります。
つまり、一度でも他の病院で手術を受けてしまうと「正しい診断」が不可能なため、アポクリン腺以外のニオイを気にしている人を除外できないのです。
そのような人を手術しても、またなにか違う臭いを気になって、また他の病院に手術を受けるという、「病院めぐり」に陥ってしまうのです。
このケースは、わたしが再手術した患者さんでもかなりいます。
ちなみに別なサイトを見ていたら、五味クリニックで2回目の手術を受けて汗の臭いはなくなったけれど別の臭いがするので3回目の手術を又別の病院で予定しているという書き込みがありました。
わたしは、再手術の場合には、口を酸っぱくしてアポクリン腺の臭いしかとれませんよと説明しているのですが、このような不幸が起こり得るのです(初回に診察に行く病院がいかに大切かがわかります)。
再手術については、以上です。
ですから、あなたがこのことを十分理解して、自分で「絶対にアポクリン腺の臭いに間違いない」という自信があるなら、わたしに手術を任せてください。
前回の手術で皮下が堅くなってはいますが(特に器械で描きだした場合には)今度は、アポクリン腺を一粒ず確認して腺根部まで完全に摘出することを約束します。
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