投稿者名:五味院長
タイトル:正直にお答えします
さくらさん
さくらさんのご質問は、非常に短いものですがわたしにとっては大変答えにくい内容です。でもここでは、わたしの正直な気持ちをお話します。
この掲示板ではさまざまな相談がありましたが、その全ての回答についてわたしは自信をもってお答えしているつもりです。しかし手術の費用に関する質問だけは胸を張ってというわけにはいきません。
その理由は、わたしのクリニックでは残念ですが「保険診療」を行っていないということです。(17年前の開業初期の頃は保険を扱っていましたが)
したがって、手術を受けられる患者さんの自己負担は相当なものになってしまいます。とくにまだ社会に基盤をつくる前の若い患者さんにとっては本当に大変な負担であろうと思います。
わたしのクリニックが保険を扱うことを止めざるをえなかったのにも理由がありました。
開業当初に保険を扱っていたのはその当時のわたしのクリニックが「何でも屋」だったからです。ほかの手術もたくさん行っていましたので「体臭多汗手術」を保険扱いしても維持できたのです。
ところがわたしの本が売れてきてワキガや多汗症の患者さんが次第に増えてくると他の手術の片手間にできるものではないことが分かってきました。
それは、わたしの診療方針が「臭いや汗の治療は悩みの治療である」ということだからです。体臭多汗の治療は手術だけをすればそれで終わりというような簡単なものではありません。術前には十分に時間をかけたカウンセリングも必要です。
術後には心も含めた「永久保障的」ケアーも大切です。 さらに、わたしの開発した「直視下剥離法」という手術法は、アポクリン腺を取り残しのないように一粒づつ「確認」しながら摘出する方法のため、「器械的方法」のように1日に何人もまとめて手術を行うことが不可能であったのです。
またその当時は「ワキガや多汗」が保険診療上「病気や疾患」として認められていなかったために保険請求をしても却下される例がみられました。
そのような事情で「体臭多汗の専門の医療施設」として診療していくためには保険扱いでなく自由診療にする以外にクリニックを維持していく手立てがなかったのです。
確かに手術費用の30万円という額は普通の人々が簡単に支払える金額ではありません。まして臭いに最も敏感な思春期の若い人々にとっては、ひとりで工面することはまず不可能なお金でしょう。私自身このことは十分分かっています。それでも、わたしはみなさんに次のことも理解してほしいのです。
それは過去15年(私自身は20年以上)にわたって「臭い汗の専門医」として体臭多汗の治療のみに専念してきた経験と技術です。
その経験と技術が保証してくれる「費用に見合う満足度」です。悩みの解消ということは、本当に悩んでいる人にとってはお金に換算することの出来ない価値であるとわたしは信じています。
そうは言っても、実際に支払う段になれば大変です。そこでわたしのクリニックでは、「ローン」や「分割払い」の制度があります。
これらの制度を利用したからといって大変なことには変わりはないでしょうが、ご希望の方は受け付けに申し出てください。
またこれは、現在検討中ですが社会にでる前の学生さんのために奨学金のような制度も考えています。臭いの悩みは「今ここ」の悩みであって、悩んでいる本人にとっては、「お金をためてから手術を受けよう」などとのんびりと待ってはいられないものです。とくに、今こそ学問に打ちこまなくてはならない学生さんが、臭いや汗の悩みで学生時代をフイにすることは日本の将来のためにも損失です。
まず悩みを解決して、勉強に集中する、そして卒業して働き始めたら手術費用を支払う。そのような制度ができたらと今思案中です。
費用については以上です。
保険が扱えなくて本当に申し訳ないと思いますがこれらの事情もご理解していただきたいと思います。
|