投稿者名:五味院長
タイトル::お答えします
よしえさん
ご返答が遅くなりすみませんでした。
最近美容外科にて「器械」を使用して手術を受けられた方が完全に治っていないようだという訴えで来院されるケースが非常に増加していますので、ここでワキガ手術の基本的なポイントについてまず整理してみまよう。
ワキガ手術で患者さんの悩みを解決するために大切な点は3つあります。
(1)正しい診断です。その人が本当にアポクリン腺の臭いで悩んでいることを術前に正確に判定しないままに手術に移行しても、患者さんの「ニオイ」に対する悩みは解決にないことがあります。なぜならいくら完璧な手術をしてもエクリン腺の一部は残るわけせすから、もともとエクリン腺のニオイを「ワキガ臭」と思いこんで悩んでいる人には意味がないことになります。
(2)ワキガの完全な手術では、アポクリン腺を100%完璧に取り除いたことを「確認」できる手術法でなければなりません。
「器械的方法」では器械にはこの事実を確認できる「目」がありません。皮膚の色の変化や、このくらいでいいだろうという勘にたよった手術では十分ではありません。
なぜならアポクリン腺は1粒でも残存した場合にはニオイに神経質になっている患者さんは少し (人にはわからなくても)のワキガ臭でも敏感に感じとってしまい、ワキガが治癒したという満足感が得られないからです。
(3)将来再発再生のないようにアポクリン腺の腺根(導管部)まで含めて皮膚の真皮の一部を「剥離」することです。
以上の3つの条件が満たされるならどのような手術法でも必ず患者さんの悩みは解決します。
さて、そこであなたのケースですが、まず手術前にキチンとした診断がされたかどうかが疑問です。
もしあなたがワキガ臭以外のニオイも含めて悩んでいたならたとえ完全は手術であってもあなたは「まだ治っていない」と思うことは当たり前のことです。
次にワキガ手術を腋毛との関係ですが、基本的にアポクリン腺は毛根の毛穴に開口していますが、完全な手術と脱毛とは必ずしも一致しません。
つまり毛が一部再生したからといってアポクリン腺が再生したとはいえませんし、逆にほとんど脱毛になったからといってアポクリン腺が完全にとれたとも言えないのです。
一般に女性の腋毛は腺根の部分を残すような浅い剥離でも毛は脱毛され、逆に男性の場合では深い剥離でも毛が再生する傾向があります。
またその人の毛の再生力には個性があり、人によっても違います。 以上のように、一度手術をされた場合にはその手術が完全であったか否かはを判定することは非常に難しいことです。
唯一の判定法は、「もう一度皮下を確認していく」ことです。
つまりこれは再手術と同様なことをしなければならないことを意味します。
再手術した場合には勿論傷はより目立ちます。
ワキガ手術は本来、1回目に完全に治さなければならない手術の典型例なのです。
今あなたは「治っているかもしれない」し「治っていなおのではないか」という非常に不安な心理状態に置かれているでしょう。
これはいわば、もともとの「体臭の悩み」の上に「不安への悩み」が二重に上乗せされた状態です。
このような宙ぶらりんの状態がこころの健康によいわけがありません。
そこであなたへのアドバイスですが、たぶんあなたのケースではアポクリン腺が完全に取れてはいないとしても「他人に迷惑がかからない」程度には治癒しているのではないでしょうか。
あなたが今かんじている「ニオイ」はあなただけが感じているのであって、他人にはわからないと言う風に考えることです。
人間が生きている限り、体から生活臭をを発することはあたりまえなことです。今のあなたの体臭はその範囲内のニオイであると考えることができるなら、あなたの「不安」はそく解決するでしょう。
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