| 投稿者名:五味院長 タイトル:代償性発汗について 
               
   かの子さん。   腋の多汗症の手術での減汗効果は、どのようなタイプの多汗なのかによって異なりますので、正確なお答えには、もう少し情報が必要です。次の点に関してもう一度書き書き込んでください。
   まず、耳垢はどのくらい軟らかいか。腋毛はどのようか。
 下着が黄色くなるとき制汗剤は使用しているか。
 両親のどちらかが耳垢が軟らかいか。
 生理の前後で腋が張った感じはあるか。
 主に汗をかくのはどのような時か。
   以上です。   次に手術に伴う「代償性発汗」ですが、新聞で見られたのは、手のひらの多汗症の「神経ブロック」という手術のことでしょう。 確かに、手のひらの多汗症での「内視鏡下胸部交感神経焼却術」という手術を受けた場合には、手のひらの汗が減る代わりに、胸から下や足の汗が代償的に増えてしまうことがあります。わたしのクリニックにも大学病院などの胸部外科や麻酔科でこの手術を受けたあとで、今度は胸や足の汗が多くなってしまったと訴えて来院される患者さんが「かなり」います。
 このような経験が、わたしが手にひらの汗の治療に「神経ブロック」の適応に慎重になる理由でもあるのです。
   しかしこれはあくまで「てのひら」の「神経根」に対する治療の場合です。脇の下の汗の治療は、「神経」に対する手術ではありません。
 あくまで、腋の下に局在する「汗腺」に対する手術なのです。神経は一切タッチすることはありません。
 ですから、少なくともわたしのクリニックで過去16年間の間に「腋の多汗症」で手術を受けられた方で「代償性発汗」の生じた患者さんは1人も経験していません。
 腋の多汗症の手術に関しては、代償性に他の場所に汗が増えるということはありません。このことははっきりと明言できますので安心してください。
 
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