投稿者名:五味院長
タイトル:解決法を一緒に考えましょう
まーさん。
「どーか、助けてください」と言われて、自分の医学的知識と技術のかぎりの全てを提供しようとしない医師はいないでしょう。
まして、わたしの患者さんからのお願いです。胸にズシーンときます。
まーさんの悩みの解決のために出来る限りの協力は惜しみません。
でもその前に、まーさんに信じてほしいことがあります。
それは、試験切開によって、わたしが「100のうち10くらい」と診断をしたのであれば、あなたは「腋臭症」ではありません。
何度も出てくるように「腋臭症」という定義さえはっきりとしているわけではないのですが、少なくとも、あなたのアポクリン腺からのニオイは人の鼻粘膜まで届くほど強くなかったのです。
このことは、試験切開は直に皮下を確認しているのですから否定できない事実です。
わたしたち医師は、検査の結果を改ざんして伝えるようなことはできません。
検査で、「100うち10」であれば、その事実は曲げることはできません。
まして、腋臭ではないのに手術をすすめるようなことができるわけがありません。
診断の出来ない器械的手術では、意図的ではないにしても、腋臭でないにもかかわらず手術を受けてしまうことがあるのです。
あなたの場合には、少なくとも「意味のない手術」は避けれたのですから検査自体は意味があったはずです。
しかし現実に今あなたは「わきのニオイ」で悩んでいます。
その悩みを解決しないかぎり、検査の本当の意義はありません。
そこで、あなたの悩みをここで整理しましょう。
あなたが今悩んでいる理由は二つあります。
一つは「腋臭ではないが、アポクリン腺がゼロではない」からです。
もう一つは「腋臭ではないが、すっぱいにおいがする」からです。
第一の問題ですが、仮にあなたが「アポクリン腺がゼロになるなら、すっぱいにおいがしても悩みが解消する」というのであれば、治療は簡単です。
それは手術をすればすむことです。アポクリン腺だけは手術で100%取れるからです。
しかし、わたしはあなたには手術はお薦めできません。
それは多分あなたの悩みは「すっぱいにおい」が変わらなければ手術後も同じように悩むか、または今度は違うにおいを不快に思って悩む可能性があるからです。
ですから、あなたの場合にはあくまで手術以外の方法でそのニオイを解消する努力をすべきです。
そのためには、あなたにはもう一つ検査が必要かもしれません。
それは、耳鼻科的な嗅覚の検査です。
あなたは「自分の鼻が麻痺しているのでは?」と心配しています。
ですから、嗅覚異常がないという診断はあなたにとっては意味があります。
つまり、あなたの嗅覚が普通であるという自信がつけば、あなたが感じないニオイでも人に伝わっているのではないかという不安はなくなります。
次の問題は例の「すっぱいにおい」の解決です。
このアドバイスをするにはあなたの情報が少なすぎます。
どのような時にそのニオイを感じるのか。汗との関係はどうか。家族はどう言っているのか。友達は何かいっているのか。
これらの情報をもう一度教えてください。
それから、対処法をじっくりと考えましょう。
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