投稿者名:五味院長
タイトル:もう少し話し合いましょう
くろの君
わたしは、あなたの内面をやっと理解しかけています。
過去半年以上にわたって、本当に悩んだこと、そして学校に行きたくても行けなくなったこと、多分あなたはアポクリン腺が次第に成長しつつあり、あなた自身がかなり正確にワキガ臭を自覚できること、そして、あなたが手術を受けようとする決意は、将来の自分が野球やその他のスポーツの分野で積極的に自己表現しようとする動機があること、などです。
そして、あなたは歳は若いけれど、かなり自立的な性格であること。
しかし、治療者としてはあなたはまだ中学生なのも事実です。かなり理解はしたつもりですが、あなたのご両親があなたの悩みについてどのくらい知っているか、どのくらい理解されているか。それもやはり大切です。
そのことを教えてください。もしかしてこの掲示板では言いにくいかもしれません。その場合には、わたしのクリニックのメールに入れてください。
くろの君。わたしは、今こう思っています。
もしあなたの両親の承諾さえ得ることが出来たなら、そしてあなたが本当に今手術を希望するなら、わたしに相談してください。
わたしのクリニックは保険は扱っていません。あなたのお小遣いでは、手術費用はまかなうことは不可能でしょう。
しかし、わたしのクリニックはあなたのような学生さんが本当に「今ここの悩み」を解決することが必要であるならば、手術費用を「奨学金」として貸与する制度があります。
悩みから開放されて、積極的に勉学やスポーツに励み、りっぱな社会人となってから、少しずつ返済する制度もあります。
体臭多汗の手術は、決して簡単ではありません。
あなたのような、ニオイに敏感な人はアポクリン腺の1粒でも取り残したら、そのニオイを嗅ぎ分けてしまい、決して悩みは解消しないでしょう。
保険を扱う大学病院は確かに高度医療では進んでいます。しかし、アポクリン腺は形も性質もその人で全く異なり、教科書通りの手術法では決して100%完全な手術はできません。職人的技術が必要な分野なのです。
ベテランの先生の担当ではなく、新人の先生が受け持ちになるやもしれません。ワキガ手術は非常に特殊なのです。
くろの君。あなたがわたしをもし信頼してくれるのなら、そしてあなたの両親の許しがあるのなら、ぜひわたしにあなたの「手術にかかわること」を担当させてください。
しかし、わたしはそのことであなたの悩みが解消することを保証するわけではありません。
でも、少なくともあなたのわきの下にあるアポクリン腺は1粒残らず再発しないように摘出する自信はあります。
もちろん、飛行機だって落ちます。わたしは神様ではありませんから、99%の残りのアポクリン腺の導管部から将来ほんの少しは再発することはあるかもしれません。
でもそれは、あなたが「自己臭」ではなくて、本当に「ワキガ臭」で悩んでいるのなら、対人関係上は全く問題ない範囲として、わたしを許してくれるでしょう。
いずれにせよ、手術をするしないは別にしても、「わたし」は相談相手の一人になれると思います。決して独断はしないようにしてください。
また、ご返事をお待ちしています。
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