投稿者名:五味院長
タイトル:わきが手術は本人のためのもの
りょう様
ご自分のことより、息子さんのワキガ臭についての方が心配になられるお母さんのお気持ちはよくわかります。
特にワキガ体質は約3割くらいの確率で遺伝しますので、親が責任感を感じて自分のこと以上に悩んでしまうことがあります。
しかしです。
このようなケースについては、お母さんは責任を感じて悩まれる必要は全くありません。
なぜなら、腋臭症(ワキガ臭)は、他の多くの遺伝病と異なり、正しい手術法によって完全に「治す」ことが出来るからです。
しかし、「治す」ためには大切な条件があります。
それは、お母さんではなくて息子さん本人がワキガ臭について気にされ悩んでいるという事実です。
ワキガ手術は、お母さんのための手術ではなくあくまで本人の将来のための手術なのです。
多分、息子さんは今、自分の「体臭」に気を使う暇もないほど、学校の勉強やクラブ活動のほうに関心があり頑張っているのでしょう。すばらしいことではないですか。
お母さんは、息子さんがデオドラントに無関心なことを嘆く前に、思春期の大切な時期に積極的に活動していることを喜ぶべきなのです。
お母さんは、今はそのような息子さんをそっと見守ってあげることです。もしかして、いずれは自分の体臭について関心が向きニオイに悩むことがあるかもしれません。その時には彼の気持ちに耳を傾け正しい手術等について正しいアドバイスをしてあげてください。
決して、自分の悩みを息子さんに押しつけないことです。
また、医学的には今の時期が手術に適切かという問題もあります。中学1年では、ワキガの原因のアポクリン腺がまだ成長途上にあります。アポクリン腺は、その数は体質で変わりませんが、その大きさは思春期から急激に増大して、高校生くらいで大人の大きさになります。
正しい手術法では、そのアポクリン腺を1粒づつ確認して摘出します。
ですから、完全に摘出するためには、はっきりと確認できる大人の大きさになるまで待たれるほうがよいと思います。
以上のような理由で、今現在は息子さんには手術をお薦めすることは出来ません。
お母さんは、息子さんの体臭について必要以上の関心を向けないことです。
息子さんのためにも(そしてお母さん自身のためにも)できるだけゆったりとした気持ちで生活してください。
手術はいつでもできます。もし将来息子さんがニオイで悩むようなことがあれば、その時点でまた相談をうけましょう。
勿論手術を希望されるようなら、その時はわたしが責任をもって行いますので安心してください。
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